【宅建】事前協議?同意?ごちゃ混ぜになりがちな開発許可の申請手続きをスッキリ整理

【宅建】事前協議?同意?ごちゃ混ぜになりがちな開発許可の申請手続きをスッキリ整理 宅建

こんにちは。宅建試験の勉強は進んでいますか?法律の勉強をしていると、「手続き」という言葉を聞いただけで、なんだか難しそう……と身構えてしまうこと、ありますよね。

私自身も勉強を始めたばかりの頃は、「誰に許可をもらって、次に何をして、最後にどうなるのか」という時系列が頭の中で絡まってしまい、何度もテキストを行ったり来たりしていました。特に「開発許可制度」は、許可を取る前の準備から、工事が終わった後の話まで、流れが長いので混乱しやすい分野です。

でも、安心してください。この手続きの流れは、実は「登場人物」と「タイミング」さえ整理できれば、得点源に変わるチャンスなんです。今日は、試験によく出る重要なポイントに絞って、開発許可の申請手続きの流れを一緒に見ていきましょう。

まずは「申請前」の準備!誰と話をつけないといけない?

開発許可の申請書を県知事(または市長)に出す前に、やっておかなければならない「事前の根回し」のようなものがあります。ここは試験でもヒッカケ問題としてよく出題されるので、しっかり区別しておきたいところです。

申請前にやるべきことって、土地の持ち主のハンコをもらうことですか?

それも大事ですね!でもそれだけじゃないんです。「公共施設の管理者」との話し合いも重要ですよ。

公共施設管理者との「同意」と「協議」の違い

開発行為を行うと、道路や公園などの公共施設が関係してきますよね。ここで覚えておきたいキーワードは「同意」「協議」の使い分けです。

ポイント
  • 現在ある公共施設の管理者:これから工事をする場所にすでにある道路などの管理者とは、「協議」をして、さらに「同意」を得る必要があります。勝手にいじられたら困りますからね。
  • 新しくできる公共施設の管理者:工事によって新しく作られる予定の公園などの管理者(予定者)とは、「協議」だけでOKです。まだ物は存在しないので、同意までは求められません。

「今あるものには同意が必要、新しいものには協議だけ」とイメージしておくと覚えやすいですよ。

土地の権利者の同意は「全員」じゃなくていい

もう一つ大事なのが、その開発区域内の土地所有者などの同意です。「全員の同意が必要」と出題されたら、それは×(バツ)です。必要なのは、「権利を有する者の相当数の同意」です。「相当数」という少しふわっとした言葉ですが、全員のハンコがなくても手続きは進められる、という点を押さえておきましょう。

申請から許可処分までの流れとポイント

事前準備が終わって申請を出し、審査に通れば、いよいよ「許可処分」が下ります。ここでも、試験で問われやすい細かいルールがあります。

許可・不許可は必ず「文書」で来る

知事は、許可する場合も不許可にする場合も、必ず「文書」で通知しなければなりません。口頭で「いいよー」と言われることはない、ということですね。また、許可をした場合、知事はすぐにその内容を「開発登記簿」に登録し、誰でも見られるようにしておく義務があります。

もし不許可になったら?不服申し立ての順番

万が一、不許可処分になってしまい、その結果に納得がいかない場合はどうすればいいでしょうか。ここでは「順番」が大切です。

ポイント
  • まず、「開発審査会」に対して審査請求をする。
  • その裁決にも不服がある場合、裁判所へ取消しの訴えを起こす。

いきなり裁判所へ行くのではなく、まずは開発審査会へ、という流れを頭の片隅に置いておいてくださいね。

工事中と工事完了後のルールを整理しよう

無事に許可が下りて工事が始まってからも、あるいは工事が終わった後にも、いくつかの制限があります。ここは「工事完了の公告」というゴールテープの前と後で、ルールが変わることを意識しましょう。

工事中に内容を変えたくなったら?

工事を進めていると、「やっぱりここを変えたい」ということが出てくるかもしれません。原則として、変更するには改めて知事の許可が必要です。ただし、「軽微な変更」(工事の着手予定日の変更など)であれば、許可までは不要で、遅滞なく届け出ればOKです。

また、途中で工事自体をやめる(廃止する)場合も、許可ではなく「届出」で済みます。「廃止=許可が必要」というヒッカケ問題には注意してくださいね。

土地を売りたい!地位の承継について

工事中に、その土地やプロジェクトを誰かに引き継ぐ場合の話です。

一般承継(相続・合併など) 手続き不要で、当然に地位を引き継ぐ
特定承継(売買など) 知事の承認が必要

相続の場合は手続きがいりませんが、土地を売って事業主が変わるような場合は、知事が「この新しい人に任せて大丈夫かな?」とチェックするために承認が必要になります。

重要!「工事完了公告」の前と後の建築制限

最後に、一番の山場である建築制限について解説します。開発許可を受けた土地では、勝手に建物を建ててはいけません。そのルールが「完了公告」の前と後で異なります。

工事が終わったという「公告」が出るまでは、建物は一切建てられないんですか?

原則はそうですね。でも、工事用の仮設小屋までダメだと言われたら工事が進みませんよね。例外があるんです。

【公告前】原則、建築禁止。ただし例外あり
ポイント
  • 工事用の仮設建築物
  • 知事が支障ないと認めたもの
  • 同意していない権利者が、権利行使として建てるもの(反対していた人が自分の土地に家を建てるなど)
【公告後】予定建築物以外は建築禁止

工事が終わって公告が出された後は、原則として「予定していた建築物」以外は建ててはいけません。ただし、ここにも例外があります。

ポイント
  • 用途地域が定められている場合(その地域のルールに従えばOK)
  • 知事が許可した場合

特に「用途地域が定められている場合」は、開発許可の制限が外れて、用途地域のルールにバトンタッチされるイメージを持っておくと良いでしょう。

まとめ:今日覚えるべきアクション

開発許可の手続きは、登場人物が多くて大変ですが、まずは以下のポイントだけしっかりと記憶に焼き付けてください。これだけでも、過去問の選択肢がぐっと絞りやすくなるはずです。

ポイント
  • 事前準備:今の管理者とは「同意+協議」、新しい管理者とは「協議」のみ。
  • 権利者の同意:全員ではなく「相当数」でOK。
  • 処分通知:必ず「文書」で行われる。
  • 地位の承継:相続は手続き不要、売買は「知事の承認」が必要。
  • 建築制限:完了公告の前と後でルールが変わる(特に用途地域の有無に注意)。

最初は用語に戸惑うかもしれませんが、一つひとつの手続きには「トラブルを防ぐため」「混乱を避けるため」という理由があります。「自分が開発業者だったらどう動くかな?」と想像しながら、少しずつ頭の中を整理していきましょう。今日の積み重ねが、合格への確実な一歩になりますよ!