こんにちは。宅建の勉強、順調に進んでいますか？テキストを開くと、見慣れない法律用語や漢字がずらりと並んでいて、それだけで「うっ」となってしまうこと、ありますよね。
私自身も最初はそうでした。特に、今回解説する「用途地域」や「用途制限」の分野は、種類が多くて表も複雑で、どこから手を付ければいいのか途方に暮れた記憶があります。
でも、安心してください。この分野は、真正面から丸暗記しようとすると大変ですが、「街づくりのルール」としてのイメージを持つと、驚くほど頭に入りやすくなります。
今日は、初学者の方がまず押さえるべき「用途地域の全体像」と、試験でよく問われる「用途制限のポイント」に絞って解説していきます。「全部覚えなきゃ」と気負わずに、まずはざっくりとしたイメージ作りから始めていきましょう。
そもそも「用途地域」とは何でしょうか。一言で言えば、「ここは工場エリア」「ここは静かな住宅街」「ここは繁華街」といったように、エリアごとに役割分担を決めるルールのことです。
もしこのルールがなかったらどうなるでしょう？閑静な住宅街の真ん中に、いきなり大きな騒音を出す工場が建ったり、小学校の隣に派手な風俗店ができたりするかもしれません。それでは安心して暮らせませんよね。
だから、「似たような建物は固めて建てましょう」「相性の悪い建物は離しましょう」と決めているのです。これが用途地域です。
用途地域は全部で13種類あります。これをいきなり全部覚えようとするとパンクしてしまいます。
まずは大きく3つのグループ（色）に分けてイメージしましょう。
- 住居系（8種類）：人が住むためのエリア（黄色・緑のイメージ）
- 商業系（2種類）：お店やオフィスが集まるエリア（赤・ピンクのイメージ）
- 工業系（3種類）：工場や倉庫が集まるエリア（青・水色のイメージ）
試験対策としては、この13種類をさらに整理して、以下のように「9つのグループ」として捉えると覚えやすくなります。テキストによっては13個バラバラに書いてありますが、似た性質のものをまとめて覚えるのが合格への近道です。
| 分類 | グループ番号 | 具体的な地域名（イメージ） |
|---|---|---|
| 住居系（住む場所） | １ | 第1種・2種低層住居専用地域田園住居地域（低い家や庭付き一戸建てが多い） |
| ２ | 第1種・2種中高層住居専用地域（マンションなども建つ） | |
| ３ | 第1種・2種住居地域（お店や事務所も混ざる住宅地） | |
| ４ | 準住居地域（国道沿いなど、車庫や倉庫も混在） | |
| 商業系（お店） | ５ | 近隣商業地域（商店街、スーパー） |
| ６ | 商業地域（デパート、繁華街、ビル群） | |
| 工業系（工場） | ７ | 準工業地域（町工場、意外と何でもあり） |
| ８ | 工業地域（大きな工場がメイン） | |
| ９ | 工業専用地域（コンビナート、人が住めない） |
この表の番号（１～９）は、あくまで勉強用の整理番号ですが、頭の中でこの引き出しを作っておくと、後で学習がスムーズになります。「１と２は住環境をガチガチに守るエリア」「６と７は何でもありなエリア」といったざっくりした感覚を持ってください。
さて、ここからが本番です。試験では「この用途地域に、この建物は建てられるか？」というマルバツ問題（用途制限）がよく出題されます。
何百種類もの建物と13種類の地域の組み合わせを全部覚えるのは不可能です。ですから、試験に出やすい「境界線」となる建物を押さえましょう。
まず、一番最初に覚えてほしい最強のルールがあります。それは、「工業専用地域には、人が住むための建物は建てられない」ということです。
表のグループ番号「９」にあたる工業専用地域は、コンビナートや重化学工場のための場所です。空気や騒音の面で、人が生活するには適していない環境だとイメージしてください。
- 住宅
- マンション
- 老人ホーム
- 図書館
- 病院
これらはすべて、工業専用地域では建築NG（×）です。逆に言えば、「工業専用地域以外なら、住宅はどこでも建てられる」のです。これを知っているだけで解ける問題が過去に何度も出ています。
次に迷いやすいのが、「学校」や「病院」です。これらは生活に必要ですが、静かな環境が好ましい施設でもあります。
【ポイント】小・中・高校や大学、病院は、「工業地域（グループ８）」と「工業専用地域（グループ９）」には建てられません。
大きなトラックが走り回り、機械音が響く工場の真ん中に、小学校や入院施設のある病院を作るのは危険ですよね。そうイメージすれば、自然と覚えられます。
少し難易度が上がりますが、商業系（お店）のルールの違いも大切です。「近隣商業地域（５）」と「商業地域（６）」の違いを見てみましょう。
近隣商業地域は、住宅街の近くにある商店街のような場所です。日用品の買い物には便利ですが、あまり派手な遊び場は好ましくありません。
- カラオケボックス：近隣商業地域（５）からOK
- パチンコ屋：近隣商業地域（５）からOK
- 料理店・キャバレー（風俗営業系）：商業地域（６）などの一部のみOK
ここで注意したいのは、「住居系地域（１～４）」には、基本的にこういった遊戯施設は建てられないということです。ただし、準住居地域（４）だけは、国道沿いなどのイメージなので、一部の施設（小規模な映画館や倉庫など）が許可されることがありますが、基本的には「遊び場は商業系へ」と覚えておきましょう。
用途地域と用途制限は、細かい表を丸暗記しようとすると挫折します。まずは「人が住めるかどうか」「学校が作れる環境か」といった、生活のイメージを持って整理することが大切です。
最後に、今日これだけは覚えて帰ってほしいポイントをまとめました。
【今日の覚えるべきポイント】
- 用途地域は大きく3つ！ 住居系（住む）、商業系（店）、工業系（工場）。
- 住宅が建てられないのは「工業専用地域」だけ！ これ以外ならどこでも住める。
- 老人ホーム・図書館・病院も、工業専用地域には建てられない（人が集まるから）。
- 診療所・保育所・交番・公衆浴場は、全地域どこでもOK！（生活必需施設）。
- 学校（小中高・大学）は、工業地域・工業専用地域には建てられない（危険だから）。
まずはこの5点を完璧にするだけで、過去問の選択肢が驚くほど切れるようになります。焦らず、一つひとつ「なるほど」を積み重ねていきましょう。
毎日の積み重ねが、必ず合格につながります。一緒に頑張っていきましょう！
