【宅建民法】「連帯保証人」はただの保証人より重い!?3つの「ない」権利を完全攻略

【宅建民法】「連帯保証人」はただの保証人より重い!?3つの「ない」権利を完全攻略 宅建

こんにちは! 宅建の勉強、毎日おつかれさまです。法律の言葉って、普段使わないものばかりで頭が痛くなってしまいますよね。特に民法の分野は、漢字が多くて嫌になってしまう方も多いと思います。でも、大丈夫です。最初はみんなそうですから、焦らず一つずつ言葉の意味をイメージに変えていきましょう。

さて、今回のテーマは「連帯保証(れんたいほしょう)」です。

ドラマや漫画などで「連帯保証人にだけはなるな!」というセリフを聞いたことがありませんか?実は宅建試験でも、この「連帯保証」は非常に重要なテーマなんです。なぜ普通の「保証人」ではなく「連帯」がつくと恐ろしいのか。そして試験ではどこが狙われるのか。今日はその理由を、初学者の方にもわかりやすく噛み砕いてお話ししていきますね。

連帯保証人になると、普通の保証人と何が違うんですか?
実は、保証人なら持っているはずの「自分を守る3つの権利」が、連帯保証人にはないんです。これが「厳しい」と言われる理由なんですよ。
連帯保証人が「普通の保証人」よりも責任が重い理由

まず、一番大切なイメージをお伝えします。連帯保証人は、「お金を借りた本人(主たる債務者)と、ほぼ同じ責任を負う」と考えてください。

普通の保証人であれば、「まずは借りた本人に請求してよ」と言い返すことができます。しかし、連帯保証人にはその権利がありません。試験でよく出るポイントは、連帯保証人には以下の「3つの権利がない」ということです。

1. 催告の抗弁権(さいこくのこうべんけん)がない

これは、「いきなり私(保証人)に来ないで、まずは借りた本人(主たる債務者)に請求(催告)してくださいよ!」と言う権利のことです。

普通の保証人にはこの権利がありますが、連帯保証人にはありません。つまり、債権者(お金を貸している人)は、借りた本人を飛ばして、いきなり連帯保証人に「全額返せ」と請求することができるのです。「えっ、本人に言ってよ!」と思っても、法律上は断れないんですね。

債権者と債務者の関係については、こちらの記事(どっちが債権者?売買契約でパニックにならないための基礎知識)でも基本を解説していますので、言葉に迷ったら確認してみてください。

2. 検索の抗弁権(けんさくのこうべんけん)がない

これは、「借りた本人はお金(財産)を持ってるんだから、まずはそっちから差し押さえ(執行)してよ!」と言う権利です。

例えば、借りた本人が高級車を持っているのに借金を返さない場合、普通の保証人なら「あの車を売って返済に充てさせて」と言えます。しかし、連帯保証人にはこの権利もありません。「本人がお金を持っていても、あなた(連帯保証人)が払ってください」と言われたら、拒むことができないのです。

3. 分別の利益(ぶんべつのりえき)がない

ここが計算問題などで勘違いしやすいポイントです。「分別の利益」とは、保証人が複数いる場合に、その人数で割った金額だけを保証すればいいというルールのことです。

例えば、1,000万円の借金に対して、保証人が4人いたとしましょう。普通の保証人であれば、1,000万円 ÷ 4人 = 250万円ずつ責任を負えばOKです。これが「分別の利益」がある状態です。

しかし、連帯保証人には「分別の利益」がありません。たとえ連帯保証人が4人いたとしても、全員がそれぞれ「1,000万円全額」を返す責任を負います。「4人もいるんだから、ワリカンでいいですよね?」という言い訳は通用しないのです。

もちろん、もしあなたが1,000万円全額を支払った場合は、他の連帯保証人や借りた本人に対して「私が立て替えた分を払ってね」と請求(求償)することはできます。これは「求償権(きゅうしょうけん)」と呼ばれる権利ですが、まずは債権者に対して全額払わなければならないという厳しさを覚えておきましょう。

「絶対効」と「相対効」を整理しよう

次に試験で狙われるのが、「連帯保証人に起きた出来事は、借りた本人(主たる債務者)に影響するのか?」という問題です。ここで覚えるべきキーワードは「絶対効(ぜったいこう)」「相対効(そうたいこう)」です。

ポイント
  • 絶対効:連帯保証人に起きたことが、主たる債務者にも影響する(借金が減ったり消えたりする)
  • 相対効:連帯保証人に起きたことは、主たる債務者には影響しない(関係ない)

原則として、連帯保証人に生じた事由は「相対効」です。例えば、連帯保証人が「借金があることを認めます(承認)」と言って時効が更新されたとしても、主たる債務者の時効は更新されません。あくまで「連帯保証人だけの話」として処理されます。

ただし、例外として4つだけ「絶対効」になるものがあります。これをゴロ合わせやリズムで覚えてしまいましょう。

試験に出る「絶対効」の4つ

以下の4つが生じた場合のみ、主たる債務者にも影響が及びます。

事由 内容
弁済(べんさい) 連帯保証人が借金を返せば、当然、主たる債務者の借金も消えます。
相殺(そうさい) 連帯保証人が債権者に対して持っている別の債権を使って帳消しにすれば、借金は減ります。
混同(こんどう) 連帯保証人が債権者を相続するなどして、貸す側と借りる側が同一人物になった場合、債務は消えます。
更改(こうかい) 古い契約をなくして新しい契約を結ぶこと。連帯保証人が契約を書き換えれば、元の主たる債務も消えます。

特に「相殺」については、こちらの記事(なぜ加害者から「相殺」できないの?)でも仕組みを解説していますが、連帯保証人が相殺すれば、その分だけ借金が減るので、主たる債務者も助かる(=影響する)というイメージを持つと分かりやすいですね。

【ここがポイント!】逆に、「主たる債務者」に起きた出来事は、原則としてすべて連帯保証人に影響します(絶対効)。「親分(主たる債務者)の借金が消えれば、子分(連帯保証人)の責任も消える」とイメージしておくと混乱しません。

今日のまとめ

連帯保証は、言葉が難しそうに見えても、ポイントを絞れば怖くありません。試験当日に焦らないよう、今日の要点を整理しておきましょう。

ポイント
  • 連帯保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」の3つがない(=借りた本人と同じくらい責任が重い)。
  • 連帯保証人が何人いても、一人ひとりが借金の「全額」を返す義務がある。
  • 連帯保証人に起きたことで、主たる債務者に影響する(絶対効)のは「弁済・相殺・混同・更改」の4つだけ。
  • それ以外(時効の完成猶予や更新など)は、主たる債務者には影響しない(相対効)。

「連帯保証人には3つの権利がない!」「絶対効は4つだけ!」まずはこの数字を覚えるだけでも、得点力はグッと上がります。少しずつ知識を積み重ねて、合格に近づいていきましょうね。