【宅建】盛土規制法の「造成宅地防災区域」はここが出る!勧告と命令の違いをスッキリ整理

【宅建】盛土規制法の「造成宅地防災区域」はここが出る!勧告と命令の違いをスッキリ整理 宅建

こんにちは。宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?

法律の勉強をしていると、「似たような用語が多くて頭が混乱する……」という経験、きっとありますよね。特に、近年改正された「盛土規制法(旧:宅造法)」の分野は、新しい言葉もあって不安を感じやすい部分です。

私自身も受験生時代、「宅地造成等工事規制区域」と、今回解説する「造成宅地防災区域」。この2つの違いが最初はよく分からなくて、テキストを行ったり来たりしていました。

でも、安心してください。この「造成宅地防災区域」は、ポイントさえ押さえてしまえば、実はとてもイメージしやすい場所なんです。「なぜその区域が必要なのか?」という理由を知るだけで、暗記の量はぐっと減らせます。

今日は、初学者の方がつまずきやすいこのテーマについて、難しい条文を噛み砕いて、試験で狙われるポイントだけに絞って解説していきます。一緒に整理して、確実に1点を取れる得意分野に変えていきましょう。

盛土規制法の「造成宅地防災区域」とは?基本イメージを掴もう

まずは、細かいルールの前に「そもそもどういう場所なのか?」というイメージ作りから始めましょう。ここを理解すると、あとの話がスーッと頭に入ってきます。

「造成宅地防災区域」って、名前が長くて難しそうです……。普通の規制区域とは何が違うんですか?

いい質問ですね!最大の違いは、「工事をするための区域」ではなく、「すでに危険がある場所をケアするための区域」だという点なんです。

一番重要なのは「規制区域の外」にあるということ

盛土規制法には、大きく分けて2つのエリアが登場します。

ポイント
  • これから工事をする際に許可が必要な「宅地造成等工事規制区域」
  • 今回学ぶ「造成宅地防災区域」

ここで絶対に覚えておいてほしいのが、「造成宅地防災区域は、宅地造成等工事規制区域『外』に指定される」というルールです。

つまり、この2つの区域が重複して指定されることはありません。

イメージとしては、工事の規制区域には指定されていないけれど、「昔作られた造成地で、崖崩れや土砂災害が起きそうな危険な場所」を、都道府県知事がピンポイントで指定する、という感じです。「ここは危ないから、特別に防災区域として見守っていこう」というわけですね。

指定するのは誰?手続きの流れを整理

では、誰がどうやってこの区域を決めるのでしょうか。試験で問われやすい「主語」を確認しておきましょう。

指定するのは、都道府県知事です。

ただし、知事が独断で決めるわけではありません。その土地がある地元の事情をよく知っている「関係市町村長」の意見を聴いて指定することになっています。

【ここがポイント!】指定権者:都道府県知事手続き:関係市町村長の意見を聴く指定場所:宅地造成等工事規制区域の

「大臣の許可」とか「議会の承認」などは不要です。シンプルに「知事が市町村長の声を聞いて決める」と覚えておきましょう。

造成宅地防災区域内の「所有者等」が負う責任と義務

区域が指定されると、その土地を持っている人たちには、「災害が起きないように気をつける責任」が発生します。ここでは、試験によく出る「誰が」「何をすべきか」を見ていきます。

対象者は「所有者・管理者・占有者」の全員

法律では、責任を負う人のことを「所有者、管理者又は占有者」と呼んでいます。これをまとめて「所有者等」と言ったりします。

ここで注意したいのは、「占有者(実際にそこに住んでいる人や借りている人)」も含まれるという点です。「持ち主(オーナー)じゃないから関係ない」とはなりません。災害を防ぐためには、実際にそこを使っている人の協力も必要だからですね。

基本は「常時監視」と「努力義務」

造成宅地防災区域内の土地の所有者等は、災害が生じないように、擁壁(ようへき)を設置したり改造したりする「努力義務」を負います。

条文には「努めなければならない」と書かれています。「絶対にすぐに工事しろ!」といきなり義務付けられるわけではなく、まずは「日頃から点検して、危なくないように維持管理を頑張ってくださいね」というスタンスです。

知事による「勧告」と「改善命令」の違いをマスターする

努力義務だけで安全が守られればいいのですが、中には危険な状態のまま放置されてしまうケースもあります。そこで登場するのが、都道府県知事による「勧告」と「命令」です。

この2つは強さが違います。試験でも引っ掛け問題として出やすいので、違いをしっかり整理しましょう。

ステップ1:やんわり促す「勧告」

都道府県知事は、災害防止のために必要があると認めるときは、所有者等に対して「擁壁の設置や改造などの措置をとるよう」勧告することができます。

「勧告」というのは、「〜したほうがいいですよ」というアドバイスに近いニュアンスです。強制力はまだ弱く、これに従わなかったからといって、すぐに罰則があるわけではありません。

ステップ2:強制力のある「改善命令」

勧告よりもさらに危険度が高い場合に出されるのが「改善命令」です。

具体的には、以下のような状況で命令が出されます。

ポイント
  • 擁壁などが設置されていない、または極めて不完全である
  • これを放置すると、災害発生のおそれが大きい

このような切迫した状況では、知事は所有者等に対し、「擁壁の設置・改造」や「地形・盛土の改良」の工事を行うことを命じることができます。

命令は強力なパワーを持っているので、出すためにも条件があるんですね。

改善命令を出すための条件と制限

命令は相手に大きな負担(工事費など)を強いることになるため、知事も無制限に命令できるわけではありません。以下の2つのリミット(限度)があることを知っておくと、正解率がグッと上がります。

ポイント
  • 災害の防止のため必要な限度で必要以上に豪華な工事をしろとは言えません。あくまで災害を防ぐために必要な範囲内です。
  • 土地の利用状況などからみて相当と認められる限度でその土地がどう使われているかという現状も考慮されます。

また、いきなり「明日までにやれ!」と言うのも無理がありますよね。そのため、命令を出すときは「相当の猶予期限」を付けて出さなければならない、というルールもあります。

【比較まとめ】勧告と命令の違い

ここまでの内容を、表で整理してみましょう。この表の内容が頭に入っていれば、この分野の問題は怖くありません。

項目 勧告 改善命令
対象となる状況 災害防止のために必要があるとき 放置すれば災害発生のおそれが大きいとき
強制度 弱い(アドバイス的) 強い(法的義務)
猶予期限 特に規定なし 相当の猶予期限を付ける必要がある
今日のまとめ:これだけ覚えればOK!

いかがでしたか?「造成宅地防災区域」という漢字の圧迫感も、中身を知れば「ああ、古い造成地の安全対策なんだな」とシンプルに見えてきたのではないでしょうか。

最後に、試験直前でもここだけは見直してほしいポイントをまとめました。

【今日の学習ポイント】
ポイント
  • 造成宅地防災区域は、宅地造成等工事規制区域の「外」に指定される(重複しない)。
  • 指定するのは都道府県知事(関係市町村長の意見を聴く)。
  • 区域内の所有者・管理者・占有者には、災害防止の努力義務がある。
  • 危険が大きい場合、知事は相当の猶予期限を付けて、改善工事を命令できる。

今日はまず、「規制区域の外にあるのが防災区域」ということだけでも覚えて帰ってください。それだけで、選択肢を一つ削れることがよくあります。

焦らず一つひとつ、知識を積み重ねていきましょうね。応援しています!