宅建初学者向け!都市計画法「地区計画」と「都市施設」を優しく解説

宅建初学者向け!都市計画法「地区計画」と「都市施設」を優しく解説 宅建

こんにちは。宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?法律の勉強をしていると、どうしても漢字の羅列に圧倒されてしまうことがありますよね。特に都市計画法に入ると、「○○区域」「○○地区」「○○計画」といった似たような言葉が次々と出てきて、頭が痛くなることもあるかもしれません。

私自身も最初は、テキストのページをめくるたびに「また新しい区域が出てきた…」と溜息をついていました。でも、これらの言葉は「私たちが快適に暮らすための街づくりのルール」だと考えると、少し身近に感じられるようになります。

今回は、都市計画法の中でも生活に密着した「都市施設」や、それぞれの街の個性を守る「地区計画」について解説していきます。試験で問われやすいポイントを絞ってお伝えしますので、肩の力を抜いて読んでみてくださいね。

「地区計画」とか「市街地開発事業」とか、漢字が多すぎて覚えられそうにないです…。全部暗記しなきゃダメですか?

全部を一言一句暗記する必要はありませんよ!まずは「どんな目的でそのルールがあるのか」をイメージすることが大切です。そうすれば、自然と頭に入ってくるはずです。

都市施設とは?生活を支える不可欠なインフラ

まずは、「都市施設」という言葉から整理していきましょう。難しそうな名前ですが、要するに「みんなが生活するのに絶対必要な施設」のことです。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

ポイント
  • 道路、都市高速鉄道(移動手段)
  • 公園、緑地(憩いの場)
  • 水道、電気、ガス(ライフライン)
  • 学校、病院(生活基盤)
  • ごみ焼却場(衛生施設)

これらがなければ、私たちは安心して都市で生活することができませんよね。そのため、都市計画法では「必要な都市施設をあらかじめ計画して定めておこう」と決めているのです。

都市施設の設置場所のルール

ここで試験対策として覚えておきたいのが、「どこに設置できるか」というルールです。

原則:都市計画区域内で定める例外:特に必要があるときは、都市計画区域外でも定められる

基本的には都市計画区域(街づくりの対象エリア)の中に作りますが、例外も認められています。たとえば、「道路」は街の外ともつながっていますし、「水道の水源地」などは街中には確保できませんよね。そのため、「特に必要があるときは区域外でもOK」とされているのです。「都市施設は絶対に区域内でなければならない」というひっかけ問題には注意しましょう。

地区計画は「それぞれの街に合った細かいルール」

次に、今回のメインテーマである「地区計画」について見ていきます。都市計画法全体が「大きな街づくりの方針」だとすれば、地区計画は「もっと狭いエリア(町内レベル)の細かいルール」です。

たとえば、「この住宅街はレンガ造りの家で統一して、オシャレな街並みにしよう」とか、「この通りは歩行者天国にして、お店を並べやすくしよう」といった、その地域ごとの特性に合わせた「小さな街づくり」を行うのが地区計画です。

地区計画はどこに定められる?

地区計画は、住民にとって一番身近なルールです。そのため、設定できる場所も比較的柔軟です。

ポイント
  • 用途地域が定められている場所:どこでも定められる
  • 用途地域がない場所:一定の条件(住宅環境を守る必要があるなど)を満たせば定められる

つまり、用途地域外であっても、必要があるなら地区計画を作ることができるという点を押さえておきましょう。

地区計画で決める中身

地区計画では、そのエリアの将来像(目標)を決めるとともに、具体的な「地区整備計画」を定めます。たとえば以下のような細かい規制を盛り込むことができます。

ポイント
  • 建物の高さの最高限度・最低限度
  • 建物の敷地面積の最低限度
  • 壁面の位置の制限(道路から少し離して建ててね、など)
  • 建物のデザインや色(景観を守るため)

また、再開発を進めたいエリアには「再開発等促進区」、商業施設や工場などを呼び込んで整備したいエリアには「開発整備促進区」といった特別な名称がつくこともありますが、まずは「地区計画=地域独自の細かいルール」というイメージを持てれば十分です。

ここが重要!地区計画区域内での「届出」

さて、ここが今回の記事で一番覚えてほしいポイントです。地区計画が定められている区域内で、家の建築や土地の造成工事を行う場合、どうすればいいのでしょうか?

勝手に工事をして、せっかく決めた街づくりのルール(地区計画)を無視されたら困りますよね。そこで、工事をする人には事前の「届出」が義務付けられています。

ここ、試験によく出ます!「いつまでに」「誰に」届け出るのかをチェックしましょう。

【地区計画区域内での行為の制限】土地の区画形質の変更、建築物の建築などを行う場合、行為に着手する30日前までに、市町村長に届け出なければならない。

ポイントは以下の3点です。

ポイント
  • 許可制ではなく「届出制」(許可をもらう必要はないが、知らせる必要はある)
  • タイミングは「着手する30日前まで」(工事を始めてからでは遅い!)
  • 相手は「市町村長」(都道府県知事ではない!)

もし、届け出た内容が地区計画に合っていない場合、市町村長は「設計を変更してください」といった勧告をすることができます。「許可」まではいらないけれど、ルール違反にはしっかり「勧告」が入る、というバランス感覚を理解しておくと安心です。

市街地開発事業とその他の区域もざっくり把握

最後に、少し大きな話になりますが、「市街地開発事業」などの用語についても触れておきます。これらは「これから新しく街を作るぞ!」「古くなった街を一気に作り直すぞ!」という大規模なプロジェクトのことです。

市街地開発事業とは?

「市街地開発事業」は、特定のエリアを面的に整備する事業の総称です。代表的なものに以下の2つがあります。

ポイント
  • 土地区画整理事業:ぐにゃぐにゃの土地を綺麗に区画整理して、道路や公園を作る事業。
  • 市街地再開発事業:駅前などの古い建物を壊して、大きなビルや広場を一体的に整備する事業。

これらが予定されている区域を「予定区域」と呼び、これから事業を促進していく区域を「促進区域」と呼びます。細かい定義よりも、「大規模な工事で街をリニューアルすることなんだな」というイメージを持っておきましょう。

忘れがちな2つの区域

試験対策として、余裕があれば以下の2つも頭の片隅に入れておくと良いでしょう。

(a) 遊休土地転換利用促進地区市街化区域内にあるのに、長い間使われずに放置されている広い土地(遊休土地)に対して、「もっと有効活用してください」と促すための地区です。土地を遊ばせておくのはもったいないし、街の発展の邪魔になるからです。

(b) 被災市街地復興推進地域地震や火災などの災害で大きな被害を受けた場所について、緊急かつ健全な復興を目指すために定められる地域です。通常のルールを少し緩和したりして、いち早く街を再生させるための仕組みです。

まとめ:まずは「30日前までに届出」を覚えよう

いかがでしたか?都市計画法は範囲が広いですが、私たちの生活に直結するルールばかりです。特に「地区計画」は、身近な住環境を守るための大切な決まりごとです。

今日の学習で、これだけは持ち帰ってほしいポイントをまとめました。

ポイント
  • 都市施設は、必要があれば都市計画区域外にも設置できる。
  • 地区計画は、用途地域外でも一定のエリアなら定められる。
  • 地区計画区域内での工事は、着手の30日前まで市町村長届出が必要。
  • 届出内容がルールに合わない場合、市町村長は勧告できる。

まずは「30日前までに市町村長へ届出」というフレーズだけでも覚えて、今日の勉強を終わりにしましょう。一つひとつ知識を積み重ねていけば、必ず合格点に届きます。焦らず一緒に進んでいきましょうね。