【宅建民法】「損害賠償額の予定」って何?20%ルールと民法の違いをサクッと解説

こんにちは。宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?法律の勉強をしていると、「損害賠償」や「債務不履行」といった、普段の生活ではあまり使わない漢字の多い言葉が出てきて、少し身構えてしまうかもしれませんね。

「もし契約が破られたらどうするか?」これは不動産取引において非常に重要なテーマです。ここをあらかじめ決めておくルールのことを、宅建試験では「損害賠償額の予定」と呼びます。

名前は難しそうですが、要は「約束を破った時のペナルティ(違約金)を事前に決めておく」というシンプルなお話です。本記事では、初学者がつまずきやすい「民法の原則」と「宅建業法の特例(20%ルール)」の違いを中心に、試験で問われるポイントを整理していきます。今のうちにここをクリアにしておくと、本番で迷わずに得点できるようになりますよ。

難しそうな言葉が並ぶと、それだけでやる気がなくなっちゃいそうです…。
大丈夫です!「トラブルが起きた時に揉めないための予約」とイメージすれば簡単ですよ。一緒に見ていきましょう。
そもそも「損害賠償額の予定」とは?民法の基本ルール

不動産の売買契約をしたのに、相手が代金を支払ってくれなかったり、物件を引き渡してくれなかったりすることを「債務不履行(さいむふりこう)」といいます。もしそうなった場合、約束を守らなかった相手に対して「損害賠償」を請求できるわけですが、ここで一つ大きな問題が発生します。

「いくら損したか?」を証明するのは大変

例えば、「あなたが約束を破ったせいで、私はこれだけ損をしました!」と裁判で証明するのは、時間もお金もかかり、非常に大変な作業です。そこで、契約を結ぶ段階であらかじめ「もし約束を破ったら、ペナルティとして〇〇万円払うことにしよう」と決めておくことができます。これが「損害賠償額の予定」です。

この「予定」をしておくことには、被害者(債権者)にとって大きなメリットがあります。それは、「損害の発生や、具体的な損害額を証明しなくていい」という点です。相手が約束を破った(債務不履行)という事実さえあれば、実際に損害が出ていなくても、あるいは実際の損害が予定額より少なくても、あらかじめ決めた金額をそのまま請求できます。

なお、債務不履行の基本的なルールについては、こちらの記事でも解説していますので、あわせて確認しておくと理解が深まりますよ。債務不履行=約束破り!宅建試験で頻出の「損害賠償」と「解除」のルール

裁判所でも金額は変えられないのが原則

試験でよく出るひっかけポイントがあります。「実際の損害が予定額よりはるかに低かった場合、裁判所は金額を減らすことができるか?」という問題です。

正解は、「原則として、裁判所は賠償額を増減することはできない」です。せっかく「揉めないように決めた金額」なのに、あとから「高い」「安い」と修正できてしまったら意味がありませんよね。ただし、あまりにも暴利であるなど公序良俗に反する場合は別ですが、基本的には「決めた額が絶対」と覚えておきましょう。

一方で、似て非なるルールとして「過失相殺(かしつそうさい)」は可能です。たとえ賠償額を予定していても、被害者側にも落ち度(過失)があった場合は、裁判所はその分を差し引いて金額を決めることができます。「増減はできないけど、過失相殺はできる」。この微妙な違いが試験では狙われます。

【重要】宅建業法での制限「20%ルール」を攻略

さて、ここからが宅建試験の本丸です。民法では「いくらに設定しても自由(公序良俗に反しない限り)」でしたが、宅建業者が自ら売主となり、一般消費者が買主となる場合には、消費者を守るための特別なブレーキがかかります。これはいわゆる「8種制限」の一つです。

「損害賠償額の予定」+「違約金」=代金の20%以下

宅建業法では、損害賠償額の予定と違約金を定める場合、その合計額が「代金の10分の2(20%)を超えてはならない」と決められています。

なぜなら、プロである不動産会社が、知識の少ない一般客に対して「もしキャンセルしたら代金の50%を払え!」といった不当な契約を押し付けるのを防ぐためです。この「20%」という数字は、手付金の制限などと混同しやすいので、しっかり区別して覚えておきましょう。

手付金に関する「8種制限」のルールについては、以下の記事で詳しく解説しています。比較しながら覚えると効率的です。【宅建初心者向け】「手付金」って何?8種制限の重要ポイントを優しく整理

20%を超えたら契約はどうなる?

ここも非常によく出題されるポイントです。もし、うっかり「代金の30%を違約金とする」という契約を結んでしまった場合、その契約はどうなるのでしょうか?

ポイント
  • 契約すべてが無効になる?
  • 30%まるまる無効になる?

正解は、「20%を超える部分だけが無効になる」です。つまり、20%までは有効ですが、はみ出した10%分だけが無効となります。「契約全体が無効」というひっかけ問題には注意してくださいね。あくまで「20%という上限」に書き換えられるイメージを持つと分かりやすいでしょう。

全部無効になるわけじゃないんですね。数字の「20%」と「超える部分が無効」のセットで覚えます!
まとめ:今日覚えるべきポイントはここ!

損害賠償額の予定は、民法の原則と宅建業法の特例を混ぜて出題されることが多い分野です。最後に、試験当日にこれだけは思い出してほしい重要ポイントを整理しました。

【損害賠償額の予定・チェックリスト】

ポイント
  • 証明不要: 予定しておけば、実際の損害額を証明しなくても請求できる。
  • 裁判所の介入: 原則として、裁判所は金額を増減できない(ただし過失相殺は可能)。
  • 宅建業法の制限: 業者が売主の場合、予定額+違約金は代金の20%以下
  • 無効の範囲: 20%を超えた場合、超えた部分のみが無効となる(全部無効ではない)。

この4点をしっかり押さえておけば、損害賠償額の予定に関する問題の多くに対応できます。「トラブル防止のための予約」というイメージを持ちながら、過去問演習で知識を定着させていきましょう。

少しずつ、でも着実に知識を積み重ねていけば、合格ラインは必ず超えられます。また次の記事で、一緒に勉強できるのを楽しみにしています!