こんにちは!宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?法律用語って、漢字が四文字並ぶだけで「うっ……難しそう」と身構えてしまいますよね。
今日のテーマは、まさにそんな漢字四文字の「不完全履行(ふかんぜんりこう)」です。
字面だけ見ると難しそうですが、要するに「やったけど、中途半端だよ!」という状態のこと。日常生活でも、「掃除当番やっておいて」と言われたのに、机の上だけ拭いて床の掃除機がけを忘れているような状況、ありますよね?あれも一種の「不完全な履行」です。
宅建試験において、この分野は単独でドカンと出題されることは少ないのですが、他の重要分野とセットで理解していないと点数を落とす原因になります。
「勉強したはずなのに、本試験で問題の意味がわからなかった……」そんな悔しい思いをしないために、今日はこの不完全履行について、具体例を交えながらサクッと整理していきましょう!リラックスして読んでみてくださいね。
まずは言葉の意味から整理していきましょう。不完全履行とは、契約などの約束において、「一部は守ったけれど、一部はまだ果たせていない状態」のことを指します。
全く何もしていないわけではないけれど、完全でもない。まさに「不完全」な状態ですね。
これは、民法でいう「債務不履行(さいむふりこう)」の一種です。債務不履行には大きく分けて3つのパターンがあります。
債務不履行(約束破り)の全体像については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせて確認しておくと理解が深まりますよ。
では、具体的なケースで考えてみましょう。不動産の取引では、土地と建物がセットで売買されることがよくありますね。
このとき、売主Aさんは以下のことをしました。
この場合、Aさんは「土地を渡す」という約束の一部は果たしましたが、「建物を渡す」という部分はまだ果たしていません。これが不完全履行です。
逆に、買主Bさんの立場でも起こり得ます。代金4000万円のうち、3000万円しか支払わず、残りの1000万円を払っていない場合。これも「代金全額を支払う」という義務を完全には果たしていないので、不完全履行といえます。
さて、ここからが試験対策として重要なポイントです。不完全履行という言葉そのものが問われるというよりは、「具体的なトラブルの場面」として出題されることが多いのです。
その代表例が、「一部他人物売買(いちぶたにんぶつばいばい)」というケースです。
少し複雑な事例になりますが、イメージしながら読んでみてください。
売主Aさんが、買主Bさんと以下の契約を結びました。「私(A)が持っている甲土地と、お隣のCさんが持っている乙土地をセットであなた(B)に売ります」
「えっ、他人の土地を勝手に売っていいの?」と思いますよね。実は、民法上は他人の物であっても売買契約自体は有効なんです。
他人物売買の詳しいルールについては、こちらの過去記事で解説していますが、売主には「所有者から権利を取得して、買主に引き渡す義務」が発生します。
話を戻しましょう。売主Aさんは、自分の甲土地は無事にBさんに引き渡せました。しかし、お隣のCさんから乙土地を譲ってもらえず、結局Bさんに乙土地を引き渡せませんでした。
この場合、どうなるでしょうか?
つまり、契約全体で見ると「不完全な状態」になってしまったわけです。これも不完全履行(債務不履行)の一種として扱われます。
では、このような「不完全な状態」にされた買主Bさんは、泣き寝入りするしかないのでしょうか?もちろん、そんなことはありません。
ここで登場するのが、宅建試験の超重要ワード「契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)」です。
買主Bさんは、売主Aさんに対して、「契約の内容と違うじゃないか!(適合していないじゃないか!)」と文句を言うことができます。具体的には、以下の手段を取ることができます。
このように、不完全履行の問題は、最終的に「契約不適合責任として、買主はどんな責任追及ができるか?」という論点につながっていきます。
契約不適合責任の詳しい特約やルールについては、非常によく出題されるポイントですので、ぜひチェックしておいてください。
ここで一つだけ注意してほしいのが、「不完全履行」という言葉自体が試験の選択肢にそのまま出ることは少ないということです。
試験では、「売主は、買主に対して債務不履行責任を負うか?」「買主は、契約の解除をすることができるか?」といった形で問われます。
ですので、「これは不完全履行だ!」と言葉を暗記するよりも、「あ、これは約束の一部しか果たされていないな。ということは、買主は文句(解除や減額請求)が言える場面だな」と、状況を判断できるようになることが合格への近道です。
いかがでしたか?「不完全履行」という言葉のイメージは掴めたでしょうか。最後に、今日これだけは覚えて帰ってほしいポイントを整理します。
- 不完全履行とは「一部はやったけど、一部はまだ」の状態
- 債務不履行の一種である(約束破りの仲間)
- 「一部他人物売買」で土地の一部が引き渡せないケースが典型例
- 買主は「代金減額」「解除」「損害賠償」などが請求できる(契約不適合責任)
法律の勉強は、用語の定義を覚えることも大切ですが、それ以上に「具体的なトラブルの場面」をイメージできるかが勝負です。
「土地と建物のうち、建物だけ登記がまだ」「2つの土地を買ったのに、1つしか手に入らなかった」
こんな場面に出会ったら、「おっ、これは不完全な状態だな。じゃあ買主を保護するルールが発動するな」と思い出せるようにしていきましょう。
一歩ずつ理解を積み重ねれば、必ず合格点に届きます。今日も勉強お疲れ様でした!
