こんにちは、宅建学習中の皆さん。今回は、民法の「制限行為能力者」の中でも、特に理解が難しいと感じる方が多い「被補助人(ひほじょにん)」について、試験対策のポイントを絞って解説していきます。
法律の勉強を始めたばかりだと、「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」など、似たような言葉がたくさん出てきて混乱しますよね。私も最初はそうでした。
特に被補助人は、成年被後見人や被保佐人とはルールが大きく違うので、この違いをしっかり整理しないと、試験で点を落としてしまいます。
この記事を読めば、「被補助人」がどのような人で、宅建試験ではどこをどう覚えれば良いのかがハッキリと分かります。一緒に不安を解消して、次の一歩を踏み出していきましょう。
まずは「被補助人」がどのような人なのか、基本的な概要から確認しましょう。
被補助人とは、簡単に言えば「判断能力が不十分だが、比較的軽度な人」のことです。
具体的には、知的障害や精神上の障害などにより、「事理弁識能力(じりべんしき能力:物事を判断する能力)」が不十分な状況にあることを理由として、家庭裁判所の「補助開始の審判」を受けた人を指します。
この被補助人をサポートするために「補助人」が選任されます。
ここで、混乱しやすい他の「制限行為能力者」との違いを、判断能力の程度で整理しましょう。
宅建の民法で出てくる「制限行為能力者」は、判断能力が低い順に以下の3タイプです。
このように、判断能力の程度が一番軽いのが「被補助人」だと覚えておけば、それぞれの違いをイメージしやすくなります。
制限行為能力者全体のルールについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、併せて読んでみてくださいね。
【宅建民法】「制限行為能力者」ってなに?4つの種類と保護のルールを優しく解説
被補助人の制度には、成年被後見人や被保佐人にはない、最も重要なポイントがあります。それは、「本人の同意が必要」という点です。
家庭裁判所が補助開始の審判をする際には、必ず被補助人本人の同意がなければなりません。
この「本人の同意が必要」というルールは、成年被後見人や被保佐人には適用されません。
そのため、宅建試験では「補助開始の審判には本人の同意は不要である」といったひっかけ問題で狙われやすいので、注意が必要です。
被補助人の制度を理解する上で、最も大切なのが「被補助人が行った法律行為はどうなるのか?」というルールです。
成年被後見人や被保佐人と比べて判断能力が軽度な被補助人は、原則として、ほとんどの行為を単独で行うことができます。
例えば、以下のような行為は、補助人の同意なしに自由に行えます。
そのため、原則として、被補助人が単独で行った行為は、後で取り消すことができません。
この点が、原則として全ての行為が取り消しになる「成年被後見人」や、重要な行為は取り消しになる「被保佐人」との決定的な違いになります。
被補助人が単独で行えない行為、つまり補助人の同意が必要になる行為は、家庭裁判所が個別に定めた特定の行為だけです。
家庭裁判所は、本人や補助人などの請求に基づき、「この行為だけは補助人の同意がないとできませんよ」という特定の行為を定めます。これを「同意権付与の審判」といいます。
そして、この同意が必要と定められた行為を、被補助人が補助人の同意を得ずに単独で行ってしまった場合、その行為は後で取り消すことができます。
「同意が要る行為なのに、同意なしでやっちゃった」という時だけ、取り消しができるというわけです。
宅建試験では、この「被補助人が行った行為の効力」がよく問われます。以下のフローで整理して覚えましょう。
| 行為の種類 | 補助人の同意の要否 | 行為の効力 |
|---|---|---|
| 原則の行為 | 不要 | 有効(取り消し不可) |
| 同意権付与の審判があった特定の行為 | 必要 | 有効 |
| ↑ その行為を同意なしで行った場合 | – | 取り消し可能 |
特に「原則は有効(取り消し不可)」と「例外的に同意が必要な行為を同意なしでやったら取り消し可能」の2点をしっかりと押さえておきましょう。
宅建試験の民法で「被補助人」は、毎年のように問われる重要テーマです。
最後に、今日学んだ中で「ここだけは絶対に忘れない」というポイントを3つに絞って復習しましょう。
この3つのポイントをしっかりマスターすれば、被補助人に関する問題は確実に得点源にできます。
難しく感じるかもしれませんが、他の制限行為能力者と比較しながら整理していくと、一気に理解が進みます。一つ一つ知識を積み重ねて、合格を目指していきましょう!

