【宅建初心者向け】「手付金」って何?8種制限の重要ポイントを優しく整理

【宅建初心者向け】「手付金」って何?8種制限の重要ポイントを優しく整理 宅建

こんにちは! 今日も仕事や家事の合間に、勉強お疲れ様です。少しずつ専門用語にも目が慣れてきた頃でしょうか? それとも、「まだまだ漢字が多くて頭が痛い……」と感じているかもしれませんね。

私自身、最初は法律の条文を見るだけで眠くなってしまうタイプでした。でも、今日お話しするテーマは、皆さんが将来お家を買うときにも直結する「お金」の話です。

テーマは「手付金(てつけきん)」について。

不動産の契約をするときに最初に払う「予約金」のようなお金のことですが、これには宅建業法で「一般のお客さんを守るための厳しいルール」が決められています。試験でも非常によく出る、いわゆる「8種制限(はっしゅせいげん)」の一つです。

数字も出てきますが、丸暗記ではなく「なぜそんなルールがあるの?」という理由から見ていくと、驚くほどスッと頭に入ってきますよ。一緒に整理していきましょう。

まずは前提確認。「8種制限」って何でしたっけ?

本題に入る前に、一つだけ大切なルールを思い出しておきましょう。今回の話はすべて、以下のパターンのときにだけ適用されるルールです。

ポイント
  • 売主:宅建業者(プロ)
  • 買主:宅建業者以外(一般のお客さん・素人)

この組み合わせのとき、知識や経験に差があるため、プロである業者が有利になりすぎないよう、「8種制限」という8つの特別なルールが発動します。今日の手付金の話も、この「プロ vs 素人」のときに、素人である買主を守るための盾なんです。

もし売主も買主もプロ(宅建業者)だったら、このルールはどうなるんですか?
良い質問ですね! その場合は、お互いプロ同士なので「守る必要なし」とみなされ、このルールは適用されません。試験ではここがひっかけ問題としてよく出るので、最初にチェックしておきましょう。
ポイント①:手付金の額は「代金の20%」まで!

不動産を買うとき、契約の証として「手付金」を支払います。ですが、売主である業者が「とりあえず手付金として、代金の半分(50%)を払ってください」と言ってきたらどうでしょうか?

例えば3,000万円の物件なら、1,500万円です。もし後で「やっぱりこの家、買うのをやめたいな……」と思っても、1,500万円も払ってしまっていたら、もったいなくて絶対にキャンセルできませんよね。

このように、手付金が高すぎると、買主が契約に縛り付けられてしまい、解約の自由がなくなってしまいます。これを防ぐために、以下のルールがあります。

もし20%を超えて受け取ったらどうなる?

ここが試験の頻出ポイントです。例えば、代金3,000万円の物件で、うっかり「1,000万円(約33%)」の手付金契約を結んでしまったとしましょう。上限の20%は「600万円」です。

この場合、契約そのものがすべて無効になるわけではありません。「上限(600万円)を超えた部分(400万円分)だけが無効」となり、その分は返してもらえます。

「契約全体が無効になる」というひっかけ問題がよく出るので、「超えた部分だけ無効(=20%までは有効)」と覚えておくと安心です。

ポイント②:そもそも「手付金」って何のためのお金?

次に、手付金の「中身(性質)」についてのルールです。宅建業者が売主の場合、受け取る手付金はすべて「解約手付(かいやくてつけ)」としての性質を持ちます。

言葉は難しいですが、意味はとてもシンプルです。「お金を諦めれば、理由がなくても契約をキャンセルできる」という機能を持った手付金のことです。

もしこのルールがないと、「転勤が決まったから家を買うのをやめたい」と思っても、業者が「契約違反だ!損害賠償を払え!」と言ってくるかもしれません。そうならないよう、法律で「手付金を犠牲にすれば、きれいさっぱり解約できるようにしましょう」と決めているのです。

解約のルール:「手付放棄」と「手付倍返し」

では、具体的にどうやって解約するのかを見てみましょう。立場によって方法が異なります。

解約したい人 解約の方法
買主からやめる場合 支払った手付金を「放棄」する(諦める)ことで解約できる。
売主からやめる場合 預かった手付金を返し、さらに同額を上乗せして「倍額を償還(倍返し)」することで解約できる。

買主は「払ったお金が戻ってこない」だけですが、売主(業者)からキャンセルする場合は、単に手付金を返すだけでは「プラスマイナスゼロ」で痛くも痒くもありませんよね。だから、ペナルティとして「倍返し」が必要になるとイメージしてください。

なるほど。お金さえ払えば、いつでも解約できるんですね!
そこが要注意ポイントです! 実は「いつでも」ではないんです。タイムリミットがあるんですよ。
ポイント③:解約できるのは「相手方が履行に着手するまで」

ここが今回の最重要ポイントであり、受験生が一番迷いやすいところです。手付金による解約(手付解除)ができるのは、「相手方が履行に着手するまで」という期限があります。

「履行に着手(りこうにちゃくしゅ)」とは、簡単に言えば「契約内容を実現するために、具体的な行動を始めたとき」のことです。

自分ではなく、「相手方」がスタートしたかどうかが基準になります。

ポイント
  • 買主が解約したいとき売主(業者)が、登記の手続きを始めたり、建物の引き渡し準備を終えたりしたら、もう手付解除はできません。
  • 売主が解約したいとき買主が、中間金を支払ったり、引越しのための具体的な手続きを進めたりしたら、もう手付解除はできません。

「相手が本気で動き出したのに、今さら手付金だけでキャンセルされたら困る!」という状況を守るためのルールです。逆に言えば、自分自身が準備を始めていても、相手がまだ何もしていなければ、手付解除は可能です。

試験では「買主はすでに中間金を支払ったが、売主はまだ何もしていない。この場合、売主から手付倍返しで解除できるか?」といった事例が出ます。この場合、解約したい売主から見て、相手方(買主)はすでに中間金を払っています(=履行に着手している)。だから、売主からは解除できない、が正解になります。

今日のまとめ

いかがでしたか?「手付金」は、単なる予約金ではなく、買主を守るための「解約権」が含まれた大切なお金だということが分かりましたね。

最後に、今日の試験に出るポイントをギュッと絞って整理しましょう。寝る前にこれだけ見直せばOKです!

ポイント
  • 適用条件:売主が宅建業者、買主が素人のときだけ(8種制限)。
  • 金額の上限:代金の10分の2(20%)まで。※これを超える特約は、超えた部分のみ無効
  • 手付の性質:このパターンの手付はすべて「解約手付」となる。
  • 解約方法:買主は「放棄」、売主は「倍返し」
  • タイムリミット「相手方」「履行に着手するまで」

過去問を解いていると、「売主が履行に着手したから、買主は解除できない」といった問題によく出会います。そのときは、「解約したい人の、相手は誰かな? その相手はもう動いちゃったかな?」と冷静に図をイメージしてみてください。

この分野は得点源にしやすい場所です。焦らず、一つずつ自分のものにしていきましょう。今日も一歩、合格に近づきましたよ!