【宅建民法】「自己契約・双方代理」は原則禁止!例外と無権代理になるパターンを解説

【宅建民法】「自己契約・双方代理」は原則禁止!例外と無権代理になるパターンを解説 宅建

こんにちは!宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?民法の分野に入ると、普段の生活では聞きなれない言葉がたくさん出てきて、「もう漢字を見るのも嫌!」となってしまうこともありますよね。私も最初はテキストを開くたびにため息をついていました。

でも、安心してください。法律用語は難しく見えますが、その中身は「誰かをズルから守るためのルール」であることがほとんどです。

今回のテーマは、代理の単元の中でも特に出題されやすい「自己契約」と「双方代理」の禁止についてです。

「代理人が勝手に自分と契約しちゃったらどうなるの?」「売主と買主、両方の代理人になるのはアリ?」

このあたりは、イメージさえ掴めれば得点源にしやすい部分です。試験本番で迷わないように、原則と例外をしっかり整理していきましょう!

なぜ禁止?「自己契約」と「双方代理」の仕組みを理解しよう

まずは、この2つの言葉がそれぞれどんな状況を指しているのか、そして「なぜ禁止されているのか」という理由から見ていきましょう。理由がわかると、丸暗記しなくても自然と答えが導き出せるようになりますよ。

1. 自己契約とは?(自分が自分と契約する?)

「自己契約」とは、代理人が「本人の代理人」として契約しつつ、同時に「相手方(自分自身)」としても契約することを指します。

これだけ聞くと少しややこしいですが、具体的な場面をイメージしてみましょう。

土地を持っているAさん(本人)が、Cさん(代理人)に「私の土地をいい感じの値段で売ってきて」とお願いしました。
頼まれた代理人のCさんは、「おっ、この土地いいな。自分が欲しいな」と思いました。

ここでCさんが、Aさんの代理人として「売ります!」と言いながら、同時に買主である自分として「買います!」と契約を結んでしまったらどうなるでしょうか?

代理人には、価格交渉をする権限があります。Cさんは自分が買うわけですから、当然、値段は安いほうが嬉しいですよね。極端な話、「1億円の価値がある土地を、1万円で自分が買う契約」を結ぶことだってできてしまいます。

こうなると、本人であるAさんは大損してしまいますよね。このように、本人の利益を害する危険性が非常に高いため、自己契約は原則として禁止されています。

2. 双方代理とは?(売主と買主、どっちの味方?)

次に「双方代理」です。これは、ひとりの代理人が、当事者双方(売主と買主の両方)の代理人になることを言います。

代理人Cさんは、売主Aさんから「高く売ってくれ」と頼まれました。同時に、買主Bさんからは「安く買ってくれ」と頼まれました。

さて、Cさんはどうすればいいでしょうか?高く売りたいAさんと、安く買いたいBさん。利益が対立する両方の代理人になってしまうと、板挟みになりますよね。

もしCさんがBさんと仲良しだったら、「Bさんのために安く売ってあげよう」と手心を加えるかもしれません。そうすると、売主Aさんが損をしてしまいます。

このように、どちらか一方の利益を優先してしまい、公平な取引ができなくなる恐れがあるため、双方代理も原則として禁止されています。

まずは、代理の基本ルールとして、代理の仕組みやルールをしっかり押さえた上で、「利益相反(りえきそうはん)」つまり「誰かが損をする状況」はダメなんだ、と理解しておきましょう。

もし違反したらどうなる?「無権代理」という扱い

では、禁止されている自己契約や双方代理を、もし勝手に行ってしまったら、その契約はどうなるのでしょうか?

ここが試験のひっかけポイントになりやすいのですが、「当然に無効」になるわけではありません。

正解は、「無権代理(むけんだいり)」として扱われる、です。

無権代理ということは、原則として本人には契約の効果が及びません(本人は責任を負わなくていい)。しかし、もし本人が「まあ、その内容ならいいよ」と後から認めた場合(追認した場合)は、契約は有効になります。

「絶対にダメ(無効)」なのではなく、「代理権がない人が勝手にやったこと(無権代理)と同じ扱いにする」という点を覚えておいてください。無権代理の詳しいルールについては、こちらの無権代理の解説記事でも詳しく触れていますので、あわせて確認しておくと理解が深まります。

試験に出る!自己契約・双方代理が「有効」になる2つの例外

原則は禁止ですが、世の中には「これなら誰も損しないからOKだよね」という例外パターンが存在します。宅建試験では、この「例外として有効になる場合」が非常によく問われます。

以下の2つのパターンを必ず覚えておきましょう。

1. 本人があらかじめ許諾(承諾)している場合

これはシンプルです。本人が事前に「自分で自分に売っちゃってもいいよ」「あの人の代理も兼ねていいよ」とOKを出している場合です。

本人が納得しているなら、本人の利益を害することにはなりませんよね。なので、この場合は例外として有効な代理行為となります。

2. 債務の履行(さいむのりこう)の場合

少し難しい言葉が出てきましたが、要は「すでに決まった約束を実行するだけの行為」のことです。

この代表例であり、試験で最も狙われるのが「司法書士による登記申請」です。

司法書士の先生が、売主と買主の双方から依頼を受けて登記をするのはOKなの?

不動産の売買契約が終わった後、最後に「所有権移転登記」を行いますよね。このとき、司法書士は「売主」と「買主」の両方から依頼を受けて(双方代理)、法務局へ手続きに行きます。

「あれ? 双方代理は禁止じゃないの?」と思いますよね。しかし、登記申請の段階では、すでに売買契約(金額や条件)は確定しています。司法書士がそこで「もっと安くしてあげよう」などと価格交渉をする余地はありません。

つまり、新たな駆け引きや利益の対立が生まれる心配がない(=単なる債務の履行)ため、例外として双方代理が認められているのです。

逆に言うと、「代物弁済(借金の代わりに別の物をあげること)」などは、新しい取り決めが必要になるため、債務の履行であっても自己契約・双方代理は禁止されています。ここも余力があれば頭の片隅に入れておきましょう。

まとめ:今日の学習ポイントを整理

いかがでしたか?「自己契約」や「双方代理」という漢字の圧迫感に負けず、「ズルを防ぐためのルールなんだ」と理解すれば、決して難しくはありません。

最後に、試験対策として今日絶対に覚えて帰ってほしいポイントをまとめました。

ポイント
  • 原則:自己契約・双方代理は禁止(本人の利益を守るため)
  • 違反した場合:無効ではなく「無権代理」となる(本人が追認すれば有効になる)
  • 例外①:本人があらかじめ許諾(承諾)している場合は有効
  • 例外②:債務の履行(例:司法書士の登記申請)は有効

特に「違反したら無権代理になる」「司法書士の登記はOK」という点は過去問でも頻出です。焦らずひとつずつ、知識を定着させていきましょう。毎日の積み重ねが、必ず合格への力になりますよ!