宅建の法令上の制限「建ぺい率」を完全攻略!角地や防火地域の緩和をわかりやすく解説

宅建の法令上の制限「建ぺい率」を完全攻略!角地や防火地域の緩和をわかりやすく解説 宅建

こんにちは!法令上の制限の分野に入ると、急に数字や計算が出てきて「うわっ、苦手だな」と感じてしまうことはありませんか?私も実は、学生時代から数学が大の苦手でした。「建ぺい率」という漢字を見ただけで、なんだか難しそう……とテキストを閉じたくなったのを覚えています。

でも、安心してください。宅建試験で出る「建ぺい率」の話は、複雑な計算式を解くようなものではありません。どちらかというと、「どのくらい敷地いっぱいに建物を建てていいの?」という広さのルールを知るパズルのようなものです。

今日は、この建ぺい率について、初学者の方が特につまずきやすい「緩和ルール(ボーナス)」や「異なる地域にまたがる場合」を中心に、やさしく整理していきましょう。今日の内容を押さえれば、法令上の制限の得点源がひとつ増えますよ。

建ぺい率(建蔽率)とは?イメージで掴む基本のルール

まず、「建ぺい率」という言葉の意味から確認していきましょう。漢字が少し難しいですが、これはシンプルに言うと「敷地全体のうち、建物を建てていい面積の割合」のことです。

土地を買っても、その土地いっぱいに建物を建てていいわけじゃないんだね。
そうなんです。もしみんなが敷地ギリギリまで建物を建ててしまうと、火事のときに延焼しやすかったり、風通しや日当たりが悪くなったりしますからね。

計算式としては以下のようになります。

例えば、100㎡の土地があって、建ぺい率が「80%(10分の8)」と決められていたとします。この場合、最大で80㎡までの広さ(建築面積)の建物を建てることができます。残りの20㎡は、庭や駐車場として空けておかなければならない、というイメージですね。

試験でよく出る「分数」の表記に慣れよう

宅建の試験問題では、「80%」や「60%」という書き方よりも、「8/10」や「6/10」といった分数で表記されることがほとんどです。

ポイント
  • 80% ⇒ 8/10
  • 60% ⇒ 6/10

最初は見慣れないかもしれませんが、「分母は常に10なんだ」と思えば、すぐに慣れていけるはずです。ちなみに、一番建ぺい率が大きい(たくさん建てられる)のが商業地域です。商業地域は原則として「8/10(80%)」と法律で決まっています。街の中心部はビルが密集していますが、あれは建ぺい率が高く設定されているからなんですね。

【重要】建ぺい率がプラスされる「緩和ルール」を整理する

さて、ここからが今日の本番です。基本のルールはあるものの、一定の条件を満たすと「もう少し広く建てていいですよ」というおまけ(緩和)がもらえます。試験ではこの「緩和条件」が非常によく問われます。

緩和されるパターンは、大きく分けて「+1/10(+10%)」されるケースと、それらが組み合わさって「+2/10(+20%)」されるケースがあります。

建ぺい率が「+1/10」される3つのパターン

まずは、建ぺい率の制限が1割ゆるくなる(1/10加算される)ケースを見てみましょう。以下の3つのどれかに当てはまると、ボーナスゲットです。

ポイント
  • 特定行政庁が指定する「角地(かどち)」にある場合交差点の角などは、周りに道路があって延焼もしにくく、空間も広いので、少し大きく建ててもOKとされます。
  • 「防火地域」内で「耐火建築物」等を建てる場合燃えにくい頑丈な建物なら、隣と近くても安全性が高いので優遇されます。
  • 「準防火地域」内で「耐火建築物」等または「準耐火建築物」等を建てる場合準防火地域でも、燃えにくい建物を建てるなら優遇しましょう、というルールです。
なるほど、火事に強い建物や、角地だと優遇されるんだね。
ダブルで満たすと「+2/10」のボーナス!

さらに、上記の条件を組み合わせて満たすと、ボーナスが合算されて「+2/10(+20%)」になります。ここが試験のひっかけポイントになりやすいので注意しましょう。

ポイント
  • 「角地」+「防火地域内の耐火建築物等」 = +2/10
  • 「角地」+「準防火地域内の耐火・準耐火建築物等」 = +2/10

つまり、「角地」という条件と、「燃えにくい建物」という条件が揃えば、2割増しで建てられると覚えておくとスムーズです。

制限がなくなる?建ぺい率が「100%」になる例外

緩和ルールの中でも最強なのが、「建ぺい率の制限がなくなる(10/10になる)」パターンです。これはつまり、敷地いっぱいに建物を建てて良いということです。

特に覚えておきたいのは、次の組み合わせです。

もともと8/10(商業地域など)でたくさん建てられる場所において、さらに「防火地域」内で「耐火建築物」を建てるなら、もう制限なしで100%使っていいですよ、というルールです。

さっきの「+1/10」のルールと混同しやすいので注意してくださいね。元が「8/10」の場所で防火・耐火なら、「+1/10して9/10」になるのではなく、一気に制限なし(10/10)になります。

その他にも、以下のような建物は建ぺい率の制限を受けません。

ポイント
  • 派出所(交番)、公衆便所、公共用歩廊など
  • 公園、広場、道路、川の中にある建築物で、特定行政庁が認めたもの

交番や公衆トイレは、街の安全や衛生のために必要なものなので、敷地の広さ制限で建てられないと困りますよね。だから特別扱いなんだ、とイメージしておきましょう。

敷地がまたがる場合の建ぺい率計算

最後に、少し実践的な計算のお話です。ひとつの敷地が、「建ぺい率6/10の地域」と「建ぺい率8/10の地域」にまたがっている場合はどうなるでしょうか?

この場合、「厳しい方に合わせる」のではありません。それぞれの地域の面積に応じた「加重平均(按分)」で計算します。容積率と同じ考え方ですね。

計算のイメージ

言葉だとわかりにくいので、具体例で見てみましょう。合計100㎡の土地が、以下のように分かれているとします。

ポイント
  • 左側(30㎡):建ぺい率 6/10
  • 右側(70㎡):建ぺい率 8/10

この場合、それぞれの部分で建てられる面積を計算して、合計します。

ポイント
  • 左側:30㎡ × 6/10 = 18㎡
  • 右側:70㎡ × 8/10 = 56㎡
  • 合計:18㎡ + 56㎡ = 74㎡

つまり、この土地全体では74㎡まで建てられることになります。これを全体の面積100㎡で割ると、この土地全体の建ぺい率は「74/100 = 7.4/10(74%)」となります。

試験対策としては、「またがっている時は、それぞれの面積で計算して足し算(加重平均)する」ということだけ覚えておけば大丈夫です。「厳しい方(6/10)になる」というひっかけ問題がよく出るので、そこだけは騙されないようにしましょう。

まとめ:今日の重要ポイント

建ぺい率は、数字が出てくるので身構えてしまいますが、問われるパターンは決まっています。今日の学習を整理して、以下のポイントだけはしっかり持ち帰ってください。

ポイント
  • 建ぺい率は「建築面積 ÷ 敷地面積」のこと。
  • 商業地域の建ぺい率は原則8/10
  • 「角地」なら+1/10。
  • 「防火地域・準防火地域」で「燃えにくい建物」なら+1/10。
  • 上記2つを両方満たすなら+2/10
  • 「8/10の地域」で「防火地域内の耐火建築物」なら100%(制限なし)
  • 地域がまたがる場合は、それぞれの面積で計算して合計する(加重平均)。

まずは「角地はボーナス」「燃えにくい建物もボーナス」というイメージを持つことから始めてみてください。一つひとつクリアしていけば、必ず法令上の制限も得意分野になります。一緒に頑張っていきましょう!