こんにちは。宅建の勉強、毎日お疲れ様です。法令上の制限の分野に入ると、似たような言葉がたくさん出てきて、「あれ、これってどっちだったっけ?」と混乱してしまうこと、ありませんか?
私自身も受験生時代、都市計画法の分野で特につまずいたのが、今日お話しする「準都市計画区域」でした。「都市計画区域」と名前は似ているけれど、中身はちょっと違う。しかも、そこで定められるルール(地域地区)が決まっているなんて言われると、覚えるのが大変に感じてしまいますよね。
でも、安心してください。準都市計画区域は、その「目的」さえイメージできれば、覚えるべきポイントは意外と少ないんです。今日は、準都市計画区域の役割を整理したうえで、試験でよく問われる「ここで定めることができる8つの地域地区」について、わかりやすく解説していきます。難しい用語もかみ砕いて説明しますので、一緒に少しずつ整理していきましょう。
まずは、細かい暗記に入る前に、「そもそも準都市計画区域ってどんな場所?」というイメージを固めておきましょう。ここを理解しておくと、あとで紹介する8つのルールがなぜ必要なのか、自然と納得できるようになります。
都市計画区域(街作りをするエリア)は、人がたくさん住んでいる場所や、これから住みやすくしていく場所でしたね。一方で、準都市計画区域は、基本的には田舎のような場所で、積極的に「どんどん街を開発しよう!」というエリアではありません。
具体的には、高速道路のインターチェンジができた周辺などをイメージしてみてください。本来はのどかな場所ですが、便利になったことで、放っておくと大きな工場や倉庫、あるいは派手な看板のお店などが無秩序にボコボコと建ってしまう可能性があります。
そうなってから「街並みがぐちゃぐちゃだ!」と慌てても手遅れですよね。そこで、「今のままの環境を守りたいから、乱開発(無秩序な開発)を防いで、土地利用を整序(整理)しよう」という目的で指定されるのが、この準都市計画区域なのです。
【ポイント】準都市計画区域は、「積極的に開発する場所」ではなく、「今の環境を守るために、最低限のルールを決めておく場所」と考えましょう。
さて、ここからが試験対策のメインパートです。準都市計画区域は「乱開発を防ぐ」のが目的なので、都市計画区域のように何でもかんでもルールを決められるわけではありません。「定めることができる」とされる地域地区は、主に以下の8つです。
これらは丸暗記しようとすると大変ですが、「乱開発防止に必要なもの」という視点で見ると整理しやすくなります。
まずは一覧を見てみましょう。
| 定めることができる地域地区 | 簡単なイメージ |
|---|---|
| 1. 用途地域 | 建物の使い道を決める(住居系、商業系など) |
| 2. 特別用途地区 | 用途地域の中で、さらに細かく使い道を決める |
| 3. 特定用途制限地域 | 用途地域がない場所で、特定の建物を制限する |
| 4. 高度地区 | 建物の高さの上限・下限を決める |
| 5. 景観地区 | 街の美しい景観を守る |
| 6. 風致地区 | 自然の風景(風致)を守る |
| 7. 緑地保全地域 | 緑地を守る |
| 8. 伝統的建造物群保全地区 | 歴史的な建物群を守る |
いかがでしょうか。後半の4つ(景観、風致、緑地、伝統的建造物)は、どれも「今の環境や見た目を守る」ためのものですよね。乱開発を防ぐという目的にぴったり合っています。
準都市計画区域の学習で、多くの初学者が引っかかってしまうのが、「高度地区」は定められるけれど、「高度利用地区」は定められないという点です。ここは過去問でも頻出のひっかけポイントですので、理由を知って確実に区別できるようにしておきましょう。
- 高度地区:建物の高さ(メートル)に制限をかけます。「高すぎる建物を建てて、周りの日当たりや景観を壊さないようにしよう」というルールです。これは「乱開発防止」につながるので、準都市計画区域でも定めることができます。
- 高度利用地区:こちらは、小さな建物をまとめて大きなビルにし、土地を有効活用(高度利用)して、街を活性化させようというルールです。つまり「再開発」や「都会的な発展」を目指すものです。準都市計画区域は「積極的に開発する場所ではない」ので、高度利用地区は定めることができません。
8つのリストの中に、「用途地域」「特別用途地区」「特定用途制限地域」という似た言葉が並んでいましたね。ここも少しややこしいので、整理しておきましょう。
まず大前提として、準都市計画区域でも用途地域(ここは住居エリア、ここは商業エリア…という区分け)を定めることができます。ただし、都市計画区域の市街化区域とは違って、「必ず定めなければならない」わけではありません。
この2つは、セットで対比して覚えるのがコツです。
① 特別用途地区これは、「用途地域」が定められている場所にプラスアルファで設定するルールです。「ここは商業地域だけど、文教地区としてパチンコ店は禁止ね」といった具合です。準都市計画区域内で用途地域を決めた場合は、この特別用途地区も定めることができます。
② 特定用途制限地域こちらは、「用途地域」が定められていない場所に設定するルールです。準都市計画区域では、用途地域を定めないこともあります。そのままだとどんな建物でも建ってしまうので、「とりあえず風俗店と大きな工場だけはダメ!」のように、特定の用途を制限します。これが特定用途制限地域です。
【覚え方のコツ】・用途地域がある場所 ⇒ 特別用途地区・用途地域がない場所 ⇒ 特定用途制限地域
この「特定用途制限地域」は、まさに準都市計画区域のような「用途地域がないけれど、乱開発は防ぎたい場所」のためにあるような制度なので、試験でもよく狙われます。
最後に、もう一つ試験でよく出るポイントを補足しておきます。それは、「防火地域・準防火地域」についてです。
結論から言うと、準都市計画区域では、原則として防火地域・準防火地域を定めることはできません。
なぜなら、防火地域などは「建物が密集している市街地」で火災が広がるのを防ぐためのものだからです。準都市計画区域は、そこまで建物が密集していないエリアを想定しているので、このルールは基本的に必要ない(定めるメニューに入っていない)のです。
「準都市計画区域で定められるもの」を聞かれたら、先ほどの8つを思い出し、それ以外(高度利用地区や防火地域など)が入っていたら「×」と判断できるようにしていきたいですね。
お疲れ様でした。少し耳慣れない「準都市計画区域」について、整理できたでしょうか。最後に、今日これだけは覚えておきたいポイントをまとめました。復習に使ってみてください。
- 準都市計画区域の目的:積極的に開発するためではなく、乱開発を防ぎ、土地利用を整序するために定める。
- 定めることができる8つの地域地区:用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区、景観地区、風致地区、緑地保全地域、伝統的建造物群保全地区。
- ひっかけ注意ポイント①:高度地区(高さ制限)はOKだが、高度利用地区(再開発・活性化)はNG。
- ひっかけ注意ポイント②:特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地で定めることができる。
まずは、「準都市計画区域=今ののどかな環境を守る場所」というイメージを持って、8つのリストを何度か眺めてみてください。焦らず一つずつ知識を積み重ねていけば、必ず得点源になります。今日の頑張りが、合格への確実な一歩になりますように。

