【宅建・報酬額】賃貸の計算は簡単?苦手な人ほど知ってほしい「1ヶ月分のルール」

【宅建・報酬額】賃貸の計算は簡単?苦手な人ほど知ってほしい「1ヶ月分のルール」 宅建

こんにちは!資格取得を通じて、今は経理の仕事をしている元・宅建受験生の私です。

勉強は順調に進んでいますか?

前回は、少し計算が複雑な「売買」の報酬額(仲介手数料)についてお話ししました。数字や計算式が出てくると、どうしても「うっ、苦手だな……」と身構えてしまう方も多いかもしれませんね。私も最初は、電卓を叩くのが憂鬱で仕方ありませんでした。

ですが、安心してください。今日テーマにする「賃貸(貸借)」の報酬計算は、売買に比べるとずっとシンプルなんです。むしろ、ここはルールさえ整理できていれば、確実に得点源にできる「おいしい分野」でもあります。

今日は、ごちゃごちゃになりやすい「居住用」と「事業用」の違いを中心に、賃貸の報酬上限を一緒に攻略していきましょう!

宅建業法における「賃貸」の報酬額計算の基本

まずは、全体の大原則から押さえていきましょう。売買の時は「3%+6万円」のような計算式を使いましたが、賃貸(アパートを借りる、店舗を借りるなど)の場合はもっと単純です。

報酬の限界は「家賃の1ヶ月分」と覚える

宅建業者が、貸主と借主の間の契約を成立させた時に受け取れる報酬(仲介手数料)の合計額は、原則として「借賃(家賃)の1ヶ月分」が上限です。

これが全ての基本になります。例えば、家賃10万円のお部屋であれば、業者全体で受け取れるのは10万円(+消費税)まで。売買のように複雑な掛け算をする必要はほとんどありません。

ただし、試験でよく問われるのは、「この1ヶ月分を、貸主と借主のどちらから、いくらもらえるか?」という内訳のルールです。ここで「居住用(人が住む家)」か「それ以外(事務所や店舗)」かでルールが変わってきます。

重要!「居住用建物」の貸借における特例ルール

ここが今日の記事で一番大切なポイントです。私たちが普段住むアパートやマンションなどの「居住用建物」の仲介をする場合、法律は借主(借りる人)を守るために少し厳しいルールを設けています。

原則は「0.5ヶ月分」ずつまで

居住用建物の場合、宅建業者が依頼者(貸主・借主)の一方から受け取れる報酬額は、原則として「借賃の0.5ヶ月分」が上限とされています。

つまり、家賃10万円のアパートなら、貸主から5万円、借主から5万円、合わせて10万円(1ヶ月分)を受け取るのが基本の形です。何も言わずに「借主から1ヶ月分全額もらう」ということは、原則としてできません。

えっ、でも不動産屋さんで「仲介手数料は家賃1ヶ月分です」って言われたことありますよ?あれは違反なんですか?

鋭いですね!実はそこには「承諾」というキーワードが隠されているんです。ここが試験のひっかけポイントですよ。

「承諾」があれば片方から1ヶ月分もらえる

例外として、媒介契約の成立までに依頼者の承諾を得ている場合に限り、一方から「借賃の1ヶ月分」までを受け取ることができます。

実務では、入居申し込みの際に「承諾書」にサインをすることで、借主が1ヶ月分を負担するケースが多いですね。しかし試験対策としては、以下のルールを厳密に覚えておきましょう。

ポイント
  • 原則:貸主0.5ヶ月、借主0.5ヶ月
  • 例外:事前の承諾があれば、片方から1ヶ月分受領OK
  • 注意:どちらの場合も、合計額は「1ヶ月分」を超えてはいけない

もし、貸主から承諾を得て1ヶ月分(+税)をもらった場合、借主からは1円も受け取ることができません。合計額の枠は絶対に超えられないのです。

「事業用(居住用以外)」と「代理」の場合

次に、オフィスビルや店舗、土地などの「居住用以外」の物件と、「代理」という形式の場合を見ていきましょう。こちらは居住用のような「0.5ヶ月縛り」がありません。

事業用建物や土地の貸借における配分

事務所や店舗などの場合、貸主と借主のどちらからいくらもらうかは、合計が「借賃の1ヶ月分」以内であれば自由です。

ポイント
  • 貸主から1ヶ月分、借主から0円
  • 貸主から0.3ヶ月分、借主から0.7ヶ月分

これらは全てOKです。居住用のように事前の承諾がなくても、合計が範囲内なら配分は自由に変えられます。「居住用以外=配分自由(合計は1ヶ月)」と覚えておくとスムーズですね。

代理の場合はどうなる?

「代理」とは、大家さんの代わりになって契約権限を持つような、より重い責任を持つ立場のことでしたね。代理の場合、依頼者から「借賃の1ヶ月分」を報酬として受け取ることができます。

「売買の代理」では手数料が2倍(要は2人分)までもらえるルールでしたが、賃貸の場合は注意が必要です。たとえ代理であっても、相手方(借主など)と合わせて受け取れる合計額は「借賃の1ヶ月分」までです。

つまり、貸主から代理の依頼を受けて1ヶ月分をもらったら、仲介した相手(借主)からは報酬をもらえません。ここを「代理だから2ヶ月分もらえる!」と勘違いしないようにしましょう。

応用編:これが出たら差がつく「権利金」の特例

最後に、少しレベルの高いお話をします。賃貸の媒介・代理において、「権利金」の授受がある場合の特例です。

権利金を「売買代金」とみなして計算できる

店舗の賃貸などで、「権利金(返還されない金銭)」が支払われることがあります。この場合、その権利金の額を「売買代金」とみなして、売買の時の計算式(3%+6万円など)を使って報酬計算をしても良いことになっています。

これを適用すると、家賃ベースで計算するよりも高い報酬額になることが多いため、業者にとっては有利な計算方法です。ただし、以下の2つの条件に注意してください。

ポイント
  • 「居住用建物」以外の賃貸であること(アパートの礼金などは対象外!)
  • 権利金は「返還されないもの」に限る(敷金などはダメ)

試験で「居住用の建物で権利金の授受がある場合……」という問題が出たら、迷わず「家賃の1ヶ月分が上限!」と判断してください。この特例は、あくまで店舗や事務所などの話です。

まとめ:今日のポイントを整理

いかがでしたか?「売買」に比べると、計算自体はシンプルだったと思います。最後に、今日絶対に覚えて帰ってほしいポイントをまとめました。

ポイント
  • 賃貸の報酬上限は、全体で「家賃の1ヶ月分」まで。
  • 居住用建物は、原則「双方から0.5ヶ月ずつ」。承諾がある時だけ「片方から1ヶ月」OK。
  • 事業用(店舗・事務所)は、配分自由だが合計は1ヶ月まで。
  • 権利金の特例(売買計算を使う)は、「居住用以外」でしか使えない。

この「居住用か、それ以外か」という視点を持つだけで、ひっかけ問題に引っかかる確率はグッと減ります。まずは過去問で、賃貸の計算問題を1問解いてみてください。「あ、これのことか!」と実感できるはずですよ。

焦らず、一つひとつ知識を定着させていきましょう。応援しています!