宅建試験の勉強、本当にお疲れ様です。民法の勉強を始めたばかりのとき、「代理」というテーマで戸惑う人は本当に多いものです。
本人?代理人?顕名って何?図を見ても頭に入ってこなくて…なんだか難しそうと感じています。
私もそうでした。普段の生活では「代理」という言葉は使いますが、法律的な意味になると急に複雑に感じますよね。この「代理」の考え方をしっかり理解できると、その後の民法の学習が一気に楽になります。
この記事では、宅建の初学者が「代理」について持つ不安を解消し、試験で得点できるように、代理の基本と試験で狙われるポイントを、かみ砕いて解説していきます。
「今日は代理の基本を一つ覚えよう!」という気持ちで、一緒に学んでいきましょう!
まず、「代理」がどのような仕組みなのか、イメージで理解していきましょう。
「代理」とは、代理人(あなたから頼まれた人)が、本人(あなた)のために、相手方(取引相手)と契約などの法律行為を行うことです。
そして、その契約の効果(権利や義務)は、代理人ではなく、直接本人に発生します。
例えば、あなたが持っている土地を売りたいけれど、忙しいので友人のAさんに代わりに契約を任せたとします。このとき、
となります。Aさんが買主と売買契約を結ぶと、土地を売る義務や代金を受け取る権利は、直接あなた(本人)に発生するわけです。
この3者の関係をしっかりイメージできることが、代理を攻略する第一歩です。
代理を学ぶ上で、初学者が最も驚くのがこのルールかもしれません。
制限行為能力者(未成年者、成年被後見人など)であっても、代理人になることができる。
「え、法律行為が一人でできないはずの人が、代理人になれるの?」と疑問に感じますよね。
ここで思い出してほしいのが、「代理人が契約した効果は、本人に帰属する」という原則です。代理人が契約でミスをしても、損をするのは代理人ではなく、最終的に代理権を与えた本人です。
本人も「この人は制限行為能力者だけど、信頼できるから」とあえて代理人にしたわけですから、後から「代理人が制限行為能力者だから、この契約を取り消したい!」とは言えないのです。(制限行為能力者の種類や保護のルールはこちらの記事で詳しく解説しています。)
代理には、大きく分けて「任意代理」と「法定代理」の2種類があります。
代理で非常に重要なのが、代理権が消滅するルールです。特に「任意代理」と「法定代理」でルールが異なる点が試験でよく狙われます。
代理権は、本人または代理人の「死亡」「破産手続開始決定」「後見開始決定」などによって消滅します。下の表で、特に大切なポイントを押さえましょう。
| 代理人の種類 | 消滅原因 | 本人 | 代理人 |
|---|---|---|---|
| 任意代理 | 死亡 | ○(消滅する) | ○(消滅する) |
| 破産手続開始決定 | ○(消滅する) | ○(消滅する) | |
| 後見開始 | ×(消滅しない) | ○(消滅する) | |
| 法定代理 | 死亡 | ○(消滅する) | ○(消滅する) |
| 破産手続開始決定 | ×(消滅しない) | ○(消滅する) | |
| 後見開始 | ×(消滅しない) | ○(消滅する) |
覚えるところが多くて大変…!特に大事なポイントはどこですか?
大丈夫です。すべて丸暗記しようとせず、以下の赤字のポイントに注目してください。
最も重要なのは、「本人が破産手続開始決定を受けたとき」です。
これは、法定代理が法律によって義務付けられた代理であり、本人の個人的な財産状況(破産)に影響されないと考えるからです。この1点だけでも確実に覚えたいところです。
代理が有効に成立するためには、3つの要件が必要です。
ここでは、特に試験で狙われやすい「顕名」について、深く見ていきましょう。
顕名とは、代理人が契約する際、「私(代理人)が契約するけれど、効果はAさん(本人)に帰属しますよ」と、相手方にハッキリと示すことです。
顕名をしないと、相手方は「代理人が自分自身のために契約している」と思ってしまいますよね。
では、もし代理人が顕名をしなかったら、どうなるでしょうか?
代理人が顕名をしなかった場合、その契約は代理人自身のためにしたものとみなされ、本人には契約の効果は及ばない(代理人と相手方との契約になる)。
つまり、「本人のためです!」と伝えなかったばかりに、代理人が個人的にその契約の責任を負うことになってしまう、ということです。
しかし、相手方が、代理人が本人のために契約していることを知っていた、または知ることができた(わずかな注意を払えば知れた)場合は、例外的に本人に契約の効果が帰属します。
この場合の「知っていた」を法律用語では悪意、「知ることができた」を有過失と言います。(法律用語の「善意・悪意」の解説はこちら)
この「原則:代理人の契約」「例外:本人に帰属」のルールは頻出なので、しっかり整理しておきましょう。
代理の分野は、言葉の定義と例外ルールが複雑に絡み合い、初学者は混乱しやすいところです。しかし、今日解説したポイントをマスターすれば、試験問題への対応力が格段にアップします。
今日は、この3つのポイントをしっかり頭に入れて、勉強を終えましょう!
これらの基本ルールは、代理の分野だけでなく、他の論点を理解する上でも土台となります。一つずつ着実に、合格への階段を登っていきましょう!応援しています。

