【宅建民法】「復代理」の仕組みと選び方を徹底解説〜代理人の代理人じゃない!?〜

【宅建民法】「復代理」の仕組みと選び方を徹底解説〜代理人の代理人じゃない!?〜 宅建

こんにちは、宅建学習中の皆さん!今回のテーマは、民法の「代理」の中でも特に複雑で苦手意識を持つ方が多い復代理(ふくだいり)についてです。

私自身も初めて勉強した時、「代理人がまた代理人を選ぶ?もう誰が本人なの?」と混乱してしまいました。特に「法定代理」と「任意代理」の違いによって、復代理人を選べる条件や、何か問題があったときの責任の範囲が変わってくる点が非常に分かりにくいですよね。

しかし、復代理の論点は宅建試験で頻出する得点源になり得ます。今日の記事では、法律の知識が全くない方でもイメージしやすいように、復代理の基本から、法定代理と任意代理の違い、そして試験で問われる重要ポイントを徹底的に解説していきます。

この記事を読み終えれば、「復代理ってこういうことか!」とスッキリして、自信を持って過去問に挑めるようになりますよ。一緒に頑張っていきましょう!

まず、「復代理」の定義から確認していきましょう。

復代理とは、本人から代理権を与えられた代理人が、さらに別の代理人(復代理人)を選任して、その復代理人に本人を代理させることをいいます。

文字だけだと分かりにくいので、具体例で考えてみましょう。

この場合、代理人Bさんは、自分に任された「土地を売る」という行為を、復代理人Cさんに託すことになります。

ここで最大のポイントは、復代理人Cさんは、あくまでも本人Aさんの代理人だということです。代理人Bさんの代理人ではありません。

代理人の代理人じゃないの!?

そうなんです!ここが初学者がまずつまずくところかもしれませんね。復代理人が行った契約の効果は、すべて本人(Aさん)に帰属するという点が重要です。

復代理人Cさんは、代理人Bさんの代わりに働いているように見えますが、法律上はAさんのためにAさんの権限内で行動する「本人Aさんの代理人」として扱われます。

復代理に関連して、もう一つ重要な論点があります。

それは、代理人Bさんが復代理人Cさんを選任したとしても、代理人Bさんの代理権は消滅しないということです。

つまり、復代理人Cさんが本人Aさんの代理として契約できるのはもちろんですが、元の代理人Bさんも引き続きAさんの代理として契約できる権限を持っているということになります。

復代理のルールを考える上で避けて通れないのが、「代理人」の種類です。代理人には、大きく分けて「法定代理」と「任意代理」の2種類があります。

代理の基本の仕組みをまだ理解できていない方は、「代理人の種類」を別の記事で確認しておくと、よりスムーズに理解できるかもしれません。

復代理の選任ルールや、選任した後の責任の範囲は、この代理人の種類によって変わってきます。この違いこそが、宅建試験で最も狙われやすいポイントです。

代理人が復代理人を選任できる条件は、「法定代理」か「任意代理」かで大きく異なります。

この違いは、「代理権の根拠がどこにあるか」を考えると理解しやすいです。

法定代理人(親権者など)は、本人の意思とは関係なく法律の規定で代理人になっています。そのため、本人との信頼関係というよりも、本人を保護するという義務が重いため、原則としていつでも自由に復代理人を選任できます。

一方で、任意代理人は、本人からの「この人なら任せられる」という信頼(委任契約)に基づいて選ばれています。

信頼して選んだ人に、勝手に別の人に任せられたら困る!

その通りですね!だから、任意代理人が復代理人を選ぶには、原則として本人のOK(許諾)が必要です。許諾がない場合は、病気などでやむを得ない事由がある時に限定されます。

次に、代理人が復代理人を選任した後、その復代理人が何か問題を起こした場合(例えば、契約を失敗した、本人に損害を与えたなど)の責任の重さも異なります。

法定代理人は、いつでも自由に選任できる代わりに、その復代理人の行った行為について、原則として全責任を負います。ただし、病気などでやむを得ない事由で復代理人を選任した場合は、責任が少し軽減され、復代理人の選任や監督に関する責任(選任・監督上の責任)だけを負うことになります。

任意代理人は、選任のハードルが高い分、選任が許された場合は責任が軽くなります。本人の許諾を得た場合でも、やむを得ない事由で選任した場合でも、原則として選任・監督上の責任のみを負います。

「選任・監督上の責任」とは、その復代理人を「選ぶときにミスがなかったか(選任)」、「選んだ後にちゃんと見張っていたか(監督)」という範囲の責任だけを負うということです。任意代理人は、本人がOKした上で選んでいるので、選任・監督に問題がなければ、復代理人がやらかしたことの全責任までは負わなくてよい、というわけですね。

この責任の重さの違いも、試験ではひっかけ問題としてよく出題されるので、法定代理は「原則、全責任」任意代理は「原則、選任・監督上の責任」としっかり区別して覚えておきましょう。

復代理の仕組みと、法定代理・任意代理の違いによるルールが分かったところで、最後に宅建試験で確実に得点するために抑えておくべき3つの重要ポイントを整理します。

この3点をインプットすれば、復代理の過去問は怖くありません。

これは繰り返しになりますが、最も重要です。

ポイント
  • 復代理人は、本人の代理人であり、代理人の代理人ではない。
  • 復代理人の行為の効果は、すべて本人に帰属する

問題文で「復代理人が行った契約の効果は、代理人に帰属する」とあれば、それは誤りだと瞬時に判断できるようにしましょう。

これも試験で問われやすいひっかけポイントです。

ポイント
  • 代理人が復代理人を選任したとしても、代理人自身の代理権は消滅しない
  • したがって、本人を代理する権限を持つのは、「代理人」と「復代理人」の2人になる。

先ほど解説したルールの中でも、特に条件が複雑なこの2つのパターンをしっかり区別して覚えましょう。

【任意代理の選任要件】

原則: 本人の許諾が必要

例外: やむを得ない事由がある時

【法定代理の責任の例外】

原則: 全責任

例外: やむを得ない事由で選任したときは、選任・監督上の責任のみ

任意代理と法定代理では、「やむを得ない事由」が選任条件になったり、責任軽減の条件になったりと使い方が違うため、混乱しやすい箇所です。この表を何度も見返して、ごっちゃにならないように整理していけると安心です。

もし、「制限行為能力者」など、民法の基礎的な用語に不安がある場合は、そちらの記事も参考にしながら、今回の復代理の知識を定着させていきましょう。

今回は宅建民法の復代理について解説しました。初学者の皆さんにとって、登場人物が多くて複雑に感じたかもしれません。

しかし、試験で狙われるポイントは、実はシンプルなルールに絞られています。

この記事を読んで「今日はここだけは確実に覚える!」と決めてほしいポイントは、以下の3つです。

ポイント
  • 復代理人はあくまでも「本人の代理人」(代理人の代理人ではない!)
  • 復代理人を選任しても、元の代理人の代理権は消滅しない
  • 任意代理は「許諾 or やむを得ない事由」でしか選任できない

まずはこの3点をインプットして、過去問で出題されている文章に慣れる練習をしてみてください。一つひとつ、着実に知識を積み上げていけば、必ず得点源にできますよ!

また、代理の論点では「心裡留保・虚偽表示・詐欺・錯誤・強迫を徹底比較!」といった、他の意思表示の論点とごっちゃになりがちな知識も多くありますので、この機会に合わせて復習してみてはいかがでしょうか。