こんにちは。勉強お疲れ様です。テキストを開くと、見慣れない漢字が並んでいて「うっ、難しそう…」とページを閉じたくなってしまうこと、ありますよね。
私自身も勉強を始めたばかりの頃は、法律用語の硬さに圧倒されてばかりでした。でも、大丈夫です。法律には必ず「なぜそれが作られたのか」という理由や背景があります。そこを知ると、急に身近な話に聞こえてくるから不思議です。
今回のテーマは「住宅瑕疵担保履行法(じゅうたくかしたんぽりこうほう)による資力確保措置」です。
名前が長くて威圧感がありますが、要するに「買ったばかりの家に欠陥があったとき、業者が倒産していてもちゃんとお金が戻ってくる仕組み」のことです。私たちが安心して家を買うために欠かせない、とても大切なルールなんです。
今日はこの仕組みについて、試験で問われやすいポイントを整理しながら、一緒に見ていきましょう。肩の力を抜いて、物語を読むような気持ちで読んでみてくださいね。
「住宅瑕疵担保履行法」って、なんだかすごく難しそう…。漢字ばかりで覚えきれるか不安です。
最初はそう思いますよね。でも、「過去に起きたある事件」がきっかけでできた法律だと知ると、イメージしやすくなりますよ。まずはそこからお話ししますね。
まずは、なぜこんなに長い名前の法律ができたのか、その背景を少しだけお話しさせてください。
平成17年ごろ、ある大きな事件が世間を騒がせました。いわゆる「耐震偽装問題」です。マンションの設計データが偽装され、地震に弱い危険なマンションがたくさん販売されてしまったのです。
本来なら、売主であるマンション開発業者が責任を持って修理したり、建て替えたりしなければなりません。しかし、その費用はあまりにも巨額でした。結果として、業者は補修費用を払えず倒産してしまったのです。
取り残されたのは、ローンを組んでマンションを買った人たち。「業者が倒産したから、修理も返金もできません」では、あまりにも救いがありませんよね。
そこで、「業者が倒産しても、修理費用(資力)を確実に確保できる仕組みを作ろう」ということで、平成21年10月からスタートしたのが、この「資力確保措置」なんです。
この法律で守られるのは、全ての住宅ではありません。ポイントを整理しましょう。
ここでいう「新築住宅」とは、建設工事完了から1年以内で、かつ、まだ誰も住んでいないものを指します。一度でも誰かが住んだり、完成して1年以上経ったものは「中古」扱いになるので、この法律の対象外になるんです。
また、この法律でいう「瑕疵(かし)」、つまり欠陥の対象範囲も決まっています。
| 構造耐力上主要な部分 | 基礎、杭、柱、床、はり、屋根など(家の骨組みとなる重要な部分) |
| 雨水の浸入を防止する部分 | 屋根、外壁、開口部(窓など)、排水管など(雨漏りを防ぐための部分) |
壁紙が少し剥がれているとか、ドアの建て付けが悪いといった軽微なものは含まれません。「家としての基本性能」に関わる重要な部分に限定されていると覚えておきましょう。
では、具体的にどうやって「修理費用」を確保するのでしょうか。宅建業者(売主)には、次の2つのうちどちらかの措置をとる義務があります。
それぞれの違いとポイントを見ていきましょう。
「供託(きょうたく)」とは、法務局にある「供託所」という機関にお金を預けておくことです。もし欠陥が見つかって、業者が倒産して修理できなくなったら、買主はこの供託所からお金(還付)を受け取ることができます。
ここでの試験対策ポイントは以下の通りです。
事務所ごとではなく、「本店(主たる事務所)の最寄り」にまとめて預ける、という点がひっかけ問題で出やすいので注意しましょう。
もう一つの方法は、保険会社にお金を払って保険に入ることです。多くの業者はこちらを利用することが多いですね。
この保険にも、試験に出やすい「要件」があります。
もし業者が倒産しても、買主は保険会社から直接お金を受け取れるので安心ですね。
なるほど、お金を預けるか、保険に入るか選べるんですね。買主さんへの説明はどうすればいいんですか?
いい質問ですね!実は、契約する前に「万が一の時はここにお金がありますよ」と説明する必要があるんです。
ここからは、試験で本当によく問われる「手続き」や「数字」について深掘りしていきます。暗記が必要な部分ですが、流れをイメージしながら覚えていきましょう。
売主である宅建業者は、売買契約を締結するまでに、買主に対して以下のことを説明しなければなりません。
「私たちは、〇〇供託所にお金を預けています」または「私たちは、〇〇保険会社の保険に入っています」
このとき、必ず書面を交付して説明する必要があります。ここで一つ、意外なポイントがあります。この説明は、宅建士が行う必要はありません。
重要事項説明(35条書面)とは違い、宅建士の記名押印も不要ですし、宅建士証の提示も不要です。「誰が説明してもOK」というのは、試験でよく狙われるひっかけポイントなので、しっかりマークしておきましょう。
供託をしている場合、年に一度、「ちゃんとお金を積んでいますよ」という報告(届出)を行政にする必要があります。
もし、この届出を忘れてしまったらどうなるでしょうか?ただ怒られるだけではありません。
「基準日の翌日から起算して50日を経過した日以降、新たに新築住宅の売買契約ができなくなる」
つまり、商売ができなくなってしまうのです。これは業者にとって非常に重いペナルティですよね。だからこそ、絶対に忘れてはいけない手続きなのです。
この法律では、新築住宅の「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」について、引渡しから10年間は責任を負わなければならないと決めています。
これは強行規定といって、たとえ当事者同士で話し合っても変更できません。例えば、「責任期間は2年間にします」というような、買主に不利な特約を結んでも、その特約は無効になります。
この場合、特約が無効になり、法律通り10年間の責任を負うことになります。「買主をとにかく手厚く守る!」という法律の強い意志を感じますよね。
いかがでしたか?「住宅瑕疵担保履行法」という漢字の壁も、中身を知れば「買主を守るための温かいルール」だと感じられたのではないでしょうか。
最後に、今日これだけは覚えて帰ってほしいポイントをまとめました。寝る前にこのリストだけ見直してみてくださいね。
最初は難しく感じるかもしれませんが、こうやって一つずつ紐解いていけば必ず理解できるようになります。「今日ひとつ覚えられた!」という積み重ねが、合格への一番の近道です。
焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう。応援しています!

