こんにちは。宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?
法律の用語って、漢字ばかりで少し威圧感がありますよね。
私も勉強を始めたばかりの頃は、「建築協定」という文字を見ただけで「うわ、難しそう……」とページを飛ばしたくなった覚えがあります。
でも、実はこの分野、仕組みさえイメージできれば、得点源にしやすいラッキーな単元なんです。
今日は、法令上の制限の中でも頻出の「建築協定」、そしてちょっと不思議な「一人協定」について、皆さんと一緒に整理していきたいと思います。
建築基準法という法律は、日本全国(あるいは特定のエリア)で最低限守るべきルールを定めています。
しかし、ある地域の人たちが「もっと素敵な街にしたい」「高級住宅街としてのブランドを守りたい」と思ったとき、法律の最低ラインだけでは物足りないことがあります。
そこで登場するのが建築協定です。
これは、土地の所有者や借地権者(土地を借りている人)たちが、自分たちで話し合って決める「ローカルルール」のことです。
具体的には、以下のようなことを協定で定めることができます。
- 敷地:最低これくらいの広さは確保しよう(狭い家を禁止する)
- 位置:道路から少し離して建てよう
- 構造・意匠:屋根の色を統一しよう、派手な色は禁止しよう
- 用途:コンビニや工場は建てないで、住宅だけにしよう
このように、その地域の環境や利便性を守るために、あえて法律よりも厳しい制限を自分たちに課すことができるんですね。
ポイントは、これが「お上(行政)から押し付けられたもの」ではなく、「自分たちで合意して決めたもの」だという点です。
さて、ここからが本番です。
宅建試験では、「建築協定を始めるとき、変えるとき、辞めるとき」に、それぞれどれくらいの人の賛成が必要かが頻繁に問われます。
ここをごちゃ混ぜにして覚えてしまうと、本試験で痛い目を見ることになります。
私が受験生のときに作った覚え方を紹介しますね。
新しくルールを作るわけですから、そこに住むみんなが納得していないといけません。
もし一人でも反対しているのに無理やりルールを適用したら、個人の権利を侵害してしまいますよね。
ですから、成立には土地所有者・借地権者「全員」の同意が必要です。
さらに、自分たちだけで勝手に決めるのではなく、特定行政庁(建築主事のいる市役所など)の認可をもらう必要があります。
一度決めたルールを変える場合も、影響が大きいですよね。
「やっぱり屋根は赤でもOKにしよう」と変えるとき、もし反対の人がいるのに変えてしまったら、その人は「青い屋根の街並みが好きで住んだのに!」と怒るでしょう。
ですから、変更の場合も土地所有者・借地権者「全員」の同意が必要です。
もちろん、この場合も特定行政庁の認可がセットです。
ここが最大のひっかけポイントです。
協定を廃止して、元の「法律の最低ライン」に戻す場合。
これに関しては、全員の同意までは求められていません。
廃止の場合は、土地所有者・借地権者の「過半数」の同意があればOKなんです。
「作るのと変えるのは全員!辞めるのは過半数!」
このリズムで覚えてしまいましょう。
次に、ちょっと耳慣れない「一人協定」について解説します。
普通、「協定」といったら二人以上で結ぶものですよね。
一人で協定って、独り言みたいで変な感じです。
でも、これにはちゃんとした理由があるんです。
例えば、不動産会社(デベロッパー)が広い土地を買って、そこを区画整理して「〇〇ニュータウン」として分譲販売しようとしているとします。
まだ誰も住んでいません。土地の持ち主はデベロッパー1社だけです。
でも、デベロッパーとしては「将来ここに住む人たちには、こういう街並みを守ってほしい」とあらかじめルールを決めておきたいですよね。
売った後で一人ひとりにお願いして回って、全員のハンコをもらうのは至難の業です。
そこで、土地の所有者が一人の段階で、あらかじめ建築協定を設定できるようにしたのが「一人協定」です。
一人協定も、特定行政庁の認可を受ければ成立します。
ただし、自分一人しかいない間は、協定を結んでもあまり意味がありません。
一人協定の効力が発生するのは、その土地の所有者等が2人以上になったときからです。
つまり、分譲が始まって最初のお客さんが土地を買った瞬間から、協定が動き出すイメージですね。
ここも試験に出やすい数字です。
一人協定が認可されたとしても、いつまでも一人のままでは意味がありません。
法律では、「認可の日から3年以内」に土地の所有者等が2人以上にならないと、その協定は効力を失う(確定しない)とされています。
「一人協定は3年以内に仲間を見つける!」と覚えておきましょう。
最後に、建築協定の効力について触れておきます。
特定行政庁の認可があって公告(みんなにお知らせ)された後は、その協定は誰に対して有効なのでしょうか?
当然、ハンコを押した当事者には効力があります。
では、その後に土地を買って引っ越してきた人(承継人)はどうでしょう?
「私はハンコ押してないから関係ないよ」と言えるでしょうか?
答えはNOです。
公告のあった日以後は、新しく権利を持った人(承継人)に対しても効力が及びます。
中古住宅を買った後に「こんなルール知らなかった!」と言っても通じないわけですね。
これは、せっかく作った街のルールが、人が入れ替わるたびに崩れてしまわないようにするための大切な規定です。

お疲れ様でした。建築協定の仕組み、なんとなくイメージできましたか?
細かい規定はいろいろありますが、初学者の皆さんがまず今日覚えるべきなのは、以下の3点です。
- 作る・変えるは厳しく!「全員の同意」が必要
- 辞める(廃止)は少し緩く!「過半数の同意」でOK
- 一人協定は、認可から「3年以内」に2人以上にならないとダメ
この「全員」と「過半数」の使い分け、そして「3年」という数字。
これさえ押さえておけば、建築協定の問題文を見たときに「あ、ここは違う!」と反応できるようになります。
街を歩いているときに「ここは屋根の色が揃っているな、建築協定があるのかな?」なんて想像してみると、勉強が少し楽しくなるかもしれません。
少しずつ、知識を自分のものにしていきましょうね。

