こんにちは。宅建試験の勉強、毎日おつかれさまです。民法のテキストを開いていると、聞き慣れない漢字がズラッと並んでいて、それだけで「うっ…」と気持ちが重くなってしまうこと、ありませんか?
特に今回解説する「代位弁済(だいいべんさい)」や「求償(きゅうしょう)」といった言葉は、日常生活ではまず使いませんよね。漢字だけを見ると難しそうに感じて、「ここは飛ばしてしまおうかな…」と弱気になってしまう気持ち、痛いほどよくわかります。私自身も最初は、用語の意味を調べるだけで一日が終わってしまうような状態でした。
でも、安心してください。この単語、実は言っていることはとても単純なんです。要は「借金を肩代わりしてあげた人が、あとでお金を返してと請求する話」にすぎません。
この記事では、宅建試験で頻出のA・B・Cの3人の登場人物を使って、この仕組みをストーリー仕立てで整理していきます。「なんだ、そういうことか!」とイメージができれば、難しい法律用語もスッと頭に入ってくるようになりますよ。
まずは、言葉の意味よりも「何が起きているのか」という状況を整理することから始めましょう。宅建の民法ではおなじみの、3人の登場人物を用意します。
この3人の間でどのようなドラマが起きるのか、順を追って見ていきます。
まず、AさんがBさんからお金を借りたとします。この時点で、BさんはAさんに対して「お金を返して!」と言える権利、つまり「債権」を持っています。
ところが、返済期日が来てもAさんにはお金がありません。「返せない…」と困り果ててしまいました。ここで登場するのが、保証人であるCさんです。CさんはAさんの代わりに、Bさんへ借金を全額返済しました。これを法律用語で「第三者弁済」と言います。
ここまではイメージしやすいですよね。ちなみに、そもそも「どっちが債権者でどっちが債務者だっけ?」と迷いやすい方は、こちらの記事で基礎を固めておくと、この先の話がよりスムーズに入ってきますよ。
【宅建・民法】どっちが債権者?売買契約でパニックにならないための基礎知識
さて、ここからが今日の本題です。CさんがAさんの借金を肩代わりしたことで、Bさんはお金を返してもらえました。Bさんは満足して、この物語から退場します。
では、支払ったCさんはどうなるでしょうか?ただ単に「Aさんの代わりに払ってあげて、いいことをした」で終わりではありません。Cさんのお財布からはお金が減っているわけですから、当然Aさんに請求したくなりますよね。
このとき、Bさんが持っていた「Aさんに請求する権利(債権)」が、そのままCさんに移ると考えてください。まるでCさんが、Bさんの持っていた「債権というバトン」を受け継ぐようなイメージです。
これを「弁済による代位(代位弁済)」と呼びます。「代位」とは、「代わり・位置」という漢字の通り、「債権者Bさんの位置(ポジション)に、Cさんが代わりに入る」という意味なのです。
CさんがBさんのポジション(債権者としての地位)を引き継いだ結果、CさんはAさんに対してどのようなアクションが取れるようになるのでしょうか。ここで登場するのが「求償(きゅうしょう)」という言葉です。
求償とは、シンプルに言うと「私が立て替えたお金を返してください」と請求することです。
先ほどの例で言えば、CさんはBさんに弁済することで、債権者としての地位を手に入れました(代位)。その地位に基づいて、本来の借主であるAさんに対して「あなたの代わりに払ったんだから、私に払ってね」と請求します。これが求償です。
民法の勉強をしていると、「善意・悪意」や「対抗」など、独特な言い回しに混乱することが多いですが、今回の「求償」も「後始末としての請求」と言い換えると覚えやすいかもしれませんね。こうした用語の基礎については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて読んでみてください。
宅建民法の基礎!「善意・悪意」や「対抗する」など頻出の法律用語をわかりやすく解説
ここで、試験対策としてもう一つだけ重要なポイントを押さえておきましょう。「弁済による代位」のすごいところは、ただ請求権が移るだけではないという点です。
もし、BさんがAさんの借金のために「抵当権(担保)」を持っていたとしたらどうなるでしょうか?実は、代位弁済をしたCさんは、その抵当権も一緒に引き継ぐことができるのです。
なぜなら、Cさんは「Bさんの地位」にそのまま取って代わるからです。「Bさんが持っていた武器(担保)は、そのままCさんの武器になる」と覚えておけば、応用問題が出ても迷わずに済みますよ。
いかがでしたか?「代位弁済」や「求償」という漢字の圧迫感も、ストーリーで追っていけば「なんだ、当たり前のことを言っているだけじゃないか」と思えてきたのではないでしょうか。
最後に、今日の学習で絶対に持ち帰ってほしいポイントを整理します。
勉強を始めたばかりの頃は、頭の中で考えようとするとA・B・Cがごちゃごちゃになりがちです。問題を解くときは、必ず簡単な図を書いて「誰がお金を払って、誰が権利を持ったのか」を矢印で描く癖をつけていきましょう。
そのひと手間が、本番での「うっかりミス」を防ぐ最強の武器になります。焦らず、一つひとつ、確実に理解を積み重ねていきましょうね。
