【宅建民法】時効の「完成猶予」と「更新」の違いを初学者向け解説!

【宅建民法】時効の「完成猶予」と「更新」の違いを初学者向け解説! 宅建

こんにちは!宅建の勉強は順調に進んでいますか?民法の分野に入ると、「聞いたことない言葉ばかりで頭が痛い…」と不安を感じてしまうことも多いですよね。特に、今回解説する「時効の完成猶予(かんせいゆうよ)」「時効の更新(こうしん)」は、漢字も多くて嫌になりがちなポイントです。

でも、安心してください。この分野は、言葉の意味さえイメージできてしまえば、実はとてもシンプルなルールで動いています。初学者の方が無理なく理解できるように、難しい法律用語をできるだけ噛み砕いてお話ししますね。「なんとなく分かった!」という感覚を大切に、一緒に一つずつ整理していきましょう。

「時効の完成猶予」と「時効の更新」の違いとは?

まずは、この2つの言葉が「どういう状態」を指しているのか、イメージを持つところからスタートしましょう。少し前の民法では、「時効の停止」「時効の中断」という言葉が使われていましたが、法改正で今の言葉に変わりました。今の言葉の方が、実は状況を正確に表していて分かりやすいんです。

時効期間を計る「ストップウォッチ」を想像してみてください。

時効の完成猶予=「一時停止」ボタン

時効の完成猶予とは、時効の完成が一定期間だけ待ってもらえること。つまり、ストップウォッチの「一時停止ボタン」を押した状態です。

例えば、6月10日に時効が来て借金が消えてしまうとします。債権者(貸している人)としては、「6月10日を過ぎたら権利が消えちゃう!大変だ!」と焦りますよね。そこで、6月1日に裁判を起こしたりすると、「とりあえず裁判が終わるまでは、時効のカウントを止めましょう」となります。これが「完成猶予」です。時計の針は進まず、6月10日を過ぎても時効は完成しません。

時効の更新=「リセット」ボタン

一方、時効の更新とは、今まで積み上げてきた期間をチャラにして、また最初から数え直すこと。つまり、ストップウォッチの「リセットボタン」を押して、ゼロに戻す状態です。

例えば、「権利を行使できる時から10年」で時効になるとします。9年経過した時点で「時効の更新」が起きると、今までの9年は無かったことになり、また1日目から再スタートになります。債務者(借りている人)にとっては期間が延びてしまうので辛いですが、債権者にとっては強力な効果ですよね。

民法では、他にも「善意・悪意」などの独特な用語が出てきますが、まずはこの「一時停止」と「リセット」のイメージをしっかり持っておいてください。

試験に出る!時効の「猶予」と「更新」の具体的な事由

イメージができたら、次は試験対策として「何をした時に、どっちの効果が発生するのか」を整理していきましょう。ここが試験でよく狙われるポイントです。

裁判上の請求(訴えの提起)

裁判所に「お金を返してほしい!」と訴えを起こすことです。

ポイント
  • 訴えている間:時効の完成猶予(ストップ)裁判が長引いて時効期間が過ぎてしまっても、裁判中は時効は完成しません。
  • 裁判で勝った時(判決確定):時効の更新(リセット)「間違いなく権利がある」と認められたので、ここからまた新たな時効期間(原則10年)がスタートします。

【注意ポイント】もし、途中で訴えを取り下げたり、却下されたりした場合はどうなるでしょうか?この場合はリセット(更新)されず、「6ヶ月間だけ」時効の完成が猶予されます。「裁判はやめたけど、半年待ってあげるからその間に別の手段をとってね」というイメージです。

強制執行・競売

裁判所の手続きを通じて、無理やり財産を差し押さえたりすることです。

ポイント
  • 手続き中:時効の完成猶予(ストップ)
  • 手続き終了後:時効の更新(リセット)競売などで一部回収しても、まだ残っている借金があれば、その分はリセットされて再スタートです。
仮差押え(かりさしおさえ)

ここが非常に重要です。仮差押えとは、裁判の前に「財産を勝手に売られないようにロックする」手続きのこと。

ポイント
  • 効果:時効の完成猶予のみ!

仮差押えは、あくまで「仮」の手続きなので、時効の更新(リセット)までは起きません。手続きが終わってから6ヶ月間、時効の完成が猶予されるだけです。「仮差押え=リセットしない」と覚えておくと、ひっかけ問題に対応できますよ。

裁判外の請求(催告)

内容証明郵便などで、「お金を返してください」と請求することです。

ポイント
  • 効果:6ヶ月間の完成猶予のみ

手紙を送るだけで時効がリセット(更新)されたら、いつまでも時効が完成しなくて大変ですよね。なので、とりあえず6ヶ月だけストップウォッチを止める効果しかありません。この6ヶ月の間に、裁判を起こすなどの本格的な手段をとる必要があります。ちなみに、催告を何度も繰り返しても期間は延びないので注意してくださいね。

承認(しょうにん)

債務者が「はい、私には借金があります」と認めることです。一部だけ弁済(返済)したり、「もう少し待って」と頼むことも承認にあたります。

ポイント
  • 効果:時効の更新(即リセット!)

認めた時点で、「権利があることは明らか」なので、その瞬間にストップウォッチは0に戻ります。完成猶予の期間などはなく、いきなりリセットされるのが特徴です。未成年者が法定代理人の同意なく行った承認など、細かい論点はありますが、まずは「認めたらリセット」と覚えましょう。

その他の事由
ポイント
  • 協議を行う旨の合意:話し合いをすることをお互いが書面で合意した場合、一定期間猶予されます。
  • 天災:地震などで裁判所が機能していない場合、障害が消滅してから3ヶ月は猶予されます(リセットはしません)。
今日のまとめ:ここだけは覚えよう!

今回は少し細かいルールが多かったかもしれませんが、要点を絞れば怖くありません。試験当日に迷わないよう、以下のポイントだけは今日中に頭に入れておきましょう。

ポイント
  • 完成猶予は「一時停止」、更新は「リセット(再スタート)」!
  • 「裁判」を起こすと停止、判決が出るとリセット!
  • 「仮差押え」は「仮」なので、リセット(更新)はしない!停止するだけ。
  • 「催告(手紙)」もリセットしない!6ヶ月止まるだけ。
  • 「承認(認める)」は、その瞬間にリセット!

「どれがリセットしないんだっけ?」と迷ったら、「仮差押え」と「催告」を思い出してください。この2つは「とりあえずの手段」なので、時計をゼロに戻すほどのパワーはない、というイメージを持っておくと忘れにくいですよ。

民法は、こうして「なぜそうなるのか?」という理由やイメージを持つことが合格への近道です。「錯誤」などの契約の効力や、制限行為能力者のルールなど、他の分野も同じようにイメージで攻略していきましょう。焦らず、一つひとつ知識を定着させていけば大丈夫です。応援しています!