【宅建民法】「損害賠償」は2パターンだけ!不法行為と債務不履行の違いをサクッと攻略

こんにちは。宅建試験の勉強、毎日おつかれさまです。「民法の用語が難しくて、なかなか頭に入ってこない…」と悩んでいませんか?

特に「損害賠償請求」なんて言葉が出てくると、漢字の画数が多いだけで身構えてしまいますよね。

でも、安心してください。これは要するに「相手のせいで損をしたから、お金で償ってね」と請求することです。

本記事では、宅建試験でよく狙われる「損害賠償」の重要ポイントについて、初学者の方がつまずきやすい部分を中心に、やさしく噛み砕いて解説していきます。

覚えるべき数字やルールは限られています。焦らず、ひとつずつ整理していきましょう。

損害賠償請求ができる「2つのパターン」を整理しよう

まず最初に整理しておきたいのは、「どんな時にお金を請求できるのか?」という点です。

宅建試験(民法)において、損害賠償請求が登場する場面は大きく分けて2つあります。

ポイント
  • ① 不法行為(ふほうこうい):交通事故などのトラブル
  • ② 債務不履行(さいむふりこう):契約違反

この2つの違いをイメージできると、あとのルールがすっと頭に入ってきます。

1. 不法行為(ふほうこうい)とは?

不法行為とは、契約関係がない「赤の他人」の間で起こるトラブルのイメージです。

一番わかりやすいのが交通事故です。たとえば、Aさんが運転中に前方不注意で、歩いていたBさんにケガをさせてしまった場合。

AさんとBさんの間に契約書はありませんが、Aさんの「過失(不注意)」によってBさんは損害を受けています。この場合、被害者Bさんは加害者Aさんに対して「治療費や慰謝料を払ってくれ」と言えますよね。これが不法行為に基づく損害賠償請求です。

2. 債務不履行(さいむふりこう)とは?

一方で、債務不履行は「約束(契約)を破った」場合の話です。

たとえば、建物の売買契約を結んだのに、売主が約束の日に建物を引き渡してくれなかった場合などがこれにあたります。

買主は「引き渡しが遅れたせいでホテル暮らしをする羽目になったから、そのホテル代を払ってくれ」と請求できます。これが債務不履行に基づく損害賠償請求です。

契約という「つながり」があるのが債務不履行、突発的な事故などが不法行為、とイメージしておきましょう。
試験に出る!「過失相殺」のルールの違い

さて、ここからが試験で狙われる重要ポイントです。

損害賠償の額を決めるとき、「被害者側にも落ち度(過失)があった場合どうするか?」という問題があります。

これを「過失相殺(かしつそうさい)」と言います。

たとえば交通事故で、車も悪かったけれど、歩行者も赤信号を無視していたような場合です。「あなたも悪かったんだから、その分は賠償額から差し引きますよ」という調整のことですね。

この過失相殺について、裁判所がどう判断するか?実は「不法行為」と「債務不履行」でルールが違うんです。

不法行為の場合:裁判所は「任意」

不法行為(交通事故など)の損害賠償の場合、裁判所は過失相殺を「することができます」

あくまで「できる」であって、「しなければならない(義務)」ではありません。被害者がかわいそうな場合など、事情によっては過失相殺しなくてもよい、という裁量が裁判官に認められています。

債務不履行の場合:裁判所は「義務」

一方で、債務不履行(契約違反)の損害賠償の場合、裁判所は「必ず過失相殺をしなければなりません」

契約はお互いの約束事ですから、お互いの落ち度をきっちり計算して(=過失を考慮して)、公平に金額を決めなさい、というルールになっています。

ここは非常によく出るひっかけポイントですので、表で整理しておきましょう。

原因 過失相殺のルール
不法行為(事故など) 裁判所は考慮「することができる」(任意)
債務不履行(契約違反) 裁判所は考慮「しなければならない」(義務)

「契約関係(債務不履行)はシビアに計算する(義務)」と覚えておくと良いかもしれませんね。

知らないと損する?損害賠償請求権の「時効」

最後にもう一つ、試験で頻出なのが「時効(消滅時効)」の話です。

被害を受けたからといって、いつまでも請求できるわけではありません。一定期間放置すると、権利は消えてしまいます。

この期間についても、少し細かい数字が出てきますが、「モノ」か「ヒト」かで区別すると覚えやすくなります。時効の基本とも関わってきますが、不法行為特有の数字をしっかり押さえましょう。

①「物」を壊された場合(物損)

車をぶつけられた、家の塀を壊された、といった「物損」の場合です。

ポイント
  • 被害者または法定代理人が「損害」および「加害者」を知った時から:3年間
  • 不法行為の時(物を壊された時)から:20年間

このどちらかの期間が経過すると、時効によって権利が消滅します。

②「人」の生命・身体が害された場合(人損)

ケガをさせられた、後遺症が残った、といった「人損」の場合です。人の命や体はモノよりも大切ですよね。だから、権利を行使できる期間が少し長く設定されています。

ポイント
  • 権利を行使できることを知った時から:5年間
  • 権利を行使できる時(事故の時など)から:20年間

「知ってから3年」か「知ってから5年」か。ここが最大の分かれ目です。

人の命や体に関わることは、被害回復のチャンスを長く守ってあげる必要がある、と考えれば「5年」という長い数字も納得しやすいですね。

なお、これらのルールは民法の基礎用語に慣れていないと混乱しやすいので、表にして視覚的に覚えてしまいましょう。

被害の種類 知った時から(主観) 行為の時から(客観)
物の損害(物損) 3年間 20年間
人の生命・身体(人損) 5年間 20年間

「20年」という数字は共通ですが、「知ってから」の期間が3年か5年かで引っかけ問題が出ます。ここだけは今日、必ず覚えて帰ってくださいね。

まとめ:今日の重要ポイント

損害賠償請求は、少し複雑に見えますが、試験で問われるのは「比較」のポイントです。最後に要点を整理します。

ポイント
  • 損害賠償には「不法行為(事故など)」と「債務不履行(契約違反)」の2パターンがある。
  • 過失相殺について、不法行為は「任意(できる)」だが、債務不履行は「義務(必ずする)」
  • 不法行為の時効(知った時から)は、物は3年、人は5年

まずはこの3点だけしっかり押さえておけば、過去問の選択肢がかなり削れるようになります。

勉強を始めたばかりのころは、似たような数字や言葉に惑わされそうになりますが、「なぜ違うのか?」という理由(人の命は重いから5年、など)をセットにすると忘れにくくなりますよ。

焦らず一歩ずつ、知識を定着させていきましょう。