【宅建】「またがる場合」はどうなる?防火地域・準防火地域の重要ポイント解説!

【宅建】「またがる場合」はどうなる?防火地域・準防火地域の重要ポイント解説! 宅建

こんにちは。宅建試験の勉強、毎日お疲れ様です。仕事や家事の合間を縫ってテキストを開くのは、本当に大変なことだと思います。私も働きながら資格を取ったので、疲れて帰ってきた後に見る「数字だらけの表」がどれだけ辛いか、痛いほどわかります。

さて、今日のテーマは「防火地域・準防火地域」です。法令上の制限という分野の中でも、都市計画法や建築基準法が絡んでくるこの単元。「階数が3以上で……」「延べ面積が100㎡を超えると……」といった細かい数字の条件が出てきて、苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。

でも、安心してください。この分野は、単なる数字の丸暗記ではなく、「なぜそんなルールがあるのか」という街の風景をイメージすることで、驚くほど頭に入りやすくなります。私が初学者の頃、最初は丸暗記しようとして失敗しましたが、イメージ重視に切り替えてからは得点源になりました。今日は、複雑に見える防火地域のルールを、初学者の方でも「なるほど!」と思えるように噛み砕いて解説していきます。一緒に整理していきましょう。

防火地域・準防火地域のイメージと目的をつかむ

まずは、細かい数字に入る前に、ざっくりとしたイメージを持ちましょう。そもそも、なぜ「防火地域」や「準防火地域」なんてものを決める必要があるのでしょうか。

防火地域って、名前の通り「火を防ぐ地域」ってことですよね?
その通りです。特に、建物が密集している場所で火事が起きるとどうなるか、想像してみましょう。
駅前の商店街や繁華街を想像してみよう

例えば、駅前の商店街や、ビルが立ち並ぶ繁華街を思い浮かべてみてください。建物と建物の間が狭く、びっしりとお店や住宅が並んでいますよね。もしここで、ある1つの建物から火災が発生したらどうなるでしょうか?

隣の建物への距離が近いため、あっという間に燃え広がり、街全体を巻き込む大火災になってしまう危険性があります。都市計画法では、こうした「市街地における火災の危険」を防ぐために、エリアを指定して建物のルールを厳しくしています。それが防火地域・準防火地域です。

ポイント
  • 防火地域:駅前や幹線道路沿いなど、特に建物が密集していて、絶対に火事を広げたくない「一番厳しいエリア」。
  • 準防火地域:防火地域の周りに設定されることが多く、防火地域ほどではないけれど、ある程度の対策が必要な「次に厳しいエリア」。

このように、「燃え広がったら困る場所ほど、ルールが厳しい」という基本感覚を持っておくと、この後の学習がスムーズになります。

【試験の山場】防火地域・準防火地域での建築制限を整理する

さて、ここからがいよいよ本番です。宅建試験では、「どんな建物なら建てていいのか(どんな性能を持たせないといけないのか)」が頻出ポイントです。初学者が一番混乱しやすいところですが、表を使って整理してみましょう。

防火地域・準防火地域の建物制限まとめ表

まずは、全体像を見てみましょう。「耐火建築物等」にしなきゃいけないのか、「準耐火建築物等」でもいいのか、という違いがポイントです。

エリア 建物の規模(条件) 必要な性能
防火地域(厳しい!) ・階数が3以上(地階含む)または・延べ面積が100㎡を超える 耐火建築物等にする
上記以外(小さい建物) 耐火 または 準耐火にする
準防火地域(やや緩い) ・階数が4以上(地階を除く)または・延べ面積が1,500㎡を超える 耐火建築物等にする
・階数が3(地階を除く)または・延べ面積が500㎡超〜1,500㎡以下 耐火 または 準耐火にする

文字で見ると少し「うっ」となるかもしれませんね。でも、ここでの重要ポイントは以下の2つに絞られます。

ポイント1:防火地域は「3階建て」か「100㎡超」でアウト

一番厳しい防火地域では、以下のどちらかに当てはまると、一番燃えにくい「耐火建築物等」にしなければなりません。

ポイント
  • 階数が3以上(地下も含める)
  • 延べ面積が100㎡を超える

「3階建て以上のビル」や「ちょっと広めの建物(100㎡超)」は、駅前の一等地にあるイメージですよね。これらは絶対に燃えて崩れてはいけないので、ガチガチの耐火建築物にする必要があります。逆に言うと、防火地域でも「平屋や2階建て」で「100㎡以下」の小さな建物なら、準耐火建築物でもOKということです(それでも木造そのまま等はNGですが)。

「防火は3(サン)階、100(ヒャク)まで」とリズムで覚えてしまいましょう。ちなみに、防火地域の階数には「地階(地下)」も含みます。地下室がある3階建ても対象ですよ。
ポイント2:準防火地域は少し緩んで「4階」から

次に準防火地域です。こちらは少し規制が緩くなります。耐火建築物にしなきゃいけないラインが上がります。

ポイント
  • 階数が4以上(地階を含まない)
  • 延べ面積が1,500㎡を超える

防火地域では「3階」でアウトでしたが、準防火地域では「3階」までなら(条件次第で)準耐火建築物などでOKになります。「4階建て以上」になると、さすがに準防火地域でも「耐火建築物」にする必要があります。ここでの注意点は、準防火地域の階数カウントには「地階を含まない」こと。試験ではこの「含む・含まない」のひっかけが出やすいので、余裕があれば意識しておきたいですね。

試験によく出る「看板」と「またがる場合」のルール

建物の大きさ以外にも、試験でよく問われる「ひっかけポイント」が2つあります。これを知っているだけで、本番で1点拾える可能性がグッと高まりますよ。

看板や広告塔の規制

ビルの屋上にある大きな看板や、広告塔。これらが火事で燃えて落ちてきたら危険ですよね。そのため、防火地域にある看板には以下のルールがあります。

覚え方のコツは、「屋上にあるなら危ないから絶対」「地面にあっても3m超えるデカいのは危ない」という感覚です。「不燃材料」というのは、コンクリートや鉄、ガラスなど、燃えにくい材料のことです。

建物が複数の地域に「またがる」場合

これが非常に重要です。一つの建物が、「防火地域」と「準防火地域」の両方にまたがって建っている場合、どちらのルールを守ればいいのでしょうか?

半分ずつルールを適用するんですか?
いいえ、違うんです。原則として「厳しい方の地域のルール」が建物全体に適用されます。

つまり、建物の一部でも「防火地域(厳しい)」にかかっていたら、建物全体を「防火地域のルール」で建てなければなりません。安全側に倒す、と考えれば納得がいきますよね。少しでも危険なエリアに足を踏み入れているなら、全体を頑丈にしておこうという発想です。

ここで一番注意してほしいことがあります。それは、主語は「敷地(土地)」ではなく、「建築物(建物)」だということです。

ポイント
  • × 敷地がまたがっていたら、厳しい方が適用される
  • 建物がまたがっていたら、厳しい方が適用される

もし、広い敷地が防火地域と準防火地域にまたがっていたとしても、建物自体が準防火地域の中にすっぽり収まっていれば、その建物は準防火地域のルールだけでOKです。防火地域にはみ出していないからです。試験では「敷地がまたがっている場合」という引掛け問題が出ることがあるので、主語が「建物」になっているか必ずチェックしましょう。

まとめ:今日覚えるべきアクションプラン

いかがでしたか?防火地域・準防火地域は、数字が多くて最初はとっつきにくいですが、「火災を防ぎたい街の切実な事情」をイメージすると、理屈が見えてきます。最後に、今日これだけは覚えておきたいポイントを整理します。

ポイント
  • 防火地域は駅前などの密集地。「3階以上」または「100㎡超」なら耐火建築物に!
  • 準防火地域は少し緩い。「地階を除く4階以上」または「1500㎡超」なら耐火建築物に!
  • 屋上の看板や、高さ3m超えの看板は「不燃材料」で作る。
  • 地域にまたがる場合は、建物全体に「厳しい方」のルールが適用される(敷地ではない!)。

まずは、お手持ちの過去問集で「防火地域」の項目を開いてみてください。きっと、「あ、この建物のことか!」とイメージできるようになっているはずです。数字を完璧に暗記しようと焦らず、まずは「厳しい場所=厳しい建物」という感覚を定着させていきましょう。今日も一つ、知識が積み上がりましたね。この調子で進んでいきましょう!