こんにちは!宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?民法の分野に入ると、聞き慣れない言葉が増えてきて、「なんだか難しそう……」と不安になってしまうこともありますよね。
今回のテーマは「保証(ほしょう)」です。
「保証人」という言葉、ドラマや映画で「連帯保証人になって借金を背負う……」みたいな怖いシーンで聞いたことがありませんか?あのようなイメージが先行して少し怖い印象があるかもしれませんが、宅建試験で問われるポイントは、実はとてもシンプルで論理的なルールばかりです。
「誰と誰が契約するのか?」「保証人はどんな時に断れるのか?」といった基本的な仕組みを整理すれば、確実に得点源にできる分野ですよ。法律の言葉に少しずつ慣れながら、一緒にポイントを押さえていきましょう!
「保証」って難しそうな漢字が並ぶけど、要するに「借金を代わりに返す人」のことですよね?
その通りです!ただ、試験では「どうやって契約するか」「どんな権利があるか」が細かく問われるので、そのルールをしっかり見ていきましょう。
まず最初に、一番間違えやすいけれど一番大切なポイントからお話しします。それは、「保証契約は、誰と誰の間で結ぶ契約なのか?」という点です。
例えば、Aさん(主たる債務者)がお金を借りて、Cさん(保証人)にお願いする場合を想像してみてください。AさんがCさんに「ねえ、僕の保証人になってよ」と頼むシーンが浮かびますよね。
しかし、法律上の「保証契約」の当事者は、AさんとCさんではありません。「債権者(お金を貸している人)」と「保証人」の2人で結ぶ契約なのです。
ここ、試験でひっかけ問題としてよく出題されます。「主たる債務者と保証人が契約を締結した」と書かれていたら、それは間違いです。そもそも「債権者ってどっちだっけ?」と迷ってしまう方は、まずはこちらの記事で言葉のイメージを掴んでおくとスムーズですよ。
【宅建・民法】どっちが債権者?売買契約でパニックにならないための基礎知識
もう一つ、絶対に覚えておきたいのが「保証契約は書面(または電磁的記録)でしなければ無効」というルールです。
民法の契約の多くは「口約束(諾成契約)」でも成立するのですが、保証契約は別です。「いいよ、保証人になってあげるよ」と口で言っただけでは、法的効力は発生しません。後で「言った・言わない」のトラブルになりやすく、責任も重いため、慎重に書面を交わすことが義務付けられているんですね。
さて、ここからは少し専門的な言葉が出てきますが、イメージできれば簡単です。保証債務には、「付従性(ふじゅうせい)」と「随伴性(ずいはんせい)」という2つの大きな特徴があります。
付従性とは、簡単に言うと「主役(主たる債務)がいないと、脇役(保証債務)も存在できない」という性質です。
つまり、保証人はあくまで「主たる債務者のサポート役」なので、本体がなくなれば用済みになる、ということです。
随伴性とは、「債権者が変わったら、保証人も一緒についていく」という性質です。
例えば、債権者Bさんが、Dさんに「貸金債権」を売ったとします(債権譲渡)。この時、保証人Cさんの義務はどうなるでしょうか?「私はBさんだから保証人になったんだ!Dさんなんて知らない!」とは言えません。債権がDさんに移れば、保証債務もセットでDさんの元へ移転します。
債権譲渡については少しややこしい部分もあるので、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてくださいね。
【宅建民法】借金が売られる?「債権譲渡」の仕組みと試験に出る対抗要件を解説!
「いきなり保証人に請求が来たらどうしよう……」と不安になりますよね。でも、普通の保証人には、債権者からの請求に対して「ちょっと待った!」と言える権利(抗弁権)が2つ認められています。
債権者がいきなり保証人のところへ来て「金返せ!」と言ってきた時。保証人は「まずは主たる債務者(借りた本人)に請求してください!」と主張することができます。これを「催告の抗弁権」といいます。
ただし、例外があります。以下の場合は、この権利を使えません。
本人がいない、または破産してしまった場合は、「本人に言え」とは言えないわけですね。
では、債権者が本人に請求したけれど、「ない袖は振れない」と断られたとして、すぐに保証人が払わなければならないのでしょうか?ここでもう一つの権利、「検索の抗弁権」が登場します。
これは、「主たる債務者にお金(財産)があるなら、まずそこから回収(差押えなど)してください!」と言える権利です。
ただし、これを主張するためには、保証人が以下の2点を証明する必要があります。
この2つの「抗弁権」があるのが、普通の保証人の強みです。(※ちなみに、「連帯保証人」になると、これらの権利が一切なくなります。これが連帯保証の怖いところですね。)
最後に、試験で狙われやすい細かいルールを整理しておきましょう。
保証人が返さなければならない範囲は、借りた金額(元本)だけではありません。「利息」「違約金」「損害賠償」などもすべて含まれます。「1000万円の保証人になったから1000万円返せばいい」と思っていたら、利息で膨れ上がっていた……なんてこともあるのです。
主たる債務者が「保証人を立ててくれ」と言われて誰かにお願いする場合。保証人になる人は、以下の条件を満たす必要があります。
つまり、未成年者などの制限行為能力者は、保証人にはなれません(主たる債務者が指名して立てる場合)。ただし、債権者自身が「この人でいいよ」と指名した場合は、制限行為能力者でも保証人になれます。
「制限行為能力者ってなんだっけ?」という方は、未成年者や被後見人などのルールを復習しておくと安心です。
【宅建民法】「制限行為能力者」ってなに?4つの種類と保護のルールを優しく解説
お疲れ様でした!保証のルールは、登場人物の関係図を描きながら整理するとわかりやすくなります。今日の学習で、最低限これだけは覚えておきたいポイントをまとめました。
【今日の覚えたいポイント】
この基礎を固めておけば、応用問題である「連帯保証」との違いもスムーズに理解できるようになります。まずは焦らず、基本の「普通の保証」のイメージをしっかり定着させていきましょう!

