こんにちは!宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?
法令上の制限の分野に入ると、急に「〇〇メートル」とか「〇〇平米」といった数字が増えてきて、頭が痛くなることってありますよね。
私も勉強を始めたばかりの頃は、テキストに出てくる無機質な数字の羅列を見るたびに、「これ全部覚えるの…?」と絶望的な気分になっていました。今は経理の仕事をしているので数字には慣れましたが、当時の私にとって、法律の数字はただの記号にしか見えなかったんです。
でも、安心してください。今日テーマにする「敷地面積の最低限度」と「外壁後退距離」は、数字こそ出てきますが、その「理由」さえイメージできれば、実は覚えることはとても少ないんです。
「なぜそんなルールが必要なのか?」という背景を知るだけで、丸暗記しなくても自然と答えが選べるようになりますよ。今日も肩の力を抜いて、一緒にポイントを整理していきましょう。
まずは一つ目のテーマ、「敷地面積の最低限度」についてお話しします。漢字ばかりで難しそうに見えますが、これは要するに「あまりにも狭すぎる土地に家を建てるのはやめましょう」というルールのことです。
少し想像してみてください。もし、土地をいくらでも細かく分割して家を建てていいことになったら、どうなるでしょうか?
うーん、狭い土地に無理やり家を建てる人が増えそうですね。
そうなんです。いわゆる「ペンシルハウス」のような細長い家がぎゅうぎゅうに立ち並ぶと、日当たりも悪くなるし、風通しも悪くなりますよね。それに、防災の面でも危険です。
こうした環境の悪化を防ぐために、都市計画で「このエリアでは、最低でもこれくらいの広さの土地がないと家を建ててはいけませんよ」と決めることができるんです。これが「敷地面積の最低限度」です。
では、試験対策として覚えるべきポイントは何でしょうか。それは、この制限の上限となる数字です。
【重要ポイント】用途地域に関する都市計画において、必要があると認めるときは、建築物の敷地面積の最低限度を200㎡以内で定めることができる。
ここで大事なのは、「200㎡以内」という部分です。もし、市町村が「この町は高級住宅街にしたいから、最低でも1000㎡(約300坪)はないと家を建てさせないぞ!」なんて決めてしまったらどうでしょう?
一般的な家庭が家を建てるには広すぎて、土地を買える人がいなくなってしまいますよね。個人の財産権を過度に侵害しないように、「最低限度を決めるにしても、200㎡(約60坪)くらいまでにしておきなさい」という上限があるのです。
試験では、ここがひっかけ問題として出されることがあります。
「広すぎる制限はかけられない」とイメージしておけば、200㎡という数字も自然と頭に残るはずです。
次に、二つ目のテーマ「外壁後退距離(がいへきこうたいきょり)」について解説します。これは文字通り、「建物の壁を、敷地の境界線から少し後ろに下げてくださいね」というルールです。
このルールは、どこでも適用されるわけではありません。主に、静かでゆったりとした環境を守りたいエリアで定められます。
具体的には、以下の用途地域です。
これらは、背の低い家(低層住宅)が並ぶ、閑静な住宅街や農地と調和した住宅地ですよね。もし、お隣さんの家が敷地境界線ギリギリまで迫っていたら、圧迫感がありますし、お互いのプライバシーも守りにくくなってしまいます。
確かに、窓を開けたらすぐ隣の壁…というのは、落ち着いた住宅街っぽくないですね。
その通りです。だからこそ、都市計画で「壁を少し下げましょう」と決めることができるんです。
では、どれくらい下げればいいのでしょうか。都市計画で定められる限度は、以下の2パターンのみです。
| 定められる距離(限度) |
| 1.5メートル |
| 1.0メートル |
試験では、この数字を変えて出題されることがあります。例えば、「2メートルまで定めることができる」といった記述があったら、それは誤りです。また、「商業地域で定めることができる」というのも間違いですね。商業地域のようなビルが密集する場所では、こんな贅沢なスペースは求められません。
「静かな住宅街(低層・田園)では、1歩(1m)か1歩半(1.5m)下がる」こんな風に、ざっくりと覚えておくと忘れにくいですよ。
ここまで「敷地面積の最低限度」と「外壁後退距離」を見てきましたが、この2つはセットで学習すると効率が良いです。なぜなら、どちらも「都市計画」で定めるものであり、「良好な環境を守る」という目的が共通しているからです。
勉強を進めていると、似たような制限がたくさん出てきて混乱することがあるかもしれません。特に「建ぺい率(敷地に対してどれくらいの広さの建物を建てていいか)」と混同しやすいので注意が必要です。
違いを整理してみましょう。
それぞれ「何のために制限しているのか」という目的が少しずつ違います。過去問を解くときは、「これは土地の広さの話かな? それとも建物の位置の話かな?」と、一度立ち止まって考えてみると良いでしょう。
最後に、よくあるひっかけパターンをもう一度確認しておきましょう。初学者が迷いやすいポイントです。
Q. 敷地面積の最低限度は、すべての用途地域で定めることができる?
A. できません。法律上は「用途地域に関する都市計画において」とありますが、実務的にも試験的にも、商業地域などで最低限度を厳しく定めることは稀です。ただ、条文上は「用途地域」であれば定められることになっています。一方で、外壁後退距離は「低層住居専用地域」と「田園住居地域」特有のものという点が非常に重要です。ここを混ぜて出題されることが多いので、「外壁後退=低層エリアの特権」と覚えておくと安心です。
お疲れ様でした!少し聞き慣れない用語もあったかもしれませんが、要点を絞れば覚えることはシンプルです。
今日の学習で、これだけは持ち帰ってくださいね。
「200平米」「1メートル・1.5メートル」という数字は、ふとした瞬間に忘れてしまいがちです。でも、「広すぎても困るから200㎡まで」「ちょっと下がるから1m」という理屈とセットなら、試験本番でも思い出せるはずです。
まずは今日の過去問演習で、この数字が出てきたら「あ、これのことか!」と反応できるようになっていれば大成功です。焦らず、一つひとつ知識を定着させていきましょう。

