【宅建民法】「契約不適合責任」ってなに?4つの権利と1年の期間制限を優しく解説

【宅建民法】「契約不適合責任」ってなに?4つの権利と1年の期間制限を優しく解説 宅建

こんにちは!宅建試験の勉強、毎日おつかれさまです。法律の用語って、漢字が並んでいて威圧感がありますよね。「契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)」なんて言われると、それだけで身構えてしまうかもしれません。

以前は「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」と呼ばれていたこのルール、民法改正で名前が変わりました。でも、中身を紐解いてみると、実は私たちが普段の買い物で「あれ?注文と違うじゃん!」と思ったときに言いたい文句を、法律用語にしただけなんです。

今日は、この契約不適合責任について、難しい言葉をできるだけ使わずに、イメージ重視で整理していきましょう。ここを理解すると、民法の得点力がグッと上がりますよ。

契約不適合責任とは?まずは「ビール」でイメージ!

契約不適合責任とは、一言でいうと「引き渡されたモノが、契約の内容と違うとき、売主が負う責任」のことです。

具体的にどういうことか、「350mlのアサヒの缶ビールを100本注文した」というケースで考えてみましょう。

ポイント
  • 種類が違う:届いたのが「キリンの缶ビール」だった(銘柄違い)
  • 品質が違う:届いたビールが「賞味期限切れ」だった(品質不良)
  • 数量が違う:届いたのが「90本」しかなかった(数不足)

これらすべて、「契約の内容(アサヒ・新鮮・100本)に適合していない」状態ですよね。これが契約不適合です。もしこんなのが届いたら、買った側(買主)としては「ちゃんとしたのに交換してよ!」とか「安くしてよ!」と言いたくなりますよね。その「言いたい文句」が、これから紹介する4つの権利なんです。

買主が主張できる「4つの権利」をマスターしよう

契約不適合があった場合、買主は売主に対して次の4つのことができます。試験ではこの4つがごちゃ混ぜに出題されるので、しっかり整理しておきましょう。

1. 追完請求権(ついかんせいきゅうけん)

一番イメージしやすいのがこれです。「ちゃんとしたモノにして!」とお願いする権利です。具体的には、以下の3つの方法があります。

ポイント
  • 修補請求:壊れているから直して!
  • 代替物の引渡し請求:別のちゃんとした物と交換して!
  • 不足分の引渡し請求:足りない分を持ってきて!

ここで重要なのは、売主に過失(わざとや不注意)がなくても請求できるという点です。売主が「知らなかった」としても、契約と違う以上は直してもらえます。

ただし、もしその不適合が「買主のせいで(買主の責任で)」起きた場合は、当然ながら文句は言えません。自分が壊したのに「直せ」とは言えませんからね。

2. 代金減額請求権

これは、「直せないなら、その分まけてよ(安くしてよ)」という権利です。

基本的には、いきなり「安くして」とは言えません。まずは「直してくれ(追完請求)」と言って、相当の期間待っても直してくれない場合に、初めて「じゃあ代金を減らして」と言えるのが原則です。

ただし、「どう見ても修理不可能」な場合などは、待つ意味がないので、すぐに代金減額を請求できます。これも追完請求と同じく、売主の過失は関係ありません。

3. 損害賠償請求

「違うモノが届いたせいで、転売できずに損をした!」といった場合、お金で解決してもらう権利です。これは上記の「直して」や「安くして」とセットで使うことができます。

ただし、損害賠償を請求するには、「売主に責任(帰責事由)があること」が必要です。ここが追完請求や代金減額請求との大きな違いです。

このあたりは、債務不履行の基本ルールと同じ考え方なので、あわせて確認しておくと理解が深まりますよ。

4. 契約解除

「こんな違うモノなら、もういらない!」と契約自体を白紙に戻す権利です。これも、追完請求や損害賠償とあわせて行うことが可能です。

【ここまでのまとめ】・「直して(追完)」と「まけて(減額)」は、売主が悪くなくてもOK。・「損害賠償」は、売主が悪いときだけOK。

試験によく出る「具体例」と対応方法

試験では、「こんなケースではどうなる?」という具体的な事例が出題されます。

全部他人物売買・一部他人物売買

「売主が、他人の物を勝手に売っていた」というケースです。「そんなことあるの?」と思うかもしれませんが、不動産取引では「AさんからBさんが買う契約をしている最中に、BさんがCさんに転売する」といったケースなどで起こり得ます。

もし、売主が権利を取得できず、買主に引き渡せなかった場合、これは立派な「契約不適合」です。この場合も、買主は契約解除や損害賠償請求ができます。

数量不足・一部滅失

契約した面積より実際の土地が狭かった場合なども、契約不適合責任を問えます。「足りない分をよこせ(追完請求)」や「その分安くして(代金減額)」、あるいは「契約解除」などが可能です。

抵当権などの権利がついている場合

買った土地に、前の持ち主の借金のカタ(抵当権)がついたままだった!という場合です。もし抵当権が実行されて土地を失ってしまったら、買主は売主に対して契約不適合責任を追及できます。

一番の落とし穴!「期間制限」に注意

最後に、試験で非常によく狙われる「期間のルール」をお話しします。

契約不適合責任はずっと主張できるわけではありません。買主は、「不適合を知った時から1年以内」に売主に通知しなければ、権利を失ってしまいます。

ポイントは、「引き渡しから1年」ではなく「知った時から1年」という点です。雨漏りなどの欠陥は、住んでみないと気づかないこともありますよね。だから「気づいた時点」からカウントスタートなんです。

ただし、これには例外があります。売主が、引き渡す時に欠陥があることを「知っていた(悪意)」場合や、「重大な過失で気づかなかった」場合は、1年を過ぎても責任を追及できます。悪い売主は守らなくていい、というルールですね。

ちなみに、この民法のルールはあくまで「基本」です。宅建業法(プロである宅建業者が売主の場合)では、さらに買主に有利な特約しか認められないという厳しいルールがあります。これについては、こちらの特約の記事で詳しく解説しているので、比較して覚えておくと完璧です!

まとめ:今日はこれだけ覚えよう!

契約不適合責任は範囲が広いですが、まずは「買主ができること」を指折り数えて言えるようになりましょう。

ポイント
  • 種類・品質・数量が違うときは、契約不適合!
  • 買主の権利は4つ!「追完請求」「代金減額」「損害賠償」「解除」
  • 「直して」「まけて」は、売主が悪くなくても言える!
  • 期間制限は、「知った時から1年以内」に通知すること!

まずはこの基本をしっかり押さえておけば、過去問を解いたときに解説がスッと頭に入ってくるはずです。法律用語に負けず、一つずつクリアしていきましょうね!