こんにちは。宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?今回は、法令上の制限という分野の中でも、特に漢字が多くてイメージしづらい「土地区画整理法(土地区画整理事業)」についてお話しします。
この分野、テキストを開いた瞬間に「うっ、難しそう……」とページを閉じてしまった経験はありませんか?私も勉強を始めたばかりの頃は、「換地(かんち)」だの「保留地(ほりゅうち)」だの、聞き慣れない言葉のオンパレードに頭を抱えていました。でも、実はこの法律、やっていることはとてもシンプルなんです。
今日は細かい数字や難しい条文を一旦脇に置いて、「結局、何をする法律なの?」「試験ではどこが聞かれるの?」という核心部分だけを整理していきましょう。ここさえ理解できれば、過去問を見たときの景色がガラッと変わるはずですよ。
まずは、この法律が何のためにあるのか、ざっくりとしたイメージを掴んでおきましょう。教科書的な定義を覚える前に、目的を理解すると頭に入りやすくなります。
土地区画整理事業を一言でいうと、「道が狭くて形も悪い、ぐちゃぐちゃな街並みを、整理整頓して使いやすくする工事」のことです。これを私はよく「街のリフォーム」と呼んでイメージしていました。
例えば、昔ながらの街だと、道が細くて消防車が入れなかったり、公園がなくて子供が遊ぶ場所がなかったりしますよね。また、土地の形がいびつだと、いい家も建てられません。
そこで、そのエリアの土地の持ち主たちが少しずつ土地を出し合って、道路を広げたり、公園を作ったり、土地の形をキレイな四角形に整えたりする。これが「土地区画整理事業」の正体です。
難しく書いてありますが、「住みやすい街にするために、土地の形を変えたり道路を作ったりするルール」と読み替えればOKです。

この工事が終わると、元の土地を持っていた人には、形が整えられた新しい土地が割り当てられます。これを「換地(かんち)」と言います。
「元の土地」から「新しい土地(換地)」へとお引越しするイメージですね。ただし、道路や公園を作るために土地を使いますから、戻ってくる土地の面積は少し減ってしまいます。でも、その分だけ街が便利になり、土地の価値が上がるので、プラスマイナスゼロ(あるいはプラス)と考えます。この大枠の仕組みだけ、まずは頭の片隅に置いておいてください。
さて、ここからが試験対策の本番です。宅建試験では、工事の細かい技術的なことよりも、「誰が事業を行うのか」「始めるには誰の許可がいるのか」という手続きの部分がよく問われます。初学者がまず押さえるべき重要ポイントを2つに絞りました。
土地区画整理事業は、個人の土地の形を変えてしまう大きなプロジェクトです。勝手に「今日からここを工事しまーす!」と始めてしまうと、トラブルになりますよね。そのため、事業を始めるには原則として「都道府県知事の認可」が必要になります。
これは、個人でやる場合も、組合(地主たちが集まったグループ)を作ってやる場合も基本的には同じです。「事業計画」を作って、「これで工事をしていいですか?」と知事にお伺いを立てるわけです。
- 誰がやるにしても、勝手にはできない
- しっかりとした計画を立てて、知事のハンコをもらう必要がある
まずはシンプルにこう覚えておきましょう。試験では「〜の場合は認可を要しない」といったひっかけ問題が出ることがありますが、基本は「認可が必要」というスタンスでいてください。
ここが今回の最重要ポイントかもしれません。土地区画整理事業を行う「人(施行者)」は、大きく分けて2パターンあります。
- 民間施行:個人や、地主が集まった「土地区画整理組合」など
- 公的施行:都道府県や市町村、国土交通大臣など
このうち、「公的施行(都道府県や市町村など)」が行う場合に必ず設置しなければならないのが、「土地区画整理審議会」です。
役所(公的機関)が事業を行う場合、権力が強い分、強引に進められてしまうと土地の持ち主たちが困りますよね。そこで、土地の所有者や借地権者の中から選ばれた代表者で構成する「土地区画整理審議会」を作って、「換地計画(誰にどの土地を割り当てるか)」などの重要な決定について意見を聞かなければならないルールになっています。
| 施行者 | チェック機関 | 特徴 |
|---|---|---|
| 組合(民間) | 総会 | 仲間内で話し合うので審議会は不要 |
| 都道府県・市町村(公的) | 土地区画整理審議会 | 事業ごとに必ず設置する |
過去問でも、「市町村が施行する場合、土地区画整理審議会を置く必要はない」というような×の選択肢がよく出ます。「公的施行=審議会が必要」とセットで覚えておけば、これだけで1点取れる可能性がグッと上がります。
土地区画整理法は、突き詰めると非常に奥が深い法律です。「仮換地(かりかんち)」や「清算金(せいさんきん)」など、他にも覚えるべき用語はありますが、最初から全てを完璧にしようとしないのがコツです。
私が受験生だった頃、最初は「保留地って何?」というレベルでしたが、まずは以下の2点に絞って勉強しました。
- 用語の意味をざっくり掴む(換地=新しい土地、など)
- 誰がやる時にどんなルールがあるか(公的施行なら審議会、など)
特に今回解説した「公的施行における審議会の設置」は、頻出かつ覚えやすいポイントです。難しい計算問題などは出ませんから、「誰が、何のために、どういう手続きでするのか」というストーリーを意識してテキストを読んでみてください。
土地区画整理法は、街をきれいにするためのポジティブな法律です。苦手意識を持たずに、「自分たちの街をよくする工事なんだ」と捉えてみてください。最後に、今日これだけは覚えておきたいポイントを整理しました。
- 土地区画整理事業とは:デコボコの土地を整理し、道路や公園を作って街をよくする事業(街のリフォーム)。
- スタートの要件:事業を始めるには、原則として「知事の認可」が必要。
- 公的施行のルール:都道府県や市町村が行う場合は、事業ごとに「土地区画整理審議会」を必ず置かなければならない。
まずはこの3点しっかり頭に入れて、過去問の該当箇所を一度眺めてみてください。「あ、このことか!」と気づく瞬間があれば、そこから知識は定着していきます。
法令上の制限は、ひとつひとつの積み重ねが大きな得点源になります。焦らず、ひとつずつ「なるほど」を増やしていきましょう。

