開発許可は「どこで」「何をするか」で決まる!試験に出る面積要件と例外パターン

開発許可は「どこで」「何をするか」で決まる!試験に出る面積要件と例外パターン 宅建

こんにちは。宅建の勉強、毎日お疲れ様です。法令上の制限という分野に入ると、急に聞きなれない言葉や細かい数字が増えてきて、「もう無理かも……」とテキストを閉じたくなってしまうこと、ありませんか?

私自身も初めて学習したときは、都市計画法のあまりの複雑さに頭を抱えました。特に今回のテーマである「開発許可」は、面積の数字や例外規定が多く、多くの受験生が苦手意識を持つ山場です。

でも、安心してください。この分野は、すべてを丸暗記しようとするとパンクしますが、「なぜ規制が必要なのか?」という理由と、「試験によく出るパターン」さえ押さえてしまえば、意外と得点源にしやすいのです。

今日は、初学者の方が特につまずきやすい「開発許可が必要なケース・不要なケース」の判断基準について、一緒に整理していきましょう。

開発許可とは「乱開発を防ぐためのブレーキ」

まず、細かい数字を覚える前に、「そもそも開発許可って何?」というイメージを固めておきましょう。

街づくりをするとき、みんなが勝手に山を切り崩したり、無計画に工場を建てたりしたら、道路は混雑するし、災害も起きやすくなってしまいますよね。そこで、「土地の形を変えて工事をするなら、事前に知事の許可をとってね」というルールを作りました。これが開発許可制度です。

「建物を建てるときに必要なのが建築確認で、土地の工事に必要なのが開発許可、というイメージですか?」

その通りです!素晴らしい理解力ですね。

試験対策として覚えておきたい定義は以下の2点です。

ポイント
  • 目的:建築物や特定工作物を建てるため
  • 行為:土地の区画形質の変更(造成など)を行うこと

つまり、「ただ青空駐車場を作るために整地する」場合は、建物も特定工作物も建てないので、開発行為には当たりません。また、「すでに整地された土地の上に建物を建てるだけ」の場合も、土地の区画形質の変更(造成工事)を伴わないので、開発許可は不要です。

試験に出る「特定工作物」のひっかけポイント

ここで一つ、よく出る「特定工作物」について触れておきます。「コンクリートプラント(第一種)」などはイメージしやすいですが、注意が必要なのは「第二種特定工作物」であるレジャー施設です。

【ここがポイント!】ゴルフコースは、面積に関係なく「特定工作物」になります。一方で、野球場、遊園地、墓園などは「1ha(10,000㎡)以上」の場合のみ特定工作物となります。

「0.8haのゴルフ場の建設」は開発許可が必要ですが、「0.8haの墓園の建設」は特定工作物に当たらないため、開発許可は不要となります。この違いは本当によく問われるので、今のうちにチェックしておきましょう。

開発許可の「面積要件」を整理するコツ

さて、ここからが本番です。開発許可が必要かどうかを判断する際、最も重要なのが「場所」と「面積」の関係です。

都市計画法では、区域ごとに「これくらいの規模なら勝手にやっていいよ(許可不要)」というラインが決まっています。人が密集している場所ほど規制が厳しく(面積が小さく)、田舎に行くほど緩く(面積が大きく)なるとイメージしてください。

区域の種類 許可不要となる面積(未満)
市街化区域 1,000㎡ 未満(大都市等は500㎡)
非線引区域・準都市計画区域 3,000㎡ 未満
上記以外の区域(都市計画区域外など) 1ha(10,000㎡)未満

ここで一番怖い落とし穴があります。表に載っていない「市街化調整区域」はどうなるでしょうか?

「市街化区域の隣だから、1,000㎡くらいでしょうか?」

実はこれ、ひっかけ問題の常連なんです。答えは『面積に関係なく許可が必要』です。

市街化調整区域は、「市街化を抑制すべき区域」、つまり「あまり建物を建ててほしくない場所」です。そのため、たとえ規模が小さくても原則として許可が必要になります。「調整区域に面積の例外なし」と覚えてしまいましょう。

農林漁業用建築物の例外と注意点

面積要件と並んで試験によく出るのが、農家さん向けの特例です。通常、以下のような開発行為は許可が不要となります。

ポイント
  • 農林漁業用の建物(畜舎、温室など)を建てるための造成
  • 農林漁業者の居住用住宅を建てるための造成

日本の農業を守るため、農家さんが仕事をしやすくするためのルールですね。しかし、ここにも「市街化区域」という例外が存在します。

市街化区域では農家も許可が必要?

市街化区域は「どんどん街を活性化させよう」というエリアです。ここでは農業よりも都市化が優先されるため、たとえ農林漁業用の建物であっても、開発許可の免除はありません。(もちろん、1,000㎡未満の小規模なものであれば、面積要件の方で不要になります)

「農林漁業用だから許可不要!」と即答する前に、「待てよ、場所はどこだ?」と確認するクセをつけると、ケアレスミスが一気に減りますよ。

公益施設と国・自治体の扱い

最後に、公共性のある建物について軽く触れておきます。

駅舎、図書館、公民館、変電所などの「公益上必要な建築物」については、場所や規模に関わらず、開発許可は不要です。みんなが使う重要な施設を作るのに、許可の手続きで足止めを食らっては困るからです。

一方で、注意したいのが「学校」「医療施設(病院)」「社会福祉施設」です。これらも公共性が高そうに見えますが、現在の法律では原則として許可が必要です。「学校や病院は特別扱いされない」と割り切って覚えておくのがコツです。

また、国や地方公共団体が行う開発行為(役所や公営住宅など)についても、かつては特例がありましたが、現在は原則として許可が必要(または知事との協議が必要)となっています。

今日のまとめ

お疲れ様でした!開発許可は要素が多いので、一度にすべて覚えようとせず、まずは以下のポイントを確実にインプットしていきましょう。

ポイント
  • 開発行為の定義:「建物の建築」を目的とした「土地の区画形質の変更」のこと。単なる建築や青空駐車場は該当しない。
  • ゴルフコース:面積に関係なく、常に特定工作物として許可対象になる。
  • 面積要件:市街化(1,000㎡)、非線引(3,000㎡)、外(1ha)。そして市街化調整区域は面積例外なし(常に許可必要)
  • 農林漁業用:原則許可不要だが、市街化区域内では許可が必要になる。

まずはこの4点を、「今日覚えること」としてメモしてみてください。過去問を解くとき、問題文の「場所」と「面積」に丸をつける習慣をつけると、自然と正解が見えてくるようになりますよ。

少しずつ知識を整理して、確実に合格へ近づいていきましょう。応援しています!