【宅建民法】法改正で結論が逆に!?「異議をとどめない承諾」をわかりやすく解説

こんにちは!宅建試験の勉強、毎日おつかれさまです。法律の用語って、普段の生活では絶対に使わないような言葉ばかりで、見ているだけで眠くなってしまうこともありますよね。

でも、安心してください。最初はみんな同じように「なんだこれ?」というところからスタートしています。今日は、民法の中でも少しマニアックですが、法改正によって結論がガラリと変わった重要なポイント、「異議をとどめない承諾」についてお話しします。

「異議をとどめない承諾」なんて、漢字が並んでいて難しそうですが、中身を紐解けば「ああ、そういうことか!」とスッキリ理解できるはずです。特に、昔のテキストや古い過去問を使っていると、ここを間違えて覚えてしまう可能性があるので、今のうちにしっかりと頭の中をアップデートしておきましょう。

「異議をとどめない承諾」ってどういう意味?

まずは、言葉の意味から整理していきましょう。この言葉が出てくるのは、「債権譲渡(さいけんじょうと)」という場面です。

簡単に言うと、「文句(異議)があるのに、それを言わずに『はい、わかりました』と承諾すること」を指します。

少し具体的なストーリーで見てみましょう。登場人物は以下の3人です。

ポイント
  • Aさん(債務者):Bさんにお金を借りている人(返す義務がある)。
  • Bさん(債権者):Aさんにお金を貸している人。
  • Cさん(譲受人):Bさんから、「Aさんにお金を返してもらう権利(債権)」をもらった人。

BさんがCさんに「Aさんへの貸金債権」を譲渡しました。CさんはAさんのところへ行き、「これからは僕に返済してね!」と言います。

Aさんは、「わかりました、Cさんに返しますね」と答えました。

このとき、Aさんが単純に「はい、わかりました」とだけ言って承諾するのが「異議をとどめない承諾」です。

ここで問題になる「隠れた事情」

実はこの話には裏があって、AさんはBさんに対して、別でお金を貸していた(反対債権を持っていた)としましょう。

通常であれば、Aさんはこう言えるはずです。「いやいや、僕もBさんにお金を貸しているから、その分はチャラ(相殺)にさせてよ!」

しかし、Cさんが来たときにそのことを言い出さず、単に「はい、Cさんに払います」と言ってしまった場合、後から「やっぱり相殺させて!」と言えるのかどうか。これが今回のテーマです。

ちなみに、民法の用語で「対抗(たいこう)」という言葉が出てきたら、「自分の権利を主張する」という意味で捉えてみてください。宅建民法の基礎!「善意・悪意」や「対抗する」など頻出の法律用語をわかりやすく解説の記事でも詳しく触れていますので、言葉のイメージがつかみにくい方は参考にしてみてくださいね。

【重要】法改正でルールが変わりました!

ここが今回の記事で一番お伝えしたいポイントです。実は、2020年の民法改正で、この「異議をとどめない承諾」に関するルールが大きく変わりました。

旧民法のルール(昔の話)

昔の民法では、Aさんがうっかり「異議をとどめない承諾」をしてしまうと、「もう相殺は主張できません!」という厳しいルールでした。

「文句を言わずに承諾したんだから、Cさんは全額もらえると信じるでしょう? だから後出しジャンケンは禁止!」という、新しい債権者Cさんを保護する考え方だったのです。

新民法のルール(今の試験に出る話)

しかし、改正後の民法ではこのルールが撤廃されました。

つまり、Aさんが「異議をとどめない承諾」をしたとしても、条件を満たしていれば、AさんはCさんに対して「相殺」を主張することができます。

えっ、Aさんは文句を言わずに承諾したのに、後から相殺できるようになったんですか?

そうなんです! これによって、うっかり承諾してしまった債務者(Aさん)が保護されるようになりました。

これは、債務者(Aさん)にとって非常に有利な変更です。「承諾したからといって、自分の持っている相殺の権利まで捨てたわけじゃないよね」という考え方に変わったのです。

債権や物権といった権利関係の話は少し複雑に感じるかもしれませんが、「物権・債権」で悩んでいるあなたへ!イメージで掴む宅建民法の基礎でも解説しているように、基本のイメージを持っておくと理解が早くなりますよ。

相殺できるための「条件」を覚えよう

「異議をとどめない承諾」をしても相殺できるようになったとはいえ、どんな場合でもOKというわけではありません。試験で問われるのは、「いつの時点で反対債権を持っていたか」というタイミングです。

AさんがCさんに対して相殺を主張するためには、以下の条件が必要です。

Cさんが権利を得るための条件(対抗要件)が整う「前」に、AさんがBさんに対する反対債権を取得していたこと。

少し難しい言い回しになりましたが、シンプルに整理するとこうです。

ポイント
  • AさんはBにお金を貸していた(反対債権ゲット)。
  • その後に、BがCに債権を譲渡した。
  • AさんはCへの譲渡を承諾した(異議は言わなかった)。

この順番であれば、AさんはCさんに対して「いやいや、あなたの権利が決まる前から、私はBさんに貸しがあったんですよ。だから相殺します!」と言えるのです。

逆に言えば、Cさんに譲渡されたことを知った「後」に、慌ててBさんへの反対債権を取得しても、それはCさんには対抗できません(相殺できません)。ここの「先か後か」の時系列が試験でのひっかけポイントになります。

まとめ:今日の学習ポイント

いかがでしたか?「異議をとどめない承諾」という言葉の響きに圧倒されそうになりますが、要点はシンプルです。「昔はダメだったけど、今はOKになった」という変化をまずは押さえておきましょう。

最後に、今日の重要ポイントをまとめます。

ポイント
  • 用語の意味:文句(異議)があるのに、それを言わずに承諾すること。
  • 改正ポイント:異議をとどめない承諾をしても、相殺の権利は失われない。
  • 条件:対抗要件を備える「前」に取得した反対債権であれば、相殺を主張できる。

民法の勉強は、こういった「原則と例外」や「法改正による変化」がよく狙われます。一気に全てを覚えようとせず、今日のように一つひとつのテーマを確実にクリアしていけば大丈夫です。

この調子で、少しずつ知識を積み上げていきましょう。応援しています!