こんにちは!宅建試験の勉強、順調に進んでいますか?
民法の勉強をしていると、聞き慣れない言葉がたくさん出てきて、「もう無理かも……」と不安になってしまうこともありますよね。
でも、今日のテーマである「不法行為(ふほうこうい)」は、実は私たちの生活にとても身近なルールなんです。
一番わかりやすい例が「交通事故」です。誰かにぶつかって怪我をさせてしまったとき、治療費や慰謝料を支払わなければなりませんよね。このように、「わざと、または不注意で他人に損害を与えたときに、どう責任を取るか」を決めているのが不法行為のルールです。
宅建試験では、基本的なルールに加えて「いつまで請求できるか(時効)」などの数字も問われます。初学者の方でもイメージしやすいように、身近な例を使いながら解説していきますので、肩の力を抜いて読んでみてくださいね。
まずは、「不法行為」が成立するための基本的な条件を確認していきましょう。
簡単に言うと、不法行為とは「何の権利もないのに、故意(わざと)や過失(うっかり)で他人に損害を与えること」を指します。
例えば、あなたが道を歩いていて、自転車にぶつかられて怪我をしたとします。この場合、自転車を運転していた人は、不注意(過失)によってあなたに損害を与えていますよね。だから、あなたは相手に対して「治療費を払ってください」と損害賠償請求をすることができます。
ここで重要なキーワードが「故意(こい)」と「過失(かしつ)」です。宅建の民法では頻出の用語ですので、もし「善意・悪意」などの用語に不安がある方は、こちらの記事で民法の基礎用語も確認しておくと、理解がスムーズになりますよ。
さて、交通事故などの損害賠償でよく問題になるのが、「被害者の方にも落ち度があった場合」です。
たとえば、車と歩行者の事故でも、歩行者が赤信号を無視して飛び出していたとしたら、「運転手だけが100%悪い」とは言いにくいですよね。「運転手も悪いけど、飛び出した歩行者も20%くらい悪いよね」というケースです。
このように、被害者にも不注意(過失)があった場合、裁判所はその割合に応じて、賠償額を減らすことができます。これを「過失相殺(かしつそうさい)」と呼びます。
ここで試験に出やすい重要なポイントがあります。それは、「裁判所は過失相殺を『することができる』」という点です。
「必ずしなければならない」わけではなく、裁判所の裁量(判断)に任されているんですね。この「できる・しなければならない」のひっかけ問題は宅建試験でよく出るパターンなので、意識して覚えておきましょう。
不法行為の概要がつかめたら、次は試験で得点源になる「数字」と「特殊なルール」を押さえていきましょう。
特に「消滅時効(しょうめつじこう)」は、非常に狙われやすいポイントです。
「損害賠償請求権」はずっと残るわけではなく、一定期間が過ぎると時効によって消えてしまいます。この期間が、「物を壊された場合(物損)」と「人が怪我をした場合(人損)」で異なるため、整理が必要です。
損害賠償請求権の時効期間は、以下の2つのパターンで覚えてください。
① 物を壊された場合(物損)
② 人の生命・身体が侵害された場合(人損)
人の命や身体に関わることは重大なので、物損の「3年」よりも長い「5年」に設定されている、とイメージすると覚えやすいですよ。
また、消滅時効の基本的な仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて読んでみてください。
先生、もし「誰がやったか」が分からない場合はどうなるんですか?
良い質問ですね!「加害者」を知らないと請求のしようがないので、その場合は3年(または5年)のカウントはスタートしません。その代わり、事件から20年経つと時効にかかってしまいます。
次に、「いつから遅延損害金(利息のようなもの)が発生するか」という点です。
借金などの契約違反(債務不履行)の場合、期限が過ぎたり、請求されたりしてから遅滞になりますが、不法行為は違います。不法行為に基づく損害賠償債務は、「不法行為が発生した時」からすぐに履行遅滞となります。
被害者を保護するため、「加害者は、悪いことをしたその瞬間から賠償する責任があるんだから、1日でも遅れたら遅延金を払いなさい」という厳しいルールになっているんですね。債務不履行との違いとして問われることもあるので、区別しておきましょう。
最後に、少し悲しい話ですが、被害者が事故などで亡くなってしまった場合のルールです。
被害者が亡くなった場合、その損害賠償請求権はどうなるのでしょうか?答えは、「相続人が相続する」です。
たとえ即死であったとしても、「苦しい、痛い」という精神的苦痛に対する慰謝料請求権が瞬時に発生し、それが相続人に引き継がれると考えられています。
さらに特筆すべきは、「お腹の中にいる赤ちゃん(胎児)」の扱いです。民法では、不法行為による損害賠償請求については、「胎児は既に生まれたものとみなす」という特別ルールがあります。つまり、まだ生まれていない赤ちゃんも、お父さんやお母さんを奪った加害者に対して、損害賠償を請求する権利を持つことができるのです。
不法行為は身近なトラブルを扱う分野ですが、試験では「時効の期間」や「過失相殺」などの細かいルールが問われます。あれもこれもと詰め込むと混乱してしまうので、まずは以下の5つのポイントを今日覚えてしまいましょう!
最初は難しく感じるかもしれませんが、ニュースやドラマで見る事件を思い浮かべながら、「この場合どうなるかな?」と考えてみると、意外と頭に入りやすいですよ。焦らず一つひとつ、知識を定着させていきましょう。応援しています!
