【宅建民法】「共同不法行為」は連帯責任?求償権のルールと覚え方を解説

こんにちは!宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?民法の分野に入ると、聞き慣れない漢字の用語が増えてきて、「やっぱり法律って難しいな……」と不安になってしまうこともありますよね。

私自身も最初は、条文の言い回しが頭に入らず、何度も同じページを読み返していました。でも、民法は「人と人とのトラブル解決ルール」だと考えると、意外と身近な話に見えてくるものです。

今回のテーマは「共同不法行為(きょうどうふほうこうい)」です。

なんだか厳めしい言葉ですが、要するに「複数人でタッグを組んで悪いことをした(損害を与えた)場合の責任」についてのルールです。試験では、誰がいくら払うのか、後でお金の調整はどうするのかといった「お金の流れ」がよく問われます。

初学者の方でもイメージしやすいように、ストーリー仕立てで解説していきますので、肩の力を抜いて読んでみてくださいね。

共同不法行為とは?「被害者を守る」ための連帯責任

まず、「共同不法行為」という言葉の意味から整理していきましょう。

これは、「数人が共同で、他人に損害を加える行為」のことを指します。たとえば、AさんとBさんが結託してCさんを騙したり、AさんとBさんの不注意が重なって交通事故を起こし、通行人のCさんに怪我をさせてしまったりするケースです。

このとき、一番守られなければならないのは誰でしょうか?もちろん、被害を受けたCさんですよね。

被害者Cさんから見れば、「AとB、どっちがどれくらい悪いか」なんて関係ないですよね。とにかく早く治療費や修理代を払ってほしいはずです。

そこで民法では、被害者を保護するために非常に強力なルールを定めています。それが「連帯して責任を負う」というルールです。

被害者は誰に請求できる?

共同不法行為において、被害者Cさんは、加害者であるAさんとBさんに対して、どのように損害賠償を請求できるのでしょうか。ここが最初の試験ポイントです。

ポイント
  • 被害者Cは、Aだけに全額請求してもよい
  • 被害者Cは、Bだけに全額請求してもよい
  • もちろん、AとBに半分ずつ請求してもよい

つまり、「被害者は、取りやすい人から全額取っていい」のです。もしAさんがお金持ちでBさんが一文無しなら、CさんはAさんに全額請求すれば、確実に損害を埋め合わせてもらえますよね。

このように、民法では「善意・悪意」などの用語もそうですが、誰を保護すべきかという視点が非常に大切です。用語の基礎に不安がある方は、こちらの記事で民法の基礎用語も確認しておくと、理解がスムーズになりますよ。

全額払った後はどうなる?仲間内での「求償」ルール

さて、ここからが共同不法行為の少しややこしいところであり、試験で狙われるポイントです。

先ほどの例で、AさんがCさんに損害賠償金(例えば100万円)を全額支払ったとしましょう。被害者Cさんはこれで満足ですが、支払ったAさんはどう思うでしょうか?

「なんで俺だけ全額払わなきゃいけないんだ!一緒にやったBだって悪いはずだろ!」って思いますよね。

その通りです。そこで登場するのが「求償(きゅうしょう)」という仕組みです。

過失割合に応じた「割り勘」の請求

Aさんが全額支払った場合、Aさんはもう一人の加害者Bさんに対して、「お前の責任分のお金を払え」と請求することができます。これを法律用語で「求償権(きゅうしょうけん)を行使する」といいます。

では、いくら請求できるのでしょうか?これは単純な割り勘ではなく、それぞれの「過失割合(責任割合)」に応じて決まります。

【例】損害額100万円の場合Aさんの過失が7割、Bさんの過失が3割だったとします。

ポイント
  • AさんがCさんに100万円を全額支払った。
  • Aさんの本来の負担額は70万円。
  • Bさんの本来の負担額は30万円。
  • Aさんは、自分が余分に払った「30万円」をBさんに求償できる。

このように、被害者に対しては「連帯責任」で全額支払う義務がありますが、加害者同士の内部関係では、しっかりと「責任の重さ」で分担するわけです。

損害賠償の考え方については、債務不履行(契約違反)の場合と比較して整理しておくと、より得点力がアップします。興味がある方は債務不履行と損害賠償の記事も併せて読んでみてください。

試験対策:判例と「誰がやったか不明」なケース

基本的な仕組みがわかったところで、宅建試験で注意すべき細かいルールを見ていきましょう。ここは暗記というより、「そういうものだ」と納得して進めるのがコツです。

1. 誰がやったか分からない場合も連帯責任

共同不法行為には、明らかに共謀している場合だけでなく、「誰が実際に損害を与えたのか分からない場合」も含まれます。

例えば、数人が暴れていて、その中の誰かが投げた石で窓ガラスが割れたとします。この時、「誰が投げたか特定できないから、誰も責任を負わない」となってしまっては、窓ガラスを割られた被害者がかわいそうですよね。

そのため、「共同行為者全員が連帯して責任を負う」ことになっています。「犯人が特定できないなら無罪」とはならない点に注意してください。

2. 詐欺などの意図的な行為との関連

共同不法行為は、交通事故のような過失だけでなく、詐欺のような意図的な犯罪行為でも成立します。例えば、Aが嘘をつき、Bが契約を急かしてCを騙した場合などです。

第三者が関わる詐欺のケースでは、契約の取消しができるかどうかが論点になりやすいですが、それとは別に「損害賠償請求」として共同不法行為が問われることもあります。

このあたりの権利関係がごちゃごちゃになりそうな時は、第三者詐欺の解説記事で、登場人物の相関図をイメージする練習をしておくと安心です。

まとめ:今日の重要ポイントはこれだけ!

共同不法行為は、条文そのものを覚えるよりも、「被害者との関係」と「加害者同士の関係」を分けて理解することが大切です。

最後に、今日これだけは覚えて帰ってほしいポイントをまとめました。

ポイント
  • 被害者への責任:加害者全員が連帯して責任を負う(被害者は誰にでも全額請求できる)。
  • 加害者同士の清算:支払った人は、他の加害者に「過失割合」に応じて求償(請求)できる。
  • 不明な場合:誰が損害を与えたか分からなくても、共同行為者全員で責任を負う。

「まずは被害者を救済する(全額払わせる)。その後で、悪い人たち同士で計算させる」という流れがイメージできれば、この分野は攻略したも同然です。

民法は一つ一つの単元が繋がっています。焦らず、まずはこの「連帯責任」と「求償」のイメージをしっかりと定着させていきましょう。今日学んだことが、試験当日の得点に繋がることを応援しています!