【宅建初学者へ】クーリング・オフは「できない場所」だけ覚えれば大丈夫!

【宅建初学者へ】クーリング・オフは「できない場所」だけ覚えれば大丈夫! 宅建

勉強お疲れ様です!仕事や家事の合間を縫っての勉強、本当に頭が下がります。

法律の勉強をしていると、「これって日常で使う言葉と同じ意味なのかな?」と迷うこと、ありませんか?今日のテーマである「クーリング・オフ」もその一つです。

テレビショッピングや訪問販売などでよく耳にする言葉ですが、宅建試験(宅地建物取引業法)におけるクーリング・オフには、独特のルールがあります。でも、安心してください。ここは覚えるべきポイントがはっきりしているので、一度整理してしまえば、自信を持って解答できる「得点源」になる分野なんです。

初学者の方がつまづきやすいポイントを噛み砕いて解説しますので、肩の力を抜いて読んでみてくださいね。

宅建におけるクーリング・オフの「考え方」を知ろう

まず、細かい暗記に入る前に、制度の「心」を理解しておきましょう。法律のルールには必ず理由があります。

宅建業法におけるクーリング・オフは、「プロ(宅建業者)」対「素人(一般の買主)」の取引において、素人を守るための制度です。

なぜ解除できるのか?

不動産はとても高額な買い物です。もし、ホテルのロビーや喫茶店、あるいは自宅に突然押しかけられて営業を受けたらどうでしょう?冷静な判断ができずに、「つい雰囲気に流されて契約してしまった……」ということが起こりえますよね。

そういった「冷静な判断がしにくい場所」で契約してしまった買主に、「頭を冷やす時間(Cooling Off)」を与えて、無条件で契約を解除できるようにしてあげる。これがこの制度の目的です。

なるほど。冷静になれない場所で契約した人を助けるルールなんですね。

その通りです。逆に言うと、「冷静に判断できる場所」で契約したなら、大人の約束として「やっぱりやめます」は通用しない、ということでもあります。

攻略のコツは「クーリング・オフできない場合」を覚えること

ここが最大の学習ポイントです。試験では「この場合はクーリング・オフできるか?」と聞かれます。

このとき、「できる場合」をすべて覚えようとするとキリがありません。そうではなく、「クーリング・オフができない(適用除外)」パターンを覚えて、それ以外は全部できる!と判断するのが一番効率的です。

「できない場合」は大きく分けて、「場所」「時間・状況」の2つのルールがあります。

1. 場所のルール(ここが最重要!)

以下の場所で申込みをした場合、そこは「事務所(テリトリー)」であり、買主は自分から出向いて冷静に判断できたとみなされ、クーリング・オフができません。

場所の分類 具体的な場所
事務所 ・本店、支店・継続的に業務を行う場所
案内所など ・土地に定着した建物内の案内所・モデルルーム・展示会場(※ただし、専任の宅建士を置く義務がある場所に限る)
買主の希望した場所 ・買主が「自宅(または勤務先)に来て説明してほしい」と自ら申し出た場合の自宅・勤務先

これら以外の場所(喫茶店、テント張りの案内所、業者が勝手に押しかけてきた自宅など)は、すべてクーリング・オフ可能です。

「専任の宅建士を置くべき場所」って言葉が難しいです……。

ちょっとややこしいですよね。簡単に言うと、「土地に定着した、ちゃんとした建物(案内所)」のことです。テント張りなどの簡易な場所はこれに含まれないので、クーリング・オフの対象(解除できる)になります。

ここで一つ、試験によく出る「ひっかけ問題」への対策をお伝えします。それは、「実際に宅建士がいたかどうかは関係ない」ということです。

たとえその案内所に宅建士がいなかったり、届出を忘れていたりしても、そこが「土地に定着した案内所」であれば、場所としての性質はしっかりしているので、クーリング・オフはできません。業者の法令違反と、クーリング・オフができるかどうかは別問題として扱われるのです。

「契約場所」ではなく「申込場所」で決まる!

これが、この単元で最も多くの受験生が間違えるポイントです。クーリング・オフができるかどうかは、「最初に申込みをした場所」で判断します。

ポイント
  • ケースA:喫茶店で買受の申込みをし、後日、事務所で契約を締結した。
  • ケースB:事務所で買受の申込みをし、後日、喫茶店で契約を締結した。

さて、クーリング・オフができる(解除できる)のはどちらでしょうか?

正解は、「ケースA」です。

申込みをした時点で、客としての心理状態が決まってしまうと考えます。喫茶店という「冷静になれない場所」で申し込んでしまったなら、その後で事務所に行ったとしても、もう手遅れ(心理的に拘束されている)と見るのです。

逆に、ケースBのように事務所(冷静になれる場所)で申し込んだなら、その時点で納得済みとみなされ、どこで契約しようともクーリング・オフはできません。

時間と手続きのルールも忘れずに

場所のルールをクリアして「クーリング・オフができる場所」だったとしても、以下のようにもう手遅れになっている場合は、解除できません。

2. 時間・状況のルール(できないパターン)
ポイント
  • 書面で説明を受けてから8日を経過したとき→ 業者が「クーリング・オフできますよ」と書面で告げてから8日過ぎたらアウトです。→ 逆に言うと、業者が説明していなければ、何日経っていても解除できます。
  • 物件の引渡しを受け、かつ、代金全額を支払ったとき→ 鍵ももらって、お金も全額払ったなら、もう取引完了ですよね。ここから解除はできません。→ 片方だけ(引渡しだけ、代金だけ)なら、まだ解除できます。
手続きの方法と効果

最後に、実際にクーリング・オフをする場合の手続きについて確認しておきましょう。ここも試験に出やすいキーワードがあります。

手続きの方法

必ず「書面」で行う必要があります。口頭ではダメです。そして、効力は「書面を発した時(郵便ポストに入れた時など)」に発生します。業者の手元に届いた時ではありません。ここもよく狙われます!

クーリング・オフの効果

もし解除できたら、どうなるのでしょうか。

ポイント
  • 支払ったお金(手付金や申込金など)は、全額返ってきます。
  • 業者から損害賠償や違約金を請求されることはありません。
  • これらに反する「特約(例:解除したら手付金は没収する)」を決めていても、その特約は無効になります。

徹底的に「買主(素人)」を守るためのルールになっているんですね。

今日のまとめ

いかがでしたか?少し複雑に見えるかもしれませんが、以下のポイントさえ押さえれば、過去問の多くの選択肢を削ることができます。

今日はこれだけ覚えて、勉強を終わりにしましょう!

【今日覚えることリスト】「事務所・モデルルーム」で申し込んだら、クーリング・オフできない

「テント張りだから……できる!」「事務所で申し込んでるから……できない!」といったように、問題文を読みながらマルバツが判断できるようになれば完璧です。

基本さえわかれば、必ず解けるようになります。焦らず、一つひとつ知識を自分のものにしていきましょうね。応援しています!