こんにちは! 以前の記事で、「重要事項説明(35条書面)」がいかに大切か、そしてその全体像についてお話ししましたね。みなさん、勉強の進み具合はいかがでしょうか?
今回は、重要事項説明書(35条書面)の具体的な記載事項について、少し深掘りして解説していきます。ただ羅列するのではなく、「なぜそれが必要なのか」「試験ではどう問われるか」という視点で整理しますので、肩の力を抜いて読んでみてくださいね。
重要事項説明書に書くべき内容は多岐にわたりますが、まずは大きく分類してイメージを持ちましょう。不動産取引はとても高額ですよね。買った後に「こんなはずじゃなかった!」とならないように、あらかじめ伝えておくべき「リスク」や「ルール」が記載事項の正体です。
まずは、その物件が誰のもので、どんな状態なのかという基本情報です。
トラブルになりやすい「お金」の話も、契約前にしっかり説明します。
ここからが今日一番の山場であり、試験によく出るポイントです。実は、重要事項説明の内容は、「売買・交換」なのか「貸借(賃貸)」なのかによって、説明すべき項目が変わるのです。
なぜなら、買う人(オーナーになる人)と、借りる人(一時的に住む人)では、知っておくべき情報の重みが違うからです。
都市計画法や建築基準法などの「法令上の制限」は、とてもややこしいですよね。
例えば、「建ぺい率」や「容積率」。これは「その土地にどれくらいの大きさの建物が建てられるか」というルールです。
敷地に接する道路が私道(個人の持ち物)で、その負担金がある場合の説明です。
近年、宅建試験で非常によく問われるのが「マンション」に関する説明事項です。マンションはみんなで住む場所なので、独自のルール(規約)やお金(管理費・修繕積立金)の話がとても重要になります。
ここは「建物の貸借(賃貸)」の場合に、説明が省略できるかどうかで整理するのがコツです。
| 項目 | 売買 | 貸借 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 敷地に関する権利の種類・内容 | 〇 | 〇 | 借りる人も「敷地を使っていい権限」があるか知る必要がある |
| 共用部分に関する規約 | 〇 | 〇 | 廊下やエントランスの使い方。借りる人も使うので説明必須 |
| 専有部分の用途制限 | 〇 | 〇 | 「ペット不可」「事務所不可」など。借りる人にとって最重要! |
| 修繕積立金・管理費用の額 | 〇 | × | ここが狙われます! 借りる人は家賃や共益費を払うだけで、オーナーが払う積立金の額は関係ない |
| 管理の委託先(氏名・住所) | 〇 | 〇 | 水漏れなどのトラブル時、どこに連絡するかは借りる人も知りたい |
| 維持修繕の実施状況の記録 | 〇 | × | 過去の修繕履歴。借りる人にはあまり関係ない |
最後に、近年の法改正で重視されている「中古住宅(既存建物)」と「契約不適合責任」について触れておきます。ここも試験に出やすいホットな分野です。
中古住宅を買う時、「雨漏りしないかな?」「シロアリは大丈夫?」と不安になりますよね。そこで、以下の説明が求められます。
これらは「貸借」の場合でも、1のインスペクションの有無は説明が必要ですが、2の書類保存状況は不要です。
万が一、物件に欠陥があった場合(契約不適合)、売主が責任を負うことになります。その責任を確実に果たせるように、「保証保険」に入っているか、などを説明します。これは「売買」では必須ですが、「貸借」では説明不要です。
長くなってしまいましたが、重要事項説明書の内容は一気に覚えようとするとパンクしてしまいます。今日は、以下の「貸借(特に建物の賃貸)では不要なもの」だけを頭に入れて終わりにしましょう。
【建物の貸借で説明しなくていいものリスト】
まずはこの「不要リスト」を覚えるだけで、過去問の選択肢が驚くほど切れるようになります。「借りる人の立場になって考える」ことが、正解への近道ですよ。
焦らず、一つひとつクリアしていきましょうね。

