こんにちは。宅建の勉強、順調に進んでいますか?法律の条文や専門用語を見ていると、「漢字ばかりで頭に入ってこない…」とため息をつきたくなることもありますよね。私自身、最初は法律名を見るだけでアレルギーが出そうでした。
今回は、法改正で少し名前が変わった「盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)」についてお話しします。以前は「宅造法」なんて呼ばれていましたが、災害防止のために規制が強化されたんです。特に試験で狙われやすい「宅地造成等工事規制区域」に絞って、ポイントを整理していきましょう。丸暗記しようとせず、「なぜそのルールがあるのか」をイメージしながら読んでみてくださいね。
まず、この法律がなぜ作られたのか、その背景を少しだけ押さえておきましょう。難しい言葉で言うと「宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止」が目的です。
簡単に言えば、「勝手に土を盛ったり工事をしたりして、土砂崩れなどの災害を起こさないでね」というルールブックです。そのために、危険なエリアを3つに分けて指定し、それぞれに規制をかけています。
この中で、市街地や集落など、人が住んでいるエリアでの工事を規制するのが「宅地造成等工事規制区域」です。もしここで危険な工事をして崖崩れが起きたら、たくさんの人の命に関わりますよね。だからこそ、厳しいチェック(許可制)があるのです。
では、試験でよく問われる具体的なルールを見ていきましょう。「誰が」「何を」「どうする」のか、主語と動詞を意識すると整理しやすいですよ。
この危険な区域を「ここからここまで!」と指定するのは、原則として都道府県知事です。知事は、関係する市町村長の意見を聴いて指定し、そのことをみんなに知らせ(公示)、関係市町村長に通知します。
原則は「知事」ですが、指定都市(政令指定都市)や中核市の場合は、知事の権限が市長にバトンタッチされます。つまり、指定都市・中核市の中に区域を指定する場合は、市長が行うことになります。「知事だけじゃない」という点は、しっかりマークしておきましょう。
区域内で一定の工事(宅地造成等に関する工事)を行う場合、勝手に始めてはいけません。工事の着手前に、都道府県知事(指定都市等は市長)の許可を受ける必要があります。
ここで一つ、覚えておくと楽になる「例外」があります。それは、都市計画法の「開発許可」を受けた場合です。すでに開発許可という厳しいチェックをパスしているなら、重ねて盛土規制法の許可を取らなくてもOK(許可を受けたものとみなされる)というルールになっています。
一度許可をもらった工事でも、「やっぱり計画を変えたい」ということがありますよね。この場合、原則として改めて許可が必要です。勝手に変更して工事を進めてはいけません。
ただし、ちょっとした変更(軽微な変更)なら、許可まではいりません。その代わり、遅滞なく届け出る必要があります。
「軽微な変更」には、工事の着手予定日や完了予定日の変更などが含まれます。「届出は事前?事後?」と迷うかもしれませんが、ここは「遅滞なく(=事後でもOK)」というニュアンスで覚えておくと安心です。
宅建試験では、日常用語とは違う意味で言葉が使われることがあります。特にこの法律では、「工事主」と「宅地」の定義が独特です。
工事主というと、工事現場で作業している建設会社の人をイメージしませんか?でも、法律上の定義は少し違います。
つまり、基本的には「工事を頼んだ人(発注者)」が工事主になります。例えば、土地を持っているAさんが、建設業者B社に「工事をお願い」と頼んだ場合、工事主はAさんです。現場監督のBさんではないので、注意してくださいね。
ここが一番ややこしいかもしれません。盛土規制法における「宅地」の定義は、「家が建っている土地」ではありません。「特定の土地以外は、全部宅地!」という消去法で定義されているんです。
| 宅地ではないもの | 農地、採草放牧地、森林、公共施設用地(道路、公園、河川など) |
| 宅地となるもの | 上記以外のすべての土地 |
つまり、たとえ建物が建っていなくても、農地でも森林でも道路でもなければ、法律上は「宅地」として扱われます。「農地は宅地ではない」「道路は宅地ではない」というのは正解ですが、「建物がないから宅地ではない」というのは間違いになる可能性があります。この「引き算の考え方」を持っておくと、迷わずに済みますよ。
盛土規制法(旧宅造法)は、災害を防ぐための大切な法律です。細かい数字の規制もありますが、まずは以下の「仕組み」と「定義」をしっかりと押さえておきましょう。
法律の名前が変わっても、問われるポイントは実はあまり変わっていません。「誰が許可を出すの?」「この土地は宅地になるの?」という視点で過去問を見てみると、意外と解ける問題が多いことに気づくはずです。焦らず一つずつ、知識を定着させていきましょう!

