こんにちは。宅建の勉強、毎日お疲れ様です。法令上の制限の分野に入ると、聞いたこともないような長い漢字の用語がたくさん出てきて、テキストを開くのも億劫になってしまいますよね。
「都市計画法、漢字が多すぎて目が滑る…」「地区と地域、何が違うの?もう全部同じに見える!」
私自身も勉強を始めたばかりの頃は、この「似たような用語」に何度も心を折られそうになりました。特に今日解説する「特別用途地区」と「特定用途制限地域」は、名前が本当にそっくりですよね。どっちがどっちだか分からなくなって、パニックになるのは決してあなただけではありません。
でも、安心してください。この2つは、あるたった一つの「基準」さえ分かってしまえば、驚くほど簡単に区別できるようになります。難しい法律の条文を丸暗記する必要はありません。今日は、このややこしい2つの用語を、イメージを使って整理していきましょう。
まず結論からお話しします。この2つの用語の違いを決定づけるのは、「用途地域(ようとちいき)が定められている場所かどうか」という点です。
宅建試験においては、ここが最も狙われやすいポイントであり、逆に言えばここさえ押さえておけば、大半のひっかけ問題に対応できるようになります。
本題に入る前に、少しだけ「用途地域」について思い出してみましょう。用途地域とは、「ここは住居専用のエリア」「ここは商業エリア」「ここは工場のエリア」というように、街づくりのベースとなる色分けのことでしたね。
このベースがあるのか、ないのか。これによって、「特別用途地区」が登場するのか、「特定用途制限地域」が登場するのかが決まるのです。
まずはざっくりと、2つの違いを表で見てみましょう。今の時点では「ふーん、場所が違うんだな」程度に眺めるだけで大丈夫ですよ。
| 用語 | 設定できる場所(超重要) | 目的のイメージ |
|---|---|---|
| 特別用途地区 | 用途地域がある場所(用途地域内) | 今のルールに「さらにプラス」して特徴を出す |
| 特定用途制限地域 | 用途地域がない場所(非線引・準都市など) | ルールがない場所に、最低限の制限をかける |
文字で見ると難しく感じるかもしれませんが、次からそれぞれのイメージを詳しく解説していきますね。
まずは「特別用途地区(とくべつようとちく)」からです。先ほどの表でも触れましたが、ここでの最大のキーワードは「用途地域内」という言葉です。
試験対策として、以下のフレーズをまずは頭の片隅に置いてください。
特別用途地区は、「用途地域」というベースがあるところにしか定められない。
用途地域というのは、すでに「ここは住居系だよ」「ここは商業系だよ」という基本的なルールが決まっているエリアです。しかし、街づくりをしていると、基本的なルールだけでは物足りないことが出てきます。
例えば、「ここは学校が多い文教地区にしたいから、パチンコ店などは建てられないようにしたいな」とか、「ここは観光地にしたいから、もっとホテルを建てやすくしたいな」といったケースです。
そんな時に登場するのが「特別用途地区」です。すでにある用途地域のルールの上に、「特別」なルールを「上乗せ」するイメージを持ってください。
- 「特別」な目的のために、規制を厳しくしたり、逆に緩めたりする。
- あくまで「用途地域」のルールを補完して、よりその街に合った環境を作るためのもの。
ですから、用途地域が指定されていない場所に、いきなり特別用途地区だけをポンと置くことはできません。「ベース(用途地域)があってこその、トッピング(特別用途地区)」と覚えておきましょう。
次は「特定用途制限地域(とくていようとせいげんちいき)」です。名前が長くて嫌になりますが、漢字を分解すると「特定の・用途を・制限する・地域」となります。
こちらは、先ほどとは逆の場所で登場します。つまり、「用途地域が定められていない場所」です。
試験用語で言うと、以下のエリアが対象になります。
- 非線引都市計画区域(ひせんびきとしけいかくくいき)
- 準都市計画区域(じゅんとしけいかくくいき)
これらは、大都市の中心部などと違って、まだそれほど建物が密集していない、あるいはこれから発展していくような、ちょっとのどかなエリアを想像してみてください。ここには、ガチガチのルールである「用途地域」はまだ定められていません。
用途地域がないということは、極端に言えば「どんな建物を建てても自由」に近い状態になってしまいます。しかし、だからといって野放しにしていると、静かな田園地帯にいきなり巨大なパチンコ店ができたり、騒音の激しい工場ができたりして、環境がめちゃくちゃになってしまうかもしれません。
そこで、「用途地域を決めるほどではないけれど、最低限、特定の悪い影響がある建物だけは制限しておこう」として指定するのが、この特定用途制限地域なのです。
「特定の」というのは、「騒音を出す工場」や「風俗店」など、その場所にふさわしくない「特定の建物」を指します。これらが勝手に建つのをブロック(制限)するための地域なんですね。
ここまで読んでいただいて、2つの違いが少し見えてきたでしょうか?ここからは、実際の宅建試験でどう問われるのか、得点源にするためのコツをお話しします。
勉強していると、「あれ? 特別用途『地区』だっけ? 『地域』だっけ?」と迷うことがあります。また、「特定用途制限『地区』」と間違えて覚えてしまうこともあるかもしれません。
ですが、安心してください。宅建試験では、「地区」と「地域」の名称のひっかけ問題はまず出ません。
「特別用途地域」とか「特別用途制限地区」といった誤字レベルの選択肢で受験生を落とそうとする意地悪な問題は出ないのです。ですから、名前の語尾よりも、「中身(どこに指定できるか)」に全集中してください。
試験前日や、模試の直前に見直すべきは以下のポイントです。この対比さえ頭に入っていれば、問題文を読んだ瞬間に正誤が判断できます。
【特別用途地区】
- 場所:用途地域内(用途地域の上に重ねる)
- 役割:その地区の特性に合わせて、さらに良い街にする(増進・保護)
【特定用途制限地域】
- 場所:用途地域が定められていない場所(非線引・準都市)
- 役割:勝手な開発で環境が悪化しないよう、特定の建物だけダメと言う
長い用語の解説、お疲れ様でした。法令上の制限は、漢字の雰囲気だけで覚えようとすると混乱しますが、「場所」と「目的」をセットにすると整理しやすくなります。
最後に、今日これだけは持ち帰っていただきたいポイントをまとめました。
- 特別用途地区は、「用途地域内」にしか定められない(ベースが必要)。
- 特定用途制限地域は、「用途地域がない場所(非線引・準都市)」に定める。
- 「地区」か「地域」かという名前の違いは、試験の得点には関係ないので気にしなくてOK。
過去問を解いていてこの用語が出てきたら、「あ、これは『中』か『外』かの話だな」と思い出してみてください。それだけで、今まで難しく見えていた選択肢が、ボーナス問題に見えてくるはずです。
焦らず、一つひとつ知識を積み重ねていきましょう。あなたの毎日の頑張りは、必ず合格につながっています。

