宅建の勉強、毎日おつかれさまです。法令上の制限という分野に入ると、急に漢字が増えて、言葉も難しくなってきますよね。「都市計画区域」とか「準都市計画区域」とか、似たような言葉ばかりで頭が痛くなってしまう…そんな気持ち、とてもよく分かります。
私自身も勉強を始めたばかりの頃は、「いきなり法律の条文なんて読めないよ!」とテキストを閉じたくなったことが何度もありました。でも、大丈夫です。ここは全てを丸暗記しようとするのではなく、「誰が」「どういう手順で」決めるのかというストーリーが見えてくると、ぐっと理解しやすくなる分野なんです。
今日のテーマは、都市計画法の入り口である「都市計画区域の指定」についてです。
街づくりをスタートさせるための「場所選び」のルールを、なるべく専門用語をかみ砕いてお話ししますね。試験によく出る「ひっかけポイント」も整理しますので、肩の力を抜いて読んでみてください。
まず、「都市計画区域の指定」とは何なのか、イメージを持っておきましょう。
これは一言で言うと、「これからここに、計画的に街を作っていきますよ!」というエリアを決めることです。
日本中の土地どこでも好き勝手に建物を建てていいわけではありません。無秩序な開発を防ぐために、「ここからここまでは、ルールを決めて良い街にしましょう」という枠組みを作る、それが「都市計画区域の指定」です。絵を描く前に、キャンバスを用意するようなイメージですね。
宅建試験の勉強をしていると、どうしても個別の単語(開発許可、用途地域など)に目が行きがちですが、まずは大きな流れをつかんでおくと迷子になりません。
街づくりは、ざっくり言うと以下の4つのステップで進んでいきます。
- ステップ1:都市計画区域の指定(どこで街づくりをするか、場所を決める)
- ステップ2:都市計画の決定(その場所をどういう街にするか、プランを決める)
- ステップ3:都市計画の制限(プランに合わせて、開発許可などのルールを敷く)
- ステップ4:都市計画事業の実行(実際に道路を作ったり、区画整理をしたりする)
今回詳しく見るのは、一番最初の「ステップ1:場所を決める(区域の指定)」の部分です。ここがスタート地点になりますので、しっかりと基礎を固めておきましょう。
ちなみに、この都市計画区域の指定は、行政区画(◯◯市や◯◯町といった境界線)にとらわれずに指定することができます。「生活圏」や「経済圏」といった実態に合わせて、自由に線を引けるという点も、頭の片隅に置いておいてくださいね。
さて、ここからが本番です。宅建試験で非常によく問われるのが、「誰が指定するのか?」と「どういう手続きが必要か?」という点です。
結論から言うと、指定する人は原則「都道府県」、例外として「国土交通大臣」の2パターンしかありません。この使い分けを整理できるかどうかが、得点源になるかどうかの分かれ道です。
基本的には、その土地のことをよく知っている都道府県が指定します。しかし、エリアが広すぎて一つの県に収まらない場合は、国(大臣)が出てくる、というイメージです。
| 指定する人(指定権者) | どんな時に指定する? |
|---|---|
| 都道府県知事 | 都市計画区域が、ひとつの都道府県内に収まる場合 |
| 国土交通大臣 | 都市計画区域が、2つ以上の都府県にまたがる場合 |
ここまではシンプルですよね。「県内なら知事、県をまたぐなら大臣」。まずはこれを合言葉のように覚えてしまいましょう。
次に、指定する際の手続きです。ここが少しややこしいのですが、試験では「知事は大臣の同意が必要か?」といった形で引っかけ問題が出されます。
それぞれの立場で、誰の話を聞かなければならないのか、表にまとめて比較してみましょう。
| 項目 | 都道府県が指定するとき | 国土交通大臣が指定するとき |
|---|---|---|
| ①意見を聴く相手 | 関係する市町村&都道府県都市計画審議会 | 関係する都府県&(国の)都市計画審議会 |
| ②協議・同意 | 国土交通大臣に協議し、同意を得る必要がある | (自分がトップなので同意は不要) |
| ③最後の手順 | 公告する(広く知らせる) | 公告する |
なぜかというと、都市計画は国のグランドデザインにも関わる重要なことだからです。県が勝手に決めてしまって、国の政策と矛盾したら困りますよね。だから、県は国(大臣)にお伺いを立てて、「同意(OKサイン)」をもらう必要があります。
一方で、大臣が指定する場合(2つ以上の県にまたがる場合)は、関係する都府県の「意見」は聴きますが、誰かの同意を得る必要はありません。大臣が一番偉いポジションだからですね。
「知事は大臣の同意が必要」。このフレーズは、今日の勉強の中で一番の重要事項なので、ぜひマーカーを引くつもりで覚えておいてください。
指定の流れとあわせて、試験でよく問われる「周辺知識」を2つだけピックアップします。これを知っていると、過去問を解くときの手応えが変わってきますよ。
都市計画区域を指定するためには、そのエリアの人口や交通量、土地の利用状況などを調べる必要があります。これを「都市計画に関する基礎調査」と言います。
この調査を行うのは都道府県の役割です。街の状況は刻一刻と変わりますから、一度調べたら終わりではありません。「おおむね5年ごとに」実施しなければならない、と決められています。
ちなみに、もう少し規制が緩い「準都市計画区域」については、「必要があると認めるとき」だけ調査を行えばOKです。この「5年ごと」という数字は、選択肢の一つとしてよく登場します。
原則として、都市計画はその区域の中に定めます。しかし、例外もあります。
例えば「道路」や「河川」、「送電線」などをイメージしてみてください。これらをまとめて「都市施設」と呼びますが、これらは都市計画区域の境界線で「はい、ここでストップ!」と止めるわけにはいきませんよね。隣の町へ、山の中へと続いていくものです。
そのため、「特に必要があるときは、都市計画区域の外でも定めることができる」というルールがあります。
- 原則:都市計画は区域内に定める
- 例外:都市施設(道路など)は、区域外にはみ出してもOK
「道路は山の中にも続いているから、区域外でもOKなんだな」と映像でイメージしておくと、試験中にド忘れしにくくなりますよ。
おつかれさまでした。都市計画区域の指定について、少し霧が晴れてきたでしょうか?
法律の勉強は、一度にすべてを完璧にする必要はありません。まずは「誰が」「どうするか」の骨組みを押さえるだけで十分です。
最後に、今日これだけは持ち帰ってほしいポイントをまとめました。
- 都市計画区域は、原則「都道府県」が指定する。(県をまたぐ時は大臣)
- 都道府県が指定する時は、あらかじめ「大臣の同意」が必要。
- 基礎調査は、都道府県が「おおむね5年ごと」に行う。
- 道路などの「都市施設」は、必要があれば区域外に定めてもOK。
もし明日、勉強を始めるときに「あれ、どうだったっけ?」と思ったら、このまとめだけでも見返してみてください。「知事は大臣にOKをもらう(同意)」という関係性だけでも思い出せれば、大きな一歩前進です。
一つひとつの積み重ねが、必ず合格につながります。焦らず、一緒に頑張っていきましょうね。

