【宅建独学】「報酬額の計算」で捨て点しない!初学者がまず覚えるべき基本パターン

【宅建独学】「報酬額の計算」で捨て点しない!初学者がまず覚えるべき基本パターン 宅建

こんにちは。今日は宅建業法の中でも、苦手意識を持つ人が多い「報酬の上限」についてお話しします。「計算問題が出るから嫌だなぁ」「数字を見ると頭が痛くなる」……そんなふうに思っていませんか?

実は私自身、最初は計算問題が大の苦手でした。でも、宅建の報酬計算は数学というよりは「パズル」に近いです。「このパターンのときは、この型にはめる」というルールさえ覚えてしまえば、確実に得点できるラッキー問題に変わります。

今日は、そのルールをできるだけ噛み砕いて整理しました。まずは基本の型を一緒に見ていきましょう。

宅建業法における「報酬」とは?基礎知識を整理しよう

まずは言葉の定義から入っていきましょう。「報酬」とは、不動産業者がお客様からいただく仲介手数料のことです。これには非常に厳しいルール(上限)が法律で決められています。

もし業者が「頑張ったからもっとください」と言って上限を超えた金額を受け取ってしまうと、「100万円以下の罰金」という重い処分が待っています。さらに、要求しただけでも(受け取っていなくても)、懲役刑を含む罰則の対象になります。

ここでのポイントは以下の2点です。

ポイント
  • 成功報酬であること:契約が成立して初めて請求できます。
  • 消費税が含まれること:課税事業者の場合、計算した上限額に消費税(10%)を上乗せして請求できます。
広告費はどうなるんですか?特別に広告を出してもらった場合は?
いい質問ですね!原則は報酬に含まれますが、「依頼者の申し出」があって行った特別な広告費用だけは、報酬とは別枠で受け取ることができます。ここ、よく試験に出ますよ。
【売買】報酬計算の公式と「空家特例」のポイント

では、具体的な計算方法に入りましょう。売買の場合、取引価格によって計算式が変わりますが、試験で最もよく使われるのは「400万円を超える物件」のパターンです。

基本の速算式「3%+6万円」

取引額ごとの計算式をすべて暗記するのは大変ですが、実務でも試験でも、まずはこの一行を呪文のように覚えてください。

例えば、2,000万円の土地を売買する場合、2,000万円 × 3% + 6万円 = 66万円。これに消費税(1.1倍)をかけて、72万6,000円が、片方のお客様から受け取れる上限額になります。

【重要】令和7年度改正!低廉な空家等の特例

ここが今年の重要ポイントです。これまで、安い空き家を仲介しても報酬が少なすぎて、不動産屋さんが扱いたがらないという問題がありました。そこでルールが変わりました。

「800万円以下の物件(低廉な空家等)」の売買・交換の媒介をする場合、特例が認められています。

ポイント
  • 通常の計算(速算式)ではなく、30万円+消費税(33万円)を上限にできる。
  • ただし、事前に依頼者に説明し、合意を得ておく必要がある。
  • 売主・買主の双方からそれぞれ最大33万円(合計66万円)まで受け取れる。

「400万円以下なら無条件で高い報酬が取れる」わけではなく、「説明と合意」が必要な点や、800万円以下というラインをしっかり押さえておきましょう。

「媒介」と「代理」で上限が変わる?試験に出るひっかけパターン

計算式を覚えたら、次は「誰からいくらもらえるか」のパズルです。ここが一番のひっかけポイントなので、図をイメージしながら読んでください。

1. 媒介(仲介)の場合

「媒介」とは、売主と買主の間に入ってとりまとめることです。原則は以下の通りです。

「依頼者の一方から受け取れるのは、上記の上限額(速算式)まで」

例えば、上限額が税込72万6,000円の物件だとします。

ポイント
  • 片手取引(一方から依頼):依頼者から72万6,000円もらえる。
  • 両手取引(売主・買主両方から依頼):売主から72万6,000円、買主からも72万6,000円もらえる。(合計で2倍の額になる)
2. 代理の場合

「代理」は、本人に代わって契約を結ぶ権限を持つ、より強い立場です。ここでは「2倍」という数字が出てきますが、勘違いしやすいので注意が必要です。

「依頼者の一方から、上限額の2倍まで受け取ることができる」

つまり、売主から代理の依頼を受けた場合、売主一人から一気に「145万2,000円(72.6万×2)」を受け取ってもOKです。

じゃあ、売主と買主の両方から代理を頼まれたら、2倍×2人で「4倍」もらえるんですか?
そこが落とし穴です!1つの取引全体で受け取れる報酬総額は「2倍」までと決まっています。

もし双方代理で、売主から2倍の額をもらってしまったら、もう上限いっぱいなので、買主からは1円も受け取れません。「売主から100万、買主から45万」のように分けることは可能ですが、合計額は絶対に「上限額×2」を超えてはいけないのです。

【貸借】居住用と事業用でルールが違う点に注意

最後に、アパートや店舗を借りる「貸借」の場合です。ここでのキーワードは「居住用かどうか」です。

居住用建物(アパート・マンション)の原則

ここを間違える方が非常に多いです。

ポイント
  • 原則:依頼者一方から受け取れるのは「家賃の0.5ヶ月分(+税)」まで。
  • 例外:依頼者の承諾を得ていれば、一方から「家賃の1ヶ月分(+税)」までOK。

つまり、何も言わずにいきなり「借主さん、仲介手数料1ヶ月分です」と請求するのは、実は業法違反になる可能性があるのです(実務では申込時に承諾書をもらうことが多いですが、試験では原則論が問われます)。

事業用(店舗・事務所)の原則

オフィスや店舗などの「居住用以外」はシンプルです。

ポイント
  • 依頼者の双方から受け取れる報酬の合計が「家賃の1ヶ月分(+税)」以内であれば、配分は自由。
  • 権利金の授受がある場合は、その権利金を「売買代金」とみなして、売買の計算式を使って計算してもよい(高い方を請求できる)。

「権利金」という言葉が出てきたら、「あ、売買の計算式が使えるかも!」と反応できるようにしておきましょう。

今日のまとめ:まずは「3%+6万」と「居住用0.5ヶ月」から!

報酬計算はパターンが多いですが、まずは以下の基本を完璧にすることから始めてください。

ポイント
  • 売買の基本公式は「価格 × 3% + 6万円」(400万円超)。
  • 空き家特例(800万円以下)は、30万円+税が上限(要合意)。
  • 代理の場合、片方から2倍もらえるが、全体の上限も2倍まで
  • 居住用の貸借は、原則「0.5ヶ月分」。承諾があれば1ヶ月分。

いきなり全部覚えようとせず、まずは「売買の媒介」と「居住用の貸借」の過去問を解いてみてください。実際に電卓を叩いて計算してみると、「なんだ、意外と簡単じゃないか」と思える瞬間が必ず来ますよ。

一歩ずつ、確実に得点源にしていきましょう!