こんにちは。今日は宅建業法の中でも、苦手意識を持つ人が多い「報酬の上限」についてお話しします。「計算問題が出るから嫌だなぁ」「数字を見ると頭が痛くなる」……そんなふうに思っていませんか?
実は私自身、最初は計算問題が大の苦手でした。でも、宅建の報酬計算は数学というよりは「パズル」に近いです。「このパターンのときは、この型にはめる」というルールさえ覚えてしまえば、確実に得点できるラッキー問題に変わります。
今日は、そのルールをできるだけ噛み砕いて整理しました。まずは基本の型を一緒に見ていきましょう。
まずは言葉の定義から入っていきましょう。「報酬」とは、不動産業者がお客様からいただく仲介手数料のことです。これには非常に厳しいルール(上限)が法律で決められています。
もし業者が「頑張ったからもっとください」と言って上限を超えた金額を受け取ってしまうと、「100万円以下の罰金」という重い処分が待っています。さらに、要求しただけでも(受け取っていなくても)、懲役刑を含む罰則の対象になります。
ここでのポイントは以下の2点です。
では、具体的な計算方法に入りましょう。売買の場合、取引価格によって計算式が変わりますが、試験で最もよく使われるのは「400万円を超える物件」のパターンです。
取引額ごとの計算式をすべて暗記するのは大変ですが、実務でも試験でも、まずはこの一行を呪文のように覚えてください。
例えば、2,000万円の土地を売買する場合、2,000万円 × 3% + 6万円 = 66万円。これに消費税(1.1倍)をかけて、72万6,000円が、片方のお客様から受け取れる上限額になります。
ここが今年の重要ポイントです。これまで、安い空き家を仲介しても報酬が少なすぎて、不動産屋さんが扱いたがらないという問題がありました。そこでルールが変わりました。
「800万円以下の物件(低廉な空家等)」の売買・交換の媒介をする場合、特例が認められています。
「400万円以下なら無条件で高い報酬が取れる」わけではなく、「説明と合意」が必要な点や、800万円以下というラインをしっかり押さえておきましょう。
計算式を覚えたら、次は「誰からいくらもらえるか」のパズルです。ここが一番のひっかけポイントなので、図をイメージしながら読んでください。
「媒介」とは、売主と買主の間に入ってとりまとめることです。原則は以下の通りです。
「依頼者の一方から受け取れるのは、上記の上限額(速算式)まで」
例えば、上限額が税込72万6,000円の物件だとします。
「代理」は、本人に代わって契約を結ぶ権限を持つ、より強い立場です。ここでは「2倍」という数字が出てきますが、勘違いしやすいので注意が必要です。
「依頼者の一方から、上限額の2倍まで受け取ることができる」
つまり、売主から代理の依頼を受けた場合、売主一人から一気に「145万2,000円(72.6万×2)」を受け取ってもOKです。
もし双方代理で、売主から2倍の額をもらってしまったら、もう上限いっぱいなので、買主からは1円も受け取れません。「売主から100万、買主から45万」のように分けることは可能ですが、合計額は絶対に「上限額×2」を超えてはいけないのです。
最後に、アパートや店舗を借りる「貸借」の場合です。ここでのキーワードは「居住用かどうか」です。
ここを間違える方が非常に多いです。
つまり、何も言わずにいきなり「借主さん、仲介手数料1ヶ月分です」と請求するのは、実は業法違反になる可能性があるのです(実務では申込時に承諾書をもらうことが多いですが、試験では原則論が問われます)。
オフィスや店舗などの「居住用以外」はシンプルです。
「権利金」という言葉が出てきたら、「あ、売買の計算式が使えるかも!」と反応できるようにしておきましょう。
報酬計算はパターンが多いですが、まずは以下の基本を完璧にすることから始めてください。
いきなり全部覚えようとせず、まずは「売買の媒介」と「居住用の貸借」の過去問を解いてみてください。実際に電卓を叩いて計算してみると、「なんだ、意外と簡単じゃないか」と思える瞬間が必ず来ますよ。
一歩ずつ、確実に得点源にしていきましょう!

