「仮換地」と「換地処分」の違いは?初学者がつまずく3つのポイントを解説【宅建】

「仮換地」と「換地処分」の違いは?初学者がつまずく3つのポイントを解説【宅建】 宅建

皆さん、毎日の勉強お疲れ様です。宅建のテキストを開いていて、「土地区画整理法」のページに来ると、急に漢字が増えて難しく感じてしまいませんか?

私自身も、受験勉強を始めた当初は、この分野が本当に苦手でした。「換地(かんち)」や「保留地(ほりゅうち)」といった耳慣れない言葉が次々と出てきて、イメージが湧きにくかったのを覚えています。

でも、安心してください。この分野は「工事の流れ」と「権利がいつ切り替わるか」さえ整理できれば、実は得点源にしやすい分野なんです。

今日は、区画整理事業のスタート地点である「換地計画」から、中間の「仮換地の指定」、そしてゴールである「換地処分」までのストーリーを、皆さんと一緒に追いかけていきたいと思います。

まずは全体像!「換地計画」と「お金の調整」

土地区画整理事業とは、ざっくり言うと「ぐちゃぐちゃした土地を整備して、綺麗な四角い土地(整形地)に作り変える工事」のことです。

工事が終わった後、元の土地の持ち主に「はい、あなたの新しい土地はここですよ」と割り当てる土地のことを「換地(かんち)」と呼びます。

不公平をなくす「清算金」

工事前の土地と、工事後の新しい土地。これらはなるべく条件が似ている場所や広さになるように計画されます(これを「換地照応の原則」と言います)。

しかし、現実にはどうしても「前の土地よりすごく価値が上がっちゃった人」や「少し狭くなってしまった人」が出てきます。完全に平等の交換は難しいですよね。

そこで登場するのが「清算金(せいさんきん)」です。

ポイント
  • 土地の価値が上がった人 ⇒ お金を払う(徴収)
  • 土地の価値が下がった人 ⇒ お金をもらう(交付)

このように、不公平をお金で解決する仕組みがあるんだな、と理解しておきましょう。

工事費用を捻出する「保留地」

もう一つ覚えておきたいのが「保留地(ほりゅうち)」です。

工事には莫大なお金がかかります。そこで、誰の換地としても割り当てずに、「売却して工事費用の足しにするための土地」をあえて作ることがあります。これが保留地です。

ちなみに、公的な施行(県や市など)の場合、この保留地を決めるには「土地区画整理審議会」の同意が必要になります。大切な土地を勝手に売る土地にしちゃダメだよ、ということですね。
工事中の仮住まい?「仮換地の指定」

さて、区画整理の工事はとても大掛かりで、終わるまでに何年もかかります。その間、土地の持ち主が「工事が終わるまで使っちゃダメ!」と言われたら困ってしまいますよね。

そこで、「工事が終わるまでの間、とりあえずここを使っていていいですよ」と指定される土地があります。これが「仮換地(かりかんち)」です。

誰の同意が必要?

この「仮換地の指定」を行うとき、施行者(工事をする人)の種類によって、誰の同意が必要かが変わります。試験でもよく問われるポイントです。

ポイント
  • 個人施行の場合:その土地の権利者の同意が必要
  • 組合施行の場合:総会などの同意が必要
  • 会社施行の場合:権利者の3分の2以上の同意が必要
  • 公的施行の場合:土地区画整理審議会の意見を聴く

「個人なら本人の同意」「公的なら審議会の意見」というイメージを持っておくと覚えやすいですよ。

仮換地指定の「効果」が重要!

ここが今日一番の山場かもしれません。仮換地が指定されると、どのような権利状態になるのでしょうか。

ポイントは「使う場所は変わるけれど、所有権(持ち主であること)は元の場所にある」という点です。

えっ? 新しい場所を使っているのに、所有権はまだ前の場所にあるんですか?
そうなんです! ここがややこしいのですが、「使用収益権(使う権利)」だけが仮換地に移るイメージです。

整理すると以下のようになります。

ポイント
  • 従前の宅地(元の土地):使えなくなる。でも、所有権はここにあるので、売ったり抵当権をつけたりはできる。
  • 仮換地(仮の土地):使えるようになる。でも、所有権はないので、ここを勝手に売ることはできない。

「元の土地は使えないけど売れる」「仮換地は使えるけど売れない」。このねじれ現象をしっかり整理しておきましょう。

いよいよ完成!「換地処分」と「翌日」のルール

工事がすべて完了すると、いよいよ最終段階の「換地処分(かんちしょぶん)」が行われます。「今日からここが正式にあなたの土地ですよ」という決定ですね。

原則として工事完了後に行われますが、規約があれば工事中でも行うことができます。この処分が行われたら、知事はそのことを公告(みんなにお知らせ)します。

権利が移るのはいつ?

ここからは、試験当日に迷わないようにしっかり覚えておきたい「時間のルール」です。

換地処分の公告があると、権利関係がガラッと変わりますが、そのタイミングには「公告があった日が終了した時」と「公告があった日の翌日」の2パターンがあります。

1. 消滅するものは「終わった時」

まず、消えてなくなるものは、「公告の日の終了時(その日の24時)」に消滅します。

ポイント
  • 仮換地を使える権利
  • 今までの土地を使えなかった制限
  • もう必要なくなった地役権など

「今日で工事期間はおしまい!」という区切りのイメージですね。

2. 発生・確定するものは「翌日の0時」

そして、新しく手に入る権利は、日付が変わった瞬間、つまり「公告の日の翌日」から発生します。

ポイント
  • 換地が正式な土地とみなされる(所有権が移る!)
  • 清算金の額が確定する
  • 保留地を施行者が取得する

特に重要なのが、「換地は、公告の日の翌日から従前の宅地とみなされる」というフレーズです。これにより、これまで仮で使っていた土地が、名実ともに自分の土地になります。

また、新しくできた公園などの公共施設は、原則として市町村の管理になることも合わせて覚えておきましょう。

まとめ:今日の重要ポイント

土地区画整理法は手続きが長いので、まずは「流れ」を意識することが大切です。細かい条文を暗記する前に、以下のポイントを今日のお土産にして帰ってくださいね。

ポイント
  • 仮換地中も「所有権」は元の土地にある(だから元の土地を売ることはできる)。
  • 仮換地中は、元の土地を使うことはできない(使う権利は仮換地へ移動中)。
  • 換地処分によって、新しい権利が発生するのは「公告の日の翌日」から。
  • 古い権利が消えるのは「公告の日が終了した時」。

「明日から新しい土地のオーナーだ!」とワクワクして日付が変わる瞬間を待つイメージを持つと、「発生は翌日」というルールが忘れにくくなるかもしれません。

難しい用語が多いですが、一つひとつ図をイメージしながら攻略していきましょう。毎日の積み重ねが、必ず合格につながりますよ!