地区計画は「ご近所ルール」で覚える!宅建試験で狙われる届出のポイント

地区計画は「ご近所ルール」で覚える!宅建試験で狙われる届出のポイント 宅建

こんにちは! 宅建の勉強、順調に進んでいますか? 都市計画法って、スケールが大きすぎてなかなかイメージが湧きにくいですよね。私が勉強していた頃も、「都市計画区域」とか「準都市計画区域」とか、似たような漢字ばかり並んでいて、テキストを開くたびにため息をついていました。

でも、今日お話しする「地区計画」は、もっと私たちの生活に近い、身近な「まちづくり」のルールなんです。ここを理解すると、街を見る目が少し変わって面白いですし、何より試験で非常によく問われる得点源でもあります。

難しい法律用語も、噛み砕いてしまえば「なるほど、そういうことか」と納得できるはずです。今日は肩の力を抜いて、一緒に「地区計画」のポイントを整理していきましょう。

地区計画とは? 都市計画よりも「小さなエリア」のルール

まず、「地区計画」という言葉のイメージから固めていきましょう。都市計画法全体が「日本全体の土地の使い方」をざっくり決めるものだとしたら、地区計画はもっともっとズームインした、「特定の地区・街区レベル」の細かいルールのことです。

地区計画って、要するにどういうことですか?
例えば、「この住宅街では、家の屋根の色を統一して美しい街並みにしよう」とか、「この通り沿いはお店を並べて賑やかにしよう」といった、その地区ごとの個性的なルールのことだよ。

都市計画法に基づいて、「どんな建物なら建てていいか(用途)」「建物の高さや形はどうするか」「道路や広場をどう配置するか」といったことを、きめ細かく決めていきます。国や都道府県が決める大きな方針というよりは、「私たちの街をどうするか」という住民に近い視点での計画だと思ってください。

地区計画を定められる場所はどこ?

試験で問われやすいのが、「どこなら地区計画を決められるのか?」という点です。ここはシンプルに整理しておきましょう。

ポイント
  • 用途地域内: 原則として定められます。
  • 用途地域外: 一定の条件を満たす区域なら定められます。
  • 準都市計画区域:ここでは定められません。

特に重要なのは、3つ目の「準都市計画区域では地区計画を定めることはできない」という点です。ひっかけ問題でよく出るので、「準都市計画区域には、細かい地区計画までは作れないんだな」と頭の片隅に置いておいてください。

試験に出る! 地区計画区域内での「届出」ルール

さて、ここからが今日一番の本題です。宅建試験で地区計画が出題されるとき、最も狙われやすいのがこの「届出」に関する手続きです。

もしあなたが、地区計画が決まっているエリアで、以下のようなことをしようとしたらどうなるでしょうか?

ポイント
  • 土地の区画形質の変更(造成工事など)
  • 建築物の建築
  • 工作物の建設

この場合、勝手に工事を始めてはいけません。ルールを守っているかチェックしてもらう必要があるからです。

「着手する30日前」までに「市町村長」へ

ここで覚えるべき数字と相手はこれだけです。

ここには、試験作成者が大好きな「ひっかけポイント」が2つ隠されています。

一つ目は「誰に?」です。都市計画法の多くの手続きは「都道府県知事」が相手ですが、地区計画はもっと身近な街のルールなので、「市町村長」が窓口になります。「知事じゃないよ、市長さんだよ」と覚えておきましょう。

二つ目は「許可か、届出か?」です。開発許可制度などでは厳しい「許可」が必要ですが、地区計画の場合は「届出」だけでOKです。「許可をもらわなければならない」という選択肢が出たら、それは間違いです。

もしルール違反だったら「工事中止」にさせられる?

これも非常によく出る論点です。もし、届け出た内容が地区計画のルールに合っていなかった場合、市町村長はどうするでしょうか?

正解は、「勧告(かんこく)」をすることができます。「ちょっとルールに合わないから直してね」とアドバイスするイメージです。

しかし、「工事の中止命令」までは出せません。あくまで「届出」制であり、「許可」制ではないからです。この「勧告はできるけど、中止命令はできない」という微妙な力関係が、試験ではとても重要になります。

再開発等促進区・開発整備促進区とは?

地区計画の中には、さらに特別な目的を持った「促進区」というものがあります。名前が長くて難しそうですが、具体的な建物をイメージすると覚えやすくなります。

再開発等促進区(六本木ヒルズのイメージ)

これは、都心部などで土地をあわせて大きく使い、高層ビルなどを建てて街をリニューアルするプロジェクトに使われます。メモにもある通り、「六本木ヒルズ」「東京ミッドタウン」のような大規模な再開発をイメージしてください。

容積率(建てられる広さの制限)を緩和してあげる代わりに、道路や広場などの公共施設も一緒に整備してもらう、という仕組みです。「用途地域内」でのみ定めることができます。

開発整備促進区(巨大ショッピングモールのイメージ)

こちらは、「大規模な集客施設」を呼ぶためのエリアです。具体的には、床面積が10,000㎡を超える店舗、映画館、展示場などです。郊外にある巨大なイオンモールやアウトレットモールを想像するとわかりやすいですね。

この開発整備促進区を定められる場所は、以下の地域に限られています。

ポイント
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 工業地域
  • 用途地域の指定のない区域(市街化調整区域を除く)

商業地域や近隣商業地域が入っていないのは、そもそもそういう場所には最初からお店を建てられるからです。「本来なら巨大なお店を建てにくい場所に、特別にルールを作って呼ぶためのもの」と理解しておくと良いでしょう。

その他の地区計画の種類をサクッと整理

最後に、名前だけで中身がなんとなくわかる地区計画の種類をまとめておきます。深入りしすぎず、「そういう目的のものがあるんだな」程度で大丈夫です。

名称 目的とイメージ
防災街区整備地区計画 火事や地震に強い街にするための計画。木造密集地域などで延焼を防ぐイメージ。
歴史的風致維持向上地区計画 京都や金沢のような、歴史的な街並みを守るための計画。
沿道地区計画 大きな道路沿いで、車やトラックの騒音を防ぐための計画。
集落地区計画 農村部などで、農業と住居がうまく共存するための計画。
まとめ:今日覚えるのはこれだけでOK!

お疲れ様でした! いろいろな用語が出てきましたが、試験対策として「今日これだけは持ち帰ってほしい」というポイントを絞りました。

試験直前に見返すメモとして、これだけ覚えておきましょう。

ポイント
  • 地区計画は「準都市計画区域」には定められない。
  • 工事等の届出は、「着手する30日前」までに「市町村長」へ。(知事ではない!)
  • 市町村長は「勧告」はできるが、「工事の中止」まではできない。
  • 「再開発等促進区」は六本木ヒルズ、「開発整備促進区」は巨大モール。

この分野は、「知事か市町村長か」「許可か届出か」といった単純な入れ替え問題が多く出題されます。つまり、一度整理して覚えてしまえば、確実に1点を取れるラッキー問題に変わるんです。

今日の勉強で、地区計画への苦手意識が少しでも減っていたら嬉しいです。焦らず一つずつ、知識を積み重ねていきましょうね。