「ボッタクリ防止」のルール!?宅建試験でよく出る【損害賠償額の予定】攻略法

「ボッタクリ防止」のルール!?宅建試験でよく出る【損害賠償額の予定】攻略法 宅建

こんにちは! 今日も仕事や家事の合間に勉強お疲れさまです。

宅建のテキストを開いて、「損害賠償額の予定」なんていう漢字だらけの言葉が出てくると、それだけで「うっ…」とページを閉じたくなってしまいませんか?私も勉強を始めたばかりの頃は、法律用語特有の堅苦しさに何度も心が折れそうになりました。「賠償」とか「違約金」とか、なんだかトラブルの匂いがして怖いですよね。

でも、安心してください。この「損害賠償額の予定等の制限」というテーマは、私たちのような一般の消費者を守ってくれる、とても頼もしいルールの話なんです。言葉は難しいけれど、中身を知れば「なるほど、それはありがたい!」と思えるはずですよ。

今日の記事では、このテーマを専門用語を使わずにイメージしやすく噛み砕いてお話しします。試験でも非常によく出るポイントなので、肩の力を抜いて、一緒に整理していきましょう。

まずは全体像をつかもう「8種規制」ってなに?

今回のテーマに入る前に、ひとつだけ前提となるお話をさせてください。宅建業法の中には、「8種規制(はっしゅきせい)」と呼ばれる特別なルールたちがあります。

これは、プロである「宅建業者(不動産屋さん)」が売主で、素人である「宅建業者以外の人(私たち一般人)」が買主の場合にだけ発動するルールのことです。

売主=プロ(宅建業者)買主=素人(一般の人)この組み合わせの時だけ、買主を守るために厳しい制限がかかるんだ!

不動産のプロは知識も経験も豊富ですが、私たちは一生に一度の買い物をするだけの素人であることが多いですよね。対等に交渉するのは難しいものです。そこで、法律が「プロ相手に素人が不利な契約を結ばされないように」と、あらかじめ防波堤を作ってくれているのです。

今回解説する「損害賠償額の予定等の制限」も、この8種規制の一つ。つまり、「プロが売主で、素人が買主の時、万が一のキャンセル料などでボッタクリをしないように制限する」というお話なんです。

「損害賠償額の予定」ってどういうこと?

では、本題に入りましょう。そもそも「損害賠償額の予定」とは何でしょうか?

トラブルが起きた時の「金額」を先に決めておくこと

契約をして、いざ建物を引き渡す…という段階になって、どちらかの都合で「やっぱり契約を白紙にしたい」「約束を守れない(債務不履行)」という事態が起きることがあります。

この時、約束を破られた方は「損害が出たからお金を払ってくれ!」と言いますよね。これを損害賠償(そんがいばいしょう)といいます。

しかし、ここで大問題が発生します。「いくら損害が出たのか?」を証明するのは、実はものすごく大変なんです。

ポイント
  • 「この契約が流れたせいで、他の人への販売機会を失った!」
  • 「広告費が無駄になった!」
  • 「精神的苦痛を受けた!」

こんな風に言い争いになると、裁判にまで発展してしまい、解決までに長い時間とお金がかかってしまいます。そこで、契約を結ぶ時点で、あらかじめこう決めておくのです。

「もし約束を破ったら、理由に関係なく〇〇万円を支払うことにしよう」

これが「損害賠償額の予定」です。あらかじめ金額を予定(予約)しておくことで、いざトラブルになった時に「証明しなくてもその金額がもらえる」というメリットがあります。

「違約金」との違いは気にしなくてOK

似た言葉に「違約金(いやくきん)」というものがあります。厳密には法的な意味合いが少し違うのですが、宅建業法という試験の世界では、ここを難しく考える必要はありません。

「損害賠償額の予定」と「違約金」は、名前は違っても実質的には同じもの(ペナルティ)として扱われます。試験対策上は、「この2つを合算して考える」という点だけ覚えておけば大丈夫です。

ここが試験に出る! 覚えたい「2つの制限」

さて、ここからが今日一番大事なポイントです。プロ(売主)が素人(買主)に対して、この「損害賠償額の予定」を決める時、好き勝手な金額を設定できるわけではありません。

もし制限がなかったら、「キャンセルするなら違約金として1億円払え!」なんていう恐ろしい契約書を作られてしまうかもしれませんよね。そんなことにならないよう、法律でしっかり上限が決められています。

ポイント①:上限は「代金の2割」まで

まず絶対に覚えたい数字、それは「10分の2(2割)」です。

損害賠償額の予定と違約金を合わせて、代金の20%を超えてはいけません。

例えば、3,000万円のマンションを買う場合…3,000万円 × 20% = 600万円これが、設定できるペナルティの上限額になります。

契約書の名目が「損害賠償の予定」だろうが「違約金」だろうが、あるいはその両方が書かれていようが、合計して代金の2割までです。これを超えるような高額なペナルティを素人に課すことは許されません。

ポイント②:2割を超えた部分は「無効」になる

ここが試験のひっかけ問題でよく狙われる超重要ポイントです。

もし、うっかり(あるいは悪意を持って)、代金の2割を超える額を契約書に書いてしまったらどうなるでしょうか?

例えば、3,000万円の物件(上限600万円)で、「違約金は1,000万円とする」と契約書に書いてハンコを押してしまった場合です。この場合、法律の効力はどうなると思いますか?

ポイント
  • 契約自体がすべて無効になって、契約はなかったことになる?
  • 法律違反だから、宅建業者が処罰されて終わり?
  • 2割を超えた分だけが無効になる?

正解は、「2割を超えた分だけが無効になる」です。

つまり、上限である600万円までは有効ですが、はみ出した400万円部分だけが無効(なかったこと)になります。「契約全体が無効になるわけではない」という点に注意してください。600万円の請求権は残るのです。

試験ではよく「代金の2割を超える特約をした場合、その特約は全て無効となる」という選択肢が出ます。これはバツ!「全て」ではなく「超える部分だけ」が無効なんです。

補足:何も決めなかった場合はどうなる?

では逆に、契約書に「損害賠償額の予定」や「違約金」について何も書かなかった場合はどうなるでしょうか?

この場合は、上限の縛りなどは関係なく、原則通り「実際に発生した損害額(実損額)」を請求することになります。もちろん、請求する側が「これだけの損害が出た」と証明しなければなりません。これは手間がかかるので、実務ではほとんどの場合、あらかじめ「2割以下」の範囲で予定額を決めておくことが一般的です。

整理して覚えよう! 学習のまとめ

ここまで読んでみていかがでしたか?漢字が多くて難しそうに見えたテーマも、「要するにボッタクリ防止ルールなんだ」と分かれば、ぐっと身近に感じられるのではないでしょうか。

宅建試験の勉強では、このように「なぜそのルールがあるのか?」という背景を知ることで、記憶の定着が断然よくなります。丸暗記しようとせず、ストーリーで理解していきましょう。

最後に、今日の重要ポイントをまとめます。試験直前に見返すメモ代わりにも使ってくださいね。

今日これだけは覚えて帰ろう!
ポイント
  • 適用条件: 売主が宅建業者、買主が宅建業者以外(8種規制)。
  • 上限のルール: 損害賠償額の予定 + 違約金 = 代金の2/10(2割)以下
  • 違反した場合: 契約全体が無効になるのではなく、2割を超えた部分のみが無効となる。
  • 定めのない場合: 実損額を請求することになる(証明が必要)。

過去問を解いていると、「代金の2割を超える定めをした場合、契約全体が無効となる」という引っ掛け問題に必ず出会います。その時は、今日の記事を思い出して「おっと、騙されないぞ! 超えた部分だけが無効だよね」と心の中でツッコミを入れてください。

焦らず、一つずつ知識を積み重ねていけば、必ず合格ラインは見えてきます。今日の学習はこれでバッチリです。また次の記事で、一緒に一歩前進しましょう!