【宅建民法】お小遣いは取り消せない?「未成年者」の法律行為をわかりやすく解説

【宅建民法】お小遣いは取り消せない?「未成年者」の法律行為をわかりやすく解説 宅建

こんにちは。宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?法律の勉強を始めると、普段何気なく使っている言葉でも「えっ、法律だとそんな意味なの?」と驚くことがたくさんありますよね。

今回のテーマは「未成年者」です。「未成年って、18歳未満のことでしょ? それだけじゃないの?」と思われるかもしれません。ですが、宅建試験(民法)においては、「未成年者が行った契約はどうなるのか?」「親の同意は絶対に必要なのか?」といった、より踏み込んだルールが問われます。

私自身も最初は、「未成年でも結婚してたらどうなるんだっけ?」と混乱した覚えがあります。この分野は、ルールさえ整理できていれば確実に得点源にできるポイントです。難しく考えすぎず、一つひとつ基本を確認していきましょう。

宅建における「未成年者」の定義と基本ルール

まずは、民法における「未成年者」の定義をしっかり押さえましょう。現在は、18歳未満の者を未成年者と呼びます。

以前は「結婚していれば未成年でも成年とみなす(成年擬制)」というルールがありましたが、成人年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、このルールはなくなりました。シンプルに「18歳未満=未成年」と覚えてしまって大丈夫です。もちろん、離婚したからといって成年者扱いになるわけでもありません。

なぜ未成年者は守られているのか?

民法では、未成年者は「判断能力がまだ不十分な人」として扱われます。これを法律用語では「制限行為能力者」と呼びます。

一人で契約をして、高額な商品を売りつけられたり、不利な契約を結ばされたりしないように、法律が強力なバリア(保護)を用意しているのです。制限行為能力者には他にも種類がありますが、まずはこの「未成年者」のルールを完璧にすることが大切です。

制限行為能力者の全体像については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて読んでみてくださいね。【宅建民法】「制限行為能力者」ってなに?4つの種類と保護のルールを優しく解説

原則:親の同意がない契約は「取り消し」ができる

未成年者を守る最大の武器が「取消権」です。未成年者が、法定代理人(親など)の同意を得ずに勝手に契約(法律行為)をした場合、その契約は原則として後から取り消すことができます。

「やっぱりやめます!」って言えば、最初から契約がなかったことにできるんだね。

その通りです。これによって、未成年者が損をしないように守られているわけですね。

ここで一つ重要なポイントがあります。契約を取り消すときには、親の同意は不要です。「契約するとき」には同意が必要ですが、「取り消して白紙に戻すとき」には、未成年者が単独で決めても問題ありません。

試験によく出る!取り消しができない「3つの例外」

さて、ここからが宅建試験の本番です。「未成年者はいつでも取り消せる」と覚えてしまうと、ひっかけ問題に足元をすくわれます。

実は、未成年者が単独で行っても「有効」となり、後から取り消すことができない行為がいくつかあります。特に重要な3つの例外を、しっかり頭に入れておきましょう。

例外①:単に権利を得たり、義務を免れたりする行為

未成年者にとって「得しかしない」行為であれば、親の同意は要りません。具体的には以下のようなケースです。

ポイント
  • お年玉やプレゼントをもらう(贈与を受ける)
  • 借金を帳消しにしてもらう(債務免除)

これらは未成年者に不利益がないため、制限する必要がないのです。ただし、「負担付贈与(家をあげる代わりにローンの残りを払ってね、というようなもの)」は義務も負うことになるため、親の同意が必要です。

例外②:法定代理人が処分を許した財産の処分

少し難しい言い回しですが、簡単に言えば「お小遣いの範囲内での買い物」のことです。

親から「これでお菓子でも買いなさい」と渡されたお金(処分を許された財産)を使って契約(買い物)をした場合は、後から「やっぱり取り消します」とは言えません。もしこれが取り消せたら、コンビニでお菓子を買うたびに店員さんが親の同意書を確認しなければならなくなってしまいますよね。

例外③:法定代理人から営業の許可を受けた場合

これが宅建試験で最も狙われやすいポイントかもしれません。未成年者であっても、親から「商売をしていいよ」と許可(営業の許可)を受けた場合、その営業に関しては成年者と同じ扱いを受けます。

例えば、親から許可をもらって個人事業主として古着屋を営んでいる未成年者は、仕入れの契約などを単独で行えますし、それを「未成年だから」という理由で取り消すことはできません。

法定代理人(親)ができること・取消権者まとめ

最後に、登場人物ごとの権利関係を整理しておきましょう。試験では「誰が取り消せるのか?」「誰が同意できるのか?」が問われます。

法定代理人が持つ4つの権利

未成年者の保護者である法定代理人(一般的には親)は、以下の権利を持っています。言葉の意味を、イメージで理解しておきましょう。

同意権 未成年者が契約する前に「いいよ」と許可する権利
代理権 未成年者に代わって契約を行う権利
取消権 同意なく行った契約を後から白紙に戻す権利
追認権 契約後に「その契約を有効なものとして認めます」とする権利

特に「追認」は聞き慣れない言葉かもしれませんが、「後出しジャンケンでOKを出すこと」とイメージすると分かりやすいです。追認については、以下の記事でも詳しく解説しています。

【宅建】「追認」で悩んでる?法定追認の覚え方と取消権の放棄をわかりやすく解説

誰が契約を取り消せるのか?

もし未成年者が勝手に高額なバイクを買ってしまった場合、誰がお店に「取り消します」と言えるのでしょうか?正解は以下の3人です。

ポイント
  • 未成年者本人(親の同意は不要!)
  • 法定代理人(親)
  • 今は成年者になった元未成年者(成人してから自分で取り消す)

「未成年者本人が取り消すには、親の同意が必要」というひっかけ問題がよく出ますが、これは×(バツ)です。取り消しという行為は、本人にとって不利益にならない(義務が消えるだけ)なので、一人でできるのです。

まとめ:今日の重要ポイント

いかがでしたか?未成年者の問題は、日常感覚に近いようでいて、実は「例外」のルールが試験の合否を分けます。最後に、今日これだけは覚えて帰ってほしいポイントをまとめました。

ポイント
  • 未成年者とは18歳未満の者をいう(婚姻しても未成年のまま)。
  • 未成年者が親の同意なく行った契約は、原則として取り消しができる
  • ただし、「単に権利を得る行為」「お小遣いの範囲(処分を許された財産)」「営業許可を受けた場合」の3つは取り消せない。
  • 取り消しをするのに、親の同意は不要

この「3つの例外」だけでも暗記しておくと、模試や過去問で選択肢を絞り込める場面がぐっと増えるはずです。法律用語に最初は戸惑うかもしれませんが、一つひとつ「要するにこういうこと」と自分の言葉に置き換えていくのが合格への近道です。

これからも、少しずつ知識の引き出しを増やしていきましょう。応援しています!