こんにちは。宅建試験の勉強、進んでいますか?
法令上の制限を勉強していると、「道路斜線」「隣地斜線」「北側斜線」……と、似たような名前の制限がたくさん出てきて混乱してしまいますよね。
「この地域にはどれが適用されるの?」
「もし複数の制限がかぶったら、どっちを守ればいいの?」
そんな疑問を持つ初学者の方は多いはずです。私も受験生時代、ここで何度もつまずきました。
そこで今日は、ごちゃごちゃになりがちな「各斜線制限の定義」と、試験で問われる「適用エリア(○×)」、そして「優先順位のルール」について整理していきます!
まずは、それぞれの制限が「何のためにあるのか」を確認します。
目的を知ると、暗記がぐっと楽になりますよ。
隣の敷地に建つ建物の通風・採光の環境を確保することを目的とした制限です。
高い建物が境界線ギリギリに建つと、お隣さんは真っ暗になって風通しも悪くなりますよね。
それを防ぐために、一定の高さ(20mまたは31m)を超える部分について、内側にセットバックさせる(斜めにカットする)ルールです。

自分の家の北側の家の環境、特に日照権の確保を目的として、建物の高さ制限がなされるものです。
北側隣地から敷地を斜めの線で建築可能な範囲を制限します。
あなたの家にとっての「北側」は、裏のお宅にとっての「南側」です。
南からの日差しを遮らないように配慮するのがこの制限です。

道路の幅との兼ね合いで、建物の高さを規制するものです。
北側斜線制限と同様に、建物の日照・採光・通風に支障をきたさないようにすると共に、道路の採光の確保も目的としています。
道路が両側のビルで挟まれて暗いトンネルにならないよう、道路に光や風を通すためのルールですね。

建築物からできる影が、周辺の土地に一定時間かからないようにすることにより、日照環境を確保するための制限です。
これには建築物の高さ制限があります。
例えば、第一種低層住居専用地域では「軒の高さが7mを超える場合」または「地階を除く階数が3以上の場合」が規制の対象となります。
ここが今回の重要ポイントです。
一つの土地に「道路斜線制限」と「北側斜線制限」、さらに「日影規制」など、複数の制限が同時にかかることがあります。
「Aのルールでは高さ10mまでOKだけど、Bのルールでは8mまでしかダメ」となった場合、どうすればいいのでしょうか?
答えはシンプルです。
それぞれの制限で、どれが優先されるかは、厳しさにより異なります。つまり、より厳しい制限が優先されることとなります。
安全側(低いほう)に合わせておけば、結果としてすべてのルールを守ったことになりますよね。
「全部計算して、一番低い高さ(一番厳しい数値)を採用する」と覚えておきましょう。
では、どの地域にどの制限がかかるのでしょうか?
試験で頻出のポイントを、以下の表にまとめました。これが頭に入っていれば、この分野の得点力は格段に上がります。
(○:適用あり / ×:適用なし)
| 用途地域 | 隣地 斜線 |
道路 斜線 |
北側 斜線 |
|---|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | × | ○ | ○ |
| 第二種低層住居専用地域 | × | ○ | ○ |
| 田園住居地域 | × | ○ | ○ |
| 第一種中高層住居専用地域 | ○ | ○ | ○ |
| 第二種中高層住居専用地域 | ○ | ○ | ○ |
| 第一種住居地域 | ○ | ○ | × |
| 第二種住居地域 | ○ | ○ | × |
| 準住居地域 | ○ | ○ | × |
| 近隣商業地域 | ○ | ○ | × |
| 商業地域 | ○ | ○ | × |
| 準工業地域 | ○ | ○ | × |
| 工業地域 | ○ | ○ | × |
| 工業専用地域 | ○ | ○ | × |
表を丸暗記するのは大変なので、以下の3つの法則を押さえましょう。
表の真ん中の列を見てください。すべて「○」になっていますよね。
道路斜線制限は全ての地域で適用がある、これは基本中の基本です。
表の一番上のブロックを見てください。
低層住居専用地域・田園住居地域では、隣地斜線制限の適用はありません(×)。
なぜなら、これらの地域には「絶対高さ制限(10mまたは12m)」というさらに厳しいルールが元々あるからです。
隣地斜線制限は20mを超えるような高さで発動するものなので、ここでは出番がないのです。
表の右列に注目です。
北側斜線制限については、第一種・二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・二種中高層住居専用地域のみ適用されます。
それ以外の地域(住居地域や商業地域など)については、北側斜線を考慮する必要はありません。
「低層」と「中高層」のグループだけが対象、と覚えておきましょう。
最後に、今日の学習の要点を整理します。
試験直前に見直すメモとして活用してください。
「〇〇地域には北側斜線がかかるか?」という問題は、宅建試験で非常によく出題されます。
今日見た表のイメージを思い出して、自信を持って解答できるようにしておきましょう!
少しずつ整理していけば、法令上の制限は必ず得点源になります。
諦めずにコツコツ進めていきましょうね。

