【宅建民法】「履行遅滞」はいつから?起算点の覚え方を初学者向けにやさしく解説

こんにちは!宅建試験の勉強は順調に進んでいますか?民法の分野に入ると、聞き慣れない言葉がたくさん出てきて、「自分には難しいかも……」と不安になってしまうこともありますよね。

でも、安心してください。法律用語は、普段私たちが使っている言葉に置き換えると、意外とシンプルなルールであることが多いんです。今回のテーマは「履行遅滞(りこうちたい)」です。

漢字が四文字並んでいて難しそうに見えますが、簡単に言えば「約束の時間に遅れてしまった」というお話です。ただ、試験では「いつから遅れたことになるの?」というタイミング(起算点)が細かく問われます。今日はこの部分を整理して、確実に1点を取れるようにしていきましょう!

履行遅滞とは?「自分の都合」で遅れること

まずは、履行遅滞という言葉の意味をしっかりイメージすることから始めましょう。宅建の試験勉強をしていると、どうしても難しい定義を丸暗記しようとしてしまいがちですが、まずは「どんな状況か」を理解するのが近道です。

履行遅滞とは、一言でいうと「履行期(期限)にできるはずなのに、自分の都合で約束を守らないこと」を指します。

ポイントは「わざと・うっかり」であること

法律の言葉では「債務者の責めに帰すべき事由(帰責事由)」といいますが、これは要するに「債務者(約束を守る人)のミスや都合」ということです。

ポイント
  • お金を持っているのに、面倒くさがって家賃を払わなかった
  • 注文を受けた商品を発送するのを忘れていた

こういったケースが履行遅滞にあたります。逆に言えば、地震や台風などの自然災害で物理的に届けられなくなった場合は、履行遅滞にはなりません(これは別のルールで処理されます)。

民法の勉強では、このように「善意・悪意」や「過失」といった独特の言葉遣いが出てきます。もし用語の意味で迷ったら、こちらの記事で基礎用語を解説しているので、あわせて確認してみてくださいね。宅建民法の基礎!「善意・悪意」や「対抗する」など頻出の法律用語をわかりやすく解説

試験によく出る!履行遅滞の「起算点」一覧

さて、ここからが今日の本番です。宅建試験で狙われるのは、「じゃあ、いつの時点から『遅刻(履行遅滞)』扱いになるの?」という点です。これを「履行遅滞の起算点」といいます。

約束の仕方(期限の種類)によって、遅刻扱いになるスタート地点が異なります。ここを整理できれば、この分野は攻略したも同然です!

1. 確定期限がある債務

これは一番わかりやすいパターンです。「10月20日までに代金を支払う」というように、カレンダー上の日付がはっきり決まっている場合です。

この場合は、「期限が到来した時」から履行遅滞になります。10月20日が過ぎたら、その時点から責任が発生するという、とてもシンプルなルールですね。

期限が決まっている借金の返済などについては、「期限の利益」という考え方も重要になります。以下の記事も参考にすると理解が深まりますよ。【初学者向け】借金の返済は早めてもいい?「期限の利益」の意味と放棄のルール

2. 不確定期限がある債務

ここが少しややこしいポイントです。「不確定期限」とは、「いつか必ず来るけれど、いつ来るかわからない期限」のことです。

例えば、「父が死亡したら、この土地を売ってあげます」という契約です。人はいつか亡くなるので期限は必ず来ますが、それが「いつ」かは誰にもわかりませんよね。

この場合、父が死亡した瞬間に「遅滞だ!」と責めるのは少し酷です。息子(債務者)はまだ父の死を知らないかもしれないからです。そのため、以下のどちらか早い方から履行遅滞になります。

ポイント
  • 期限が到来したことを、債務者が知った時
  • 期限到来後に、債権者から請求を受けた時

「知った時」か「請求された時」。この2つのタイミングを覚えておきましょう。

3. 期限の定めのない債務

いつ払うかを特に決めていなかった場合です。この場合は、債権者(権利を持っている人)が「そろそろやってください」と言った時点、つまり「履行の請求を受けた時」から遅滞になります。

ただし、これには一つだけ重要な例外があります。

例外:お金の貸し借り(消費貸借)の場合

お金の貸し借り(金銭消費貸借)で期限を決めなかった場合、いきなり「今すぐ返せ!」と言われても、すぐにお金を用意できないことがありますよね。そのため、この場合は「催告をして、相当の期間が経過した時」から履行遅滞となります。「ちょっと待ってあげる時間(相当の期間)」が必要だという点が、試験でのひっかけポイントです。

4. 不法行為による損害賠償債務

最後は、交通事故や暴力などの「不法行為」の場合です。加害者が被害者に治療費などを払う義務は、いつから遅滞になるでしょうか?

正解は「不法行為の時から」です。被害者はすぐにでも救済される必要があります。「請求されたら払うよ」とのんびり構えることは許されません。事故が起きたその瞬間から、加害者は遅れている状態(履行遅滞)になると覚えてください。

まとめ:今日の重要ポイント整理

履行遅滞のルール、整理できましたか?最初は複雑に感じるかもしれませんが、「いつから責任を負うべきか」という常識的な感覚と照らし合わせると覚えやすくなります。

今日の勉強の総まとめとして、以下のリストをチェックしておきましょう。

ポイント
  • 履行遅滞とは:自分のミスや都合で、期限までに約束を果たさないこと。
  • 確定期限(〇月〇日):その期限が来た時から。
  • 不確定期限(父が死んだら):期限が来たことを「知った時」または「請求された時」の早い方から。
  • 期限なし:原則は「請求された時」から。
  • 期限なし(借金):「請求(催告)されて、相当期間が経った時」から。
  • 不法行為(事故など):被害者を守るため、「不法行為の当日(即時)」から。

特に「不確定期限」と「不法行為」のパターンは過去問でもよく問われています。ここをしっかり押さえておけば、本試験で迷わずに正解を選べるはずです。

一つひとつ知識を積み重ねていけば、必ず合格点に届きます。焦らず、まずは今日のこの1点を確実に自分のものにしていきましょう。応援しています!