【宅建】「追認」で悩んでる?法定追認の覚え方と取消権の放棄をわかりやすく解説

【宅建】「追認」で悩んでる?法定追認の覚え方と取消権の放棄をわかりやすく解説 宅建

こんにちは。宅建の勉強、順調に進んでいますか?

毎日法律の言葉と向き合っていると、「日本語のはずなのに、何を言っているのか分からない……」と頭を抱えたくなる瞬間ってありますよね。

特に民法(権利関係)は、普段使わない言葉がたくさん出てくるので、最初は戸惑ってしまうのが当たり前です。私自身も勉強を始めたばかりの頃は、漢字の羅列を見るだけで眠くなっていました。

さて、今回のテーマは「追認(ついにん)」です。

文字だけ見ると「あとで認める」と読めますが、宅建試験においては非常に重要な意味を持っています。ここをあやふやにしておくと、未成年者の契約や詐欺・脅迫の論点で点数を落としてしまいかねません。

この記事では、難しい法律用語をできるだけ使わず、具体的なイメージで「追認」を攻略していきます。「なんだ、そういうことか!」と腑に落ちるところまで、一緒に整理していきましょう。

「追認」とは?まずは言葉のイメージを掴みましょう

まずは、教科書的な難しい定義はいったん置いておいて、ざっくりとしたイメージから入っていきましょう。

「追認」とは、一言でいうと「もう取り消しません!と確定させること」です。

もう少し法律っぽく言うと、「取り消すことができる行為を、あとから認めて有効にすること」となります。

「取り消せる契約」のおさらい

宅建の民法では、「未成年者が勝手にした契約」や「騙されて(詐欺)結んだ契約」は、あとから「取り消し」ができると勉強しましたよね。

取り消しができるということは、その契約は「今のところ一応有効だけど、あとで無効になるかもしれない」という、とても不安定な状態(フワフワした状態)にあるといえます。

未成年者Aくん「親に黙って高いバイクを買う契約をしてきたよ!でも、あとで親にバレたら取り消されちゃうかも……」
バイク屋さん「うーん、売ったはいいけど、あとで親御さんが出てきて『契約は無しだ!』って言われたら困るなぁ。はっきりさせてほしいなぁ」

このフワフワした不安定な状態を、「完全に有効なものとして固める」のが追認です。

追認をすると、「もう取り消し権は放棄しました(=使いません)」という宣言をしたことになります。一度追認したら、あとから「やっぱり取り消す!」ということは絶対にできません。

契約の相手方(上記の例でいうバイク屋さん)からすれば、いつ取り消されるかビクビクして待つよりも、早く「追認」してもらって、取引を確定させたいわけですね。

口に出さなくてもOK?試験に出る「法定追認」の罠

さて、ここからが宅建試験の本番です。

基本的には、「追認します!」と口頭や書面で相手に伝えることで追認の効果が発生します。しかし、世の中には「口では言っていないけれど、態度で示したよね?」とみなされるケースがあります。

これを「法定追認(ほうていついにん)」といいます。

法律が「あ、その行動をしたなら、もう追認したのと同じですね」と決めてしまうルールです。試験では、具体的な行動パターンが問われることが多いので、しっかり見ていきましょう。

これやったら追認!代表的な3つの行動

「追認します」と言わなくても、以下の行動をとると、自動的に追認したことになり、もう取り消しができなくなります。

特に重要なのが、以下の3つです。

ポイント
  • 全部または一部の履行(代金を払ったり、物を受け取ったりすること)
  • 履行の請求(「早く払ってよ」と相手に言うこと)
  • 担保の供与(担保を差し出したりすること)

これらも丸暗記するのではなく、「なぜ追認になるのか?」という理由(背景)を考えると、自然と覚えられるようになります。

1. 全部または一部の履行をした場合

例えば、未成年者の保護者(法定代理人)が、バイク屋さんに対して「代金の一部を支払った」とします。

もし、この契約を取り消すつもりなら、普通はお金を払いませんよね?お金を払うという行動自体が、「この契約を進めますよ(=追認しますよ)」という強い意思表示だと捉えられるのです。

2. 履行の請求をした場合

これは、保護者がバイク屋さんに対して「早くバイクを引き渡してください!」と請求するようなケースです。

「バイクをよこせ」と言っておいて、あとで「やっぱり契約を取り消す」というのは矛盾していますよね。相手に履行(約束の実行)を求めた時点で、「この契約は有効なものとして扱います」と宣言したのと同じことになります。

3. 担保の供与をした場合

例えば、土地を分割払いで購入する契約において、「連帯保証人をつけた」り、「別の土地を担保に入れた」りする場合です。

これから取り消そうとしている契約のために、わざわざ担保を用意する人はいません。これも「契約を続ける意思がある」とみなされ、法定追認となります。

なお、契約に関するルールとしては、「他人の物件」の売買(他人物売買)などの有効性についてもよく問われますが、それらと同様に「誰が・どんな行動をしたか」が判断のポイントになります。

【重要】誰の行動なら「法定追認」になる?

ここで一つ、試験でひっかけ問題として出やすいポイントをお伝えします。

それは、「誰がその行動をしたか」です。

法定追認が成立するのは、「取消権を持っている人が、取り消しできる状態になった後(または保護者などが)行動した場合」に限られます。

未成年者本人が払っても追認にはならない?

例えば、まだ未成年のAくん本人が、勝手に小遣いから代金の一部を支払ったとします。この場合、法定追認にはなりません。

なぜなら、未成年者は判断能力が不十分だとされているから守られているのであって、その未成年者が勝手にお金を払ったからといって「有効確定!」としてしまうと、保護する意味がなくなってしまうからです。

法定追認になるのは、以下のどちらかのケースです。

ポイント
  • 未成年者が「大人になってから(成年に達してから)」支払った場合
  • 保護者(法定代理人)が支払った場合

ここをごちゃ混ぜにして、「未成年者が代金を支払った場合、契約は確定的に有効となる」という選択肢にマルをつけてしまわないよう注意しましょう。

また、相手方から「早くお金を払ってください」と請求されただけでは、法定追認にはなりません(自分が請求した場合は追認になります)。あくまで「自分が自発的に、契約を進めるような行動をした」ときに追認とみなされるのです。

このように、契約上の責任や有効性は、誰がアクションを起こしたかで結果が変わります。似たような契約ルールの話として、契約不適合責任の特約などでも「プロ(宅建業者)かアマ(一般人)か」でルールが変わることがあります。常に「当事者は誰か?」を意識する癖をつけておくと安心です。

まとめ:今日の学習ポイントを整理

いかがでしたか?「追認」という言葉の堅苦しさが、少しでも和らいでいれば嬉しいです。

最後に、今日覚えたことをシンプルに整理しておきましょう。試験直前に見返すメモとして使ってください。

ポイント
  • 追認とは、「取り消し権の放棄」。すると契約は「有効」で確定する。
  • 言葉で言わなくても行動で示せばOK(=法定追認)。
  • 法定追認の例:代金の支払い、引渡しの請求、担保の提供など。
  • 注意点:未成年者が未成年のうちに勝手に行動しても、追認にはならない!

権利関係の分野は、一度にすべて覚えようとするとパンクしてしまいます。まずは「追認=後戻りできない決定」というイメージを持っておくだけで十分です。

もし勉強に行き詰まったら、宅建士になるまでのステップを思い出して、未来の自分をイメージしながらモチベーションを保っていきましょう。

焦らず、一つひとつ知識を積み重ねていきましょうね。応援しています!