用途地域と建築制限、どこまで覚える?試験に出る重要ポイントだけ解説

用途地域と建築制限、どこまで覚える?試験に出る重要ポイントだけ解説 宅建

こんにちは。宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?

テキストを開いて「法令上の制限」の分野に入ると、漢字の多い専門用語や、複雑な数字の表がいきなり出てきて、心が折れそうになること、ありますよね。私自身も最初は、テキストに載っている「用途制限の○×表」を見た瞬間、「これを全部覚えるなんて絶対無理だ…」と呆然とした記憶があります。

でも、安心してください。あの表を最初から最後まで完璧に丸暗記している受験生なんて、実はほとんどいません。合格している人は、「試験に出るところ」と「覚えやすい法則」だけを効率よく頭に入れているんです。

今日は、そんな「用途制限」について、初学者がまず最初に覚えるべきポイントだけに絞って解説していきます。「これなら覚えられそう!」と思えるところから、少しずつ攻略していきましょう。

用途制限ってなに?街づくりのルールをイメージしよう

まずは、細かい暗記に入る前に「そもそも用途制限ってなに?」というイメージを固めておきましょう。このイメージがあるだけで、暗記の定着率がぐっと上がります。

用途制限って、結局なにを決めているんですか?

一言で言うと、「このエリアには、こんな建物を建てていいよ(またはダメだよ)」という街づくりのルールです。

混ぜるな危険?似た建物を集める理由

想像してみてください。もしあなたが、静かに暮らしたいと思ってマイホームを建てたすぐ隣に、煙をモクモクと出す大きな工場が建設されたらどうでしょう?あるいは、小学校のすぐ目の前に、派手なネオンが光る風俗店ができたら、教育上ちょっと心配ですよね。

このように、種類の違う建物が無秩序に混ざり合ってしまうと、住環境が悪くなったり、工場が効率よく稼働できなくなったりしてしまいます。だからこそ、「ここは静かに住むためのエリア」「ここは賑やかに買い物をするエリア」「ここは工場でガンガン物を作るエリア」というふうに、街を区切る必要があるのです。これが用途地域であり、そのルールが用途制限です。

13種類の用途地域、まずは3つのグループに分けよう

用途地域は全部で13種類あります。「13個も覚えるの?」と思うかもしれませんが、大きく分けるとたったの3つのグループしかありません。

ポイント
  • 住居系(住むための地域):8種類
  • 商業系(お店やオフィスの地域):2種類
  • 工業系(工場の地域):3種類

試験対策としては、それぞれの地域が「何を守ろうとしているのか」をざっくり理解することから始めます。

住居系:とにかく環境を守りたい

「第一種低層住居専用地域」のように、「住居」という言葉が入っている地域です。ここは基本的に「静かな環境」が最優先されます。そのため、大きな店舗や騒音の出る施設は厳しく制限されます。特に「第一種〜」とつく地域は制限が厳しめだとイメージしておくと良いでしょう。

商業系:賑やかさが正義

「近隣商業地域」と「商業地域」の2つです。駅前や繁華街をイメージしてください。ここでは、デパート、映画館、オフィスビルなど、人が集まる施設を建てることが推奨されます。逆に、静けさを求めるような制限はほとんどありません。

工業系:ものづくりの拠点

「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」の3つです。町工場から大規模なコンビナートまで様々ですが、ポイントは「住宅が建てられるかどうか」という点です。これについては、後ほど詳しく解説しますね。

【暗記のコツ】表を全部覚えるのは無理!「境界線」を探そう

さて、ここからが本題です。テキストにある「用途制限の○×表」を攻略するには、全部を覚えようとせず、「ここだけはダメ」「ここからはOK」という境界線を覚えるのが近道です。

表を見ると○と×がいっぱいで、どこを見ればいいのか分かりません…。

大丈夫です!試験によく出る「覚えやすいポイント」を4つピックアップしました。まずはこれだけ覚えましょう。

ポイント1:住宅が建てられないのは「1つ」だけ!

これは一番覚えやすく、かつ試験でも超重要です。13種類の用途地域の中で、「住宅」を建ててはいけない地域は、たった1つしかありません。

それは、「工業専用地域」です。

【ここを暗記!】工業専用地域 = 工場の専用エリアだから、住宅は×。それ以外の12地域 = 全部、住宅は○。

「工業地域」は住宅OKですが、「工業専用地域」はNGです。コンビナートのような場所で、人が住むには危険すぎる環境だとイメージしましょう。ちなみに、「老人ホーム」も住宅と同じ扱いです。工業専用地域には建てられませんが、それ以外ならどこでも建てられます。

ポイント2:学校が建てられない場所は?

次に、幼稚園・小学校・中学校・高校といった「学校」についてです。学校は子供たちが通う場所なので、危険な工場の近くには建てられません。

具体的には、以下の2つの地域で建築NGとなります。

ポイント
  • 工業地域
  • 工業専用地域

「工業系の中でも、ガッツリ工場がある場所には学校は作れない」と覚えておきましょう。ちなみに、同じ工業系でも「準工業地域」は、軽工業や町工場が多いエリアなので、学校を建てることができます。このひっかけ問題はよく出ますので、注意していきたいところです。

ポイント3:大学・病院の境界線

大学や大きな病院は、少し規模が大きくなるため、静けさを最優先する「低層住居専用地域」や「田園住居地域」には建てられません。これらは、一戸建てが並ぶ閑静な住宅街を守るための地域だからです。

逆に言うと、それ以外の地域(中高層住居専用地域など)であれば、広く建築が可能です。「低層エリアと田園には、大きな大学や病院は似合わない」というイメージを持っておくとよいかもしれません。

ポイント4:遊興施設(カラオケ・パチンコ)の制限

カラオケボックスやパチンコ屋といった施設は、住環境への影響が大きいため、住居系の地域では基本的に建築できません。これらが建てられるようになるのは、主に以下の地域からです。

住居系地域 × 建築不可(一部例外あり)※ただし準住居地域には小規模な営業用倉庫などは建てられるが、遊戯施設は厳しい
商業系地域 ○ 建築可能近隣商業・商業地域はOK
工業系地域 ○ 一部可能準工業・工業地域はOK(工業専用地域はNG)

特に「準工業地域」は何でもありな地域(住宅もお店も工場もOK)なので、パチンコ屋やカラオケボックスも建てられる、という点がポイントです。一方で、学校や病院は静かな環境が必要なので、これらの遊戯施設とは住み分けがされています。

過去問を解くときの考え方

実際の試験では、「第一種低層住居専用地域内に、大学は建築できるか?」といった形式で出題されます。このとき、全ての○×を思い出そうとするのではなく、先ほどの「境界線」を使って考えます。

例えば、以下のような思考プロセスで解いていけるとスムーズです。

ポイント
  • 「大学」か…。大きな建物だな。
  • 閑静な住宅街(低層エリア)には似合わないな。
  • 第一種低層住居専用地域は、一番制限が厳しい場所だ。
  • ということは、大学は建てられないはず! ⇒ 答えは×

このように、丸暗記ではなく「その地域のイメージ」と「主要なNGルール」を組み合わせることで、正解を導き出せるようになります。

まとめ

用途制限は、表をただ眺めていても頭に入ってきません。まずは「これだけは絶対」というポイントを確実に押さえ、そこから少しずつ知識を広げていくのが合格への近道です。

今日の学習で、これだけは覚えて帰ってください。

ポイント
  • 住宅・老人ホームは、「工業専用地域」以外ならどこでも建てられる。
  • 学校(小中高)は、「工業地域」「工業専用地域」には建てられない。
  • 大学・病院は、「低層住居系」「田園住居」には建てられない。
  • 準工業地域は、かなり自由度が高い(住宅も学校もパチンコ屋もOK)。

まずはこの4点を、今日の通勤時間や寝る前の5分で確認してみてください。一つひとつ整理していけば、必ず得点源にできる分野です。一緒に頑張っていきましょう!