【宅建民法】「被保佐人」攻略法!同意が必要な行為と保佐人の権限を整理

【宅建民法】「被保佐人」攻略法!同意が必要な行為と保佐人の権限を整理 宅建

こんにちは!宅建の勉強、本当にお疲れ様です。

民法の分野で最初につまずきやすいのが、「制限行為能力者」ではないでしょうか。特に「被保佐人」や「成年被後見人」といった言葉は、日常で使わないので、名前を聞くだけで難しそうに感じてしまいますよね。

私も最初は漢字ばかりで頭に入ってこず、「誰が」「どこまで」「勝手にやったらどうなるのか」の区別がつかなくて混乱しました。

この記事では、宅建試験で頻出の「被保佐人(ひほさにん)」について、「なぜこのルールがあるのか」という背景から、「試験でどこを覚えるべきか」までを、初学者の方にも分かりやすく解説していきます。

この記事を読み終える頃には、「被保佐人」の基本はバッチリ理解でき、次のステップへ進めるようになっているはずです。一緒に頑張っていきましょう!

🏠「被保佐人」とは?軽い認知症の方をイメージして理解しよう

まず、「被保佐人」という言葉が、法律上どのような意味を持つのか、その定義から確認していきましょう。

「被保佐人」の定義と制度の目的

被保佐人とは、ざっくり言うと「判断能力が著しく不十分な人」を守るための制度で、家庭裁判所から「保佐開始の審判」を受けた人を指します。

たとえば、軽い認知症の方や精神上の障害がある方をイメージするとわかりやすいかもしれません。

判断能力が「全くないわけではない」けれど、「一人で重要な契約を結ぶにはちょっと不安」というレベルですね。

彼らが財産を勝手に売ってしまったり、よく考えずに借金をしてしまったりするのを防ぎ、保護するために「保佐人(ほさにん)」というサポート役を付けるのです。

この「被保佐人」は、「制限行為能力者」の一つであり、宅建試験の民法で必ず押さえるべき重要論点です。

成年被後見人との違いで「程度」を整理する

制限行為能力者はいくつか種類がありますが、被保佐人の特徴を理解するには、よく似た「成年被後見人(せいねんひこうけんにん)」と比較するのが一番です。

違いはズバリ、判断能力の程度です。

種類 判断能力の程度 イメージ
成年被後見人 常に欠く状況(常に判断できない) 重度の認知症など
被保佐人 著しく不十分な状況(不安定だが判断できる時もある) 軽度の認知症など
被補助人 不十分な状況(ほとんど問題ないが、特に重要な行為に不安がある) 軽度の不安がある方など

被保佐人は、成年被後見人ほど判断能力がないわけではなく、「自分で判断できる行為も多い」というのが大きなポイントになります。

⚖️被保佐人の法律行為は「原則有効」!同意が必要な行為を覚えよう

では、被保佐人が単独で行った契約などの「法律行為」は、有効になるのでしょうか?

これが宅建試験で最も狙われやすいポイントなので、しっかり整理していきましょう。

単独でやった行為は「原則有効」で取り消せない

成年被後見人の行為は原則すべて取り消しができるのに対し、被保佐人は判断能力が「著しく不十分」なレベルなので、日用品の購入などほとんどの行為は単独で行うことができ、原則として有効です。

例えば、スーパーで買い物をする、電車に乗る、といった日常的な行為は、保佐人の同意は必要ありません。

つまり、被保佐人が単独で行った行為は、あとで取り消しができないのが原則です。

同意が必要な「重要な財産上の行為」は取り消しができる

原則は有効ですが、「重要な財産上の行為」については、本人を不利益から守るため、保佐人の同意が必要と定められています。

もし、保佐人の同意がないまま被保佐人がこれらの行為を単独で行ってしまった場合は、あとで取り消すことができます。

試験対策として、この「同意が必要な行為」を具体的に覚えておく必要があります。これらは民法で定められている行為(民法13条1項)で、「自分の財産が大きく減る可能性がある行為」だと理解すると覚えやすいですよ。

特に試験で出やすい、保佐人の同意が必要な行為は以下の通りです。

ポイント
  • 貸したお金の元本を領収すること(例:100万円貸していて、利息なしで元本だけ受け取る。これによって今後得られたはずの利息収入を失うことになるため)
  • 保証人になること(例:友人の借金の保証人になる。大きな債務を負う可能性があるため)
  • 不動産の売買、抵当権(担保)を設定すること(財産の最も重要な部分を処分する行為だから)
  • 5年を超える土地の賃貸借、3年を超える建物の賃貸借(長期間にわたる権利の変動だから)
  • 新築、改築、増築、大規模修繕(大きな出費や財産の形を変える行為だから)
  • 相続に関する法律行為(相続承認、相続放棄、遺産分割など)

これらの行為は、日常生活の範囲を超えて、本人の財産に大きな影響を与えるものばかりです。

なお、もし保佐人が同意をしないことで被保佐人が不利益を被るときは、被保佐人の請求により、家庭裁判所が保佐人の同意に代わる許可を出すこともできます。

🔑保佐人が持つ「権限」と「代理権」のポイント

次に、被保佐人をサポートする「保佐人」が持つ権限についても見ていきましょう。ここも試験のひっかけポイントになりやすい部分です。

保佐人の基本的な権限

保佐人は、被保佐人の契約などに対して、以下の3つの基本的な権限を持っています。

ポイント
  • 同意権(どういけん):上記の重要な行為について、事前に同意を与える権限。
  • 取消権(とりけしけん):同意が必要な行為を被保佐人が勝手に行った場合、その行為を取り消せる権限。
  • 追認権(ついにんけん):被保佐人の行為を、後から「問題ない」と認めて有効にする権限。

この3つの権限は、法律上、保佐人に当然に与えられているものです。

代理権は「家庭裁判所の審判」が必要

ここで特に注意が必要なのが「代理権」です。

代理権とは、保佐人が被保佐人の代わりに契約などの法律行為をすることですが、これは上記の同意権などとは違い、当然には与えられていません。

保佐人が代理権を持つためには、以下の2つのステップが必要です。

ポイント
  • 被保佐人本人の同意を得る
  • 特定の法律行為についてのみ、家庭裁判所の審判を受ける
これは、被保佐人は自分で判断できることも多いので、「代わりに何でもやります」とはならないように、本人の意思と裁判所のチェックを重視しているわけですね。

この**「代理権には本人の同意と家庭裁判所の審判が必要」**という点は、成年後見人(代理権が当然にある)との比較でも重要なので、しっかりと覚えておきたいところです。

📝今日のまとめ:被保佐人の最重要ポイント3つ

今回は宅建民法の重要テーマである「被保佐人」について解説しました。

漢字が多くて難しく見えますが、「判断能力が著しく不十分な方を守る制度」だと理解すれば、グッと覚えやすくなります。

今日の学習を終えるにあたり、「これだけは必ず覚える」という最重要ポイントを3つに絞りました。

ポイント
  • 定義:知的障害等により事理弁識能力が著しく不十分な者。
  • 行為の効力:日常の行為は原則有効(取り消し不可)。
  • 例外の行為:重要な財産上の行為(不動産売買、保証人など)は保佐人の同意が必要で、同意がないと取り消しができる。

この3点が頭に入っていれば、試験で「被保佐人」の問題が出ても、正解肢を選べる可能性が高くなります。まずはこの知識を完璧にして、次のテーマに進んでいきましょう!

制限行為能力者のテーマは、他の登場人物(未成年者や成年被後見人など)と権限を比較して覚えると、さらに知識が定着します。頑張ってください!