【宅建】「詐欺」は無効じゃない?取消しの重要ルールと第三者対抗を解説!

【宅建】「詐欺」は無効じゃない?取消しの重要ルールと第三者対抗を解説! 宅建

こんにちは!宅建の勉強、本当にお疲れ様です。

民法の学習を進める中で、「詐欺(ぎもう)」というテーマで戸惑っていませんか?

「錯誤(さくご)」と「詐欺」の違い、善意の第三者との関係など、頭の中でごちゃごちゃになってしまう論点が多くて、私も最初はとても不安でした。

特に法律の勉強が初めてだと、「有効なのに取り消せる」といった表現が難解に感じられますよね。

この記事では、宅建試験で頻出の「詐欺」について、法律初学者の方でも「今日はこれだけ覚えよう!」という行動目標が定まるように、重要ポイントを解説していきます。

一緒に不安を解消して、得点源にしていきましょう!

まず、「詐欺」という言葉の定義と、なぜ「無効」ではなく「取り消し」になるのか、その背景を整理しましょう。

私たちが日常で使う「詐欺」と同じく、法律用語の「詐欺」も「だますこと」を意味します。

専門用語では「欺罔(ぎもう)」と呼び、だまされてした意思表示のことを「詐欺による意思表示」と言います。

民法の学習で詐欺と一緒に必ず出てくるのが「錯誤」です。この二つがごっちゃになる原因は、「契約の効力(有効・無効・取り消し)」の考え方が異なるからです。

なぜ異なるのか?その理由は一つです。

どういうことか、具体的に見てみましょう。

詐欺:だまされたけど「買います!」と表示した。
→内心の意思(買いたい)と表示(買います)は一致している。
錯誤:勘違いで「買います」と表示した。本当は「買いたくない」と思っていた。
→内心の意思(買いたくない)と表示(買います)は食い違っている。

このように、

ポイント
  • 錯誤:意思(心で思っていること)と表示(口に出したこと)が食い違っている(無効)
  • 詐欺:意思(心で思っていること)と表示(口に出したこと)が一致している(有効だが取り消せる)

と整理できると、スッキリします。

詐欺の場合は、だまされてはいますが、本人が「買いたい」と思って「買います」と契約しているので、原則としてその契約は一旦有効と扱うのです。

ただし、だまされた人を保護する必要があるため、後からその契約を「取り消すことができる」というルールになっています。

この「有効」と「無効」の判断の違いは、宅建民法の超重要テーマです。「詐欺は取消し?公序良俗は無効?宅建試験で狙われる「契約の効力」をスッキリ整理」の記事も、合わせて復習しておくと安心です。

契約を取り消せる期間には期限があります。これを取消権の期間制限と言います。

これも試験によく出るところなので、数字を正確に覚えましょう。

詐欺による意思表示の取り消しは、以下の2つのうち、先に期間が満了するまでとされています。

ポイント
  • 追認(ついにん)できるようになった時から5年以内
  • 行為(意思表示)の時から20年以内

「追認」というのは、「この契約は、詐欺だと分かっているけど、やっぱり有効なものにします」と認めることです。「追認」に関する詳細はこちらの記事で詳しく解説しているので、不安な方は確認してください。

この期間を過ぎると、もう取り消すことはできなくなりますので、注意が必要です。

詐欺の論点で最も難しく、かつ出題されやすいのが「第三者」が絡むケースです。

登場人物と状況が整理できれば、一気に得点源にできます。

これは、「契約の相手方ではない人(第三者C)にだまされて、契約の相手方(B)と契約をしてしまった人(A)」をどう守るか、という話です。(民法96条2項)

登場人物を図にすると、以下の関係になります。

A(騙された人) $\rightarrow$ B(契約の相手方)

$\uparrow$

C(詐欺をした第三者)

この場合、AがBとの契約を取り消せるかどうかは、契約の相手方Bが「CがAを騙していることを知っていたか?」で決まります。

BがCの詐欺を知っていた(悪意)または知ることができた(有過失)場合
→ AはBとの契約を取り消せる!(騙されたAを保護)
BがCの詐欺を知らず、かつ知ることもできなかった(善意無過失)場合
→ AはBとの契約を取り消せない!(相手方Bを保護)

相手方Bは何も悪くないのに(善意無過失)、Aの個人的な事情で契約を取り消されてしまうのはかわいそうですよね。そのため、Bが善意無過失ならBが保護される、と覚えましょう。

このパターンは、Aが詐欺でだまされ、A→B→Cと土地が渡ってしまった後に、Aが契約を取り消すケースです。(民法96条3項)

まず、AはBにだまされて売買契約をしました。この契約自体は、前述の通り「有効」です。

次に、Bはその有効な契約に基づいて、土地をCに売却し、Cに所有権が移転しました。

ここでAが「詐欺だから取り消す!」と主張した場合、第三者CとAのどちらを保護するかが問題になります。

Cが、Aがだまされていたことを知っていた(悪意)り、不注意で知らなかった(有過失)場合は、Aが保護されます

善意の第三者を保護するのは、不動産取引の安全を守るための大切なルールです。Cから見れば、AとBの間で有効に行われた取引を適法に購入しているわけですから、騙されたことを知らずに買ったCは守られるべき、という考え方です。

法律用語の「善意」や「対抗する」という言葉に自信がない方は、宅建民法の基礎!「善意・悪意」や「対抗する」など頻出の法律用語をわかりやすく解説を先に読んでみてください。

このパターンは、AがBとの契約を取り消し(A←B)、その後BがCに売却した(B→C)ケースです。

詐欺による取り消しは、「契約の時にさかのぼって無効になる(遡及的無効)」というルールがあります。

つまり、AがBとの契約を取り消した時点で、所有権はAに戻っていたことになります。

しかし、Aに戻ったはずの土地を、Bが勝手にCに売ってしまったわけです。

この状況は、「AとCが、どちらもBから土地を買ったような形」と同じになります。法律用語では、AとCの関係を二重譲渡の対抗関係と同じように扱います。

Cが善意・悪意(知っていたか否か)にかかわらず、先に登記という「対抗要件」を備えた方が勝ち、という非常にシンプルで分かりやすいルールになります。

この「取消し後の第三者」と「二重譲渡」が同じ考え方になることを覚えると、知識が一つにまとまり、宅建の勉強がグッと楽になりますよ。

お疲れ様でした!「詐欺」の論点は、頭の中で登場人物の関係を図に描く習慣をつけられると、一気に解けるようになります。

今日の学習で、「これだけは押さえて帰ろう」というポイントを3つに絞りました。

ポイント
  • ① 詐欺は「有効」だが「取り消し可能」:錯誤とは違い、意思と表示は一致しているからです。
  • ② 第三者詐欺(相手方Bが善意無過失):契約の相手方Bが騙されていることを知らなかったら、Aは取り消せません(Bが保護されます)。
  • ③ 取り消し「後」の第三者:登記を備えた方が勝ち(二重譲渡と同じ考え方)です。

難解なテーマですが、ひとつひとつ整理していけば必ず理解できます。

この論点も、日々のすきま時間を使って、基本事項を勉強し、過去問でアウトプットする練習を繰り返していきましょう。

宅建合格を目指して、一緒に頑張っていきましょうね!