法律用語に負けない!宅建試験で出題される「錯誤」の重要ポイントと覚え方

法律用語に負けない!宅建試験で出題される「錯誤」の重要ポイントと覚え方 宅建

宅建試験の勉強、本当にお疲れ様です。民法の分野に入り、「錯誤」という言葉を見て、「また難しそうな漢字が出てきた…」と、少し不安になっているかもしれませんね。

私自身も、法律の勉強を始めたばかりの頃は、漢字だらけの条文を読むたびに心が折れそうになっていました。

でも安心してください。錯誤(さくご)は、簡単に言えば「勘違い」や「間違い」のことです。

日常で誰でも経験することなので、法律の条文でどう扱われるかを理解すれば、必ず得点源にできます。

この記事では、宅建初学者の方でも「今日はここだけ覚えればOK!」となるよう、錯誤の重要ポイントと具体的な試験対策を分かりやすく解説していきます。

宅建で必ず聞かれる「錯誤」とは?まずは言葉の意味と種類を整理

錯誤(さくご)とは、契約などの意思表示をする際に、「勘違いをしていた」という状態を指します。

民法には心裡留保や詐欺など、意思表示に問題があるケースがいくつか登場しますが、その中でも錯誤は特に重要です。

この「勘違い」には、大きく分けて2つのパターンがあり、ここを最初に整理しておくと、この後の成立要件の学習がスムーズに進みます。

「表示の錯誤」と「動機の錯誤」を簡単な例で区別する

錯誤は、「心の中の意思」と「外に示した表示」の関係によって以下の2つに区別されます。

ポイント
  • ①表示の錯誤:意思と表示が不一致の場合

例えば、「甲土地を買う」つもりだったのに、間違って契約書に「乙土地を買う」とサインしてしまったような場合です。心の中の意思と、外に示した表示が、そもそもズレています。

ポイント
  • ②動機の錯誤:意思と表示は一致しているが、動機が勘違いの場合

例えば、「甲土地の近くに新駅ができるはずだから甲土地を買おう」と思って「甲土地を買う」と契約したのに、実は新駅の計画はなかった場合です。

この場合、「土地を買う」という意思があり、その意思通りに「土地を買う」と表示しているので、意思と表示は一致しています。

しかし、その意思に至った「動機」の部分で勘違いがあったわけですね。

動機の錯誤で取り消すには「表示」が必要

動機の錯誤を理由に契約を取り消すためには、単に心の中で「勘違いしてた」だけでは認められません。

法律は、契約相手との「取引の安全」を重視しますので、原則として「その動機を相手方に伝える(明示または黙示の表示)」ことが必要です。

黙示(もくし)の表示って何?言葉で言わなくてもいいの?

黙示とは「暗黙のうちに意思を示すこと」です。例えば、誰もが価値を認める高額な美術品を買う場合、「本物だから買う」という動機は、あえて言わなくても相手に伝わっていると判断されるケースがあります。

相手方に動機が伝わって初めて、「契約の基礎」となるので、取り消しの対象になる、と理解しておきましょう。

錯誤は「無効」ではなく「取消し」であることに注意

宅建試験で狙われやすい、もう一つの重要ポイントが契約の効力です。

錯誤による意思表示は、原則、無効ではなく「取り消すことができる」とされています(民法95条1項)。

無効は原則誰でも主張できますが、取消しは「勘違いした人(表意者)」など、法律が定めた人だけが主張できる仕組みです。

錯誤は表意者を保護するための制度なので、表意者側からだけ効力を否定できれば良い、という理由で「取消し」とされている、と覚えておくとスッキリします。

もし、「無効」と「取消し」の違いについて、他の論点も含めてもう一度整理しておきたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

宅建で確実に得点する!「錯誤取消し」の成立要件と第三者ルール

錯誤で契約を取り消すには、当然ですが、いくつかの条件(成立要件)をクリアする必要があります。

この要件の「原則」と「例外」、そして「第三者」との関係が過去問で最も狙われるため、パターン分けして覚えましょう。

原則:重過失があると「取消しできない」

錯誤による取消しを主張するための原則的な要件は、以下の2つを両方満たすことです。

ポイント
  • 要件1:重要な錯誤があること

    契約の目的や社会常識に照らして、「重要な勘違い」である必要があります。

  • 要件2:表意者(勘違いした人)に重大な過失がないこと

    重過失(じゅうかしつ)とは、「著しく不注意な状態」のことです。例えば、宅建士のようにプロが、確認すれば防げた勘違いをした場合などですね。原則として、重過失があると保護されず、取消しはできません(民法95条3項本文)。

契約の目的や社会常識に照らして、「重要な勘違い」である必要があります。

重過失(じゅうかしつ)とは、「著しく不注意な状態」のことです。例えば、宅建士のようにプロが、確認すれば防げた勘違いをした場合などですね。原則として、重過失があると保護されず、取消しはできません(民法95条3項本文)。

まずは「重要な勘違いで、かつ、自分の不注意がひどくなかった場合だけ取り消せる」という基本ラインをしっかり覚えましょう。

例外:「重過失があっても取消しできる」2つのケース

原則は重過失があるとダメですが、相手方との公平を図るため、例外的に表意者に重過失があっても取消しが認められるケースが2つあります。

「重過失がある場合でも取り消せる」という点で、試験では非常によく出題されます。

ポイント
  • 相手方が表意者の錯誤を知っていた(悪意)または重過失で知らなかったとき

    相手方も悪い(知っていた、または知らなかったことに重い落ち度がある)場合、表意者の重過失を理由に取消しを認めないのは不公平です。

  • 相手方も同じ勘違いに陥っていたとき(共通錯誤)

    売主も買主も、お互いに同じ事柄を勘違いして契約してしまった場合です。みんなが間違っているなら、重過失があっても取り消せます。

相手方も悪い(知っていた、または知らなかったことに重い落ち度がある)場合、表意者の重過失を理由に取消しを認めないのは不公平です。

売主も買主も、お互いに同じ事柄を勘違いして契約してしまった場合です。みんなが間違っているなら、重過失があっても取り消せます。

この2つの例外パターンを、「相手方も悪いか、みんなが勘違いならOK」とシンプルに覚えておくと頭に入りやすいでしょう。

最重要!錯誤と第三者との関係ルール

最後の重要ポイントは、錯誤で契約を取り消した後、取引に関わっていない第三者(Cさん)がいた場合に、誰が保護されるかというルールです(民法95条4項)。

Aさん(勘違いで取消しを主張したい人)と、Bさんから土地を買った第三者Cさんのどちらが土地の所有権を主張できるか、という問題です。

結論から言うと、第三者Cさんが「善意かつ無過失」であれば、Cさんが保護されます

第三者Cさんの状態 結果(AさんはCさんに対抗できるか?)
善意かつ無過失(Aさんの錯誤を知らず、知らなかったことに落ち度もない) 対抗できない(Cさんが保護)
悪意または有過失(Aさんの錯誤を知っていた、または知らなかったことに落ち度がある) 対抗できる(Aさんが保護)

第三者Cさんが、Aさんが勘違いして取り消したことを「知らず」、さらに「知らなかったことに落ち度もない」場合、取引の安全を考えて、AさんはCさんに対して「この契約は勘違いだから無かったことにして!」と主張できない(対抗できない)のです。

この「善意・悪意」や「対抗する」といった法律用語の基礎知識を理解しておけば、この論点は一気に攻略できます。

まとめ:今日覚える「錯誤」の最重要ポイント

錯誤の論点は、様々なパターンが出てきて混乱しがちですが、過去問対策として「結論」が問われやすい第三者との関係を、今日一番に覚えていきましょう。

この論点は、毎年形を変えて出題される頻出テーマです。まずはこの結論をしっかりインプットして、過去問に挑戦していきましょう!

今日は、この1点だけは完璧に覚えましょう!

ポイント
  • 錯誤による取消しは、善意かつ無過失の第三者には対抗できません。

つまり、第三者が「勘違いを知らず、落ち度もない」場合、契約を取り消しても、その第三者から土地を取り戻すことはできない、という結論になります。

宅建試験の勉強は、このように重要ポイントを一つずつ確実に抑えていけば、必ず得点力が上がります。一歩ずつ、一緒に頑張っていきましょう!応援しています!