これから宅建の勉強を始めようとしている皆さん、こんにちは。民法のテキストを開くと、最初の方に出てくる「債権（さいけん）」と「債務（さいむ）」という言葉。普段の生活ではあまり聞き慣れない漢字が並んでいて、少し身構えてしまっていませんか？
「法律用語って難しそう…」と不安に思う必要はありません。実はこの二つ、言葉を噛み砕いてしまえば「もらえる権利」と「やるべき義務」という、とてもシンプルな話なんです。
私自身も勉強を始めたばかりの頃は、「どっちがどっちだっけ？」と混乱して何度もページを戻ったりしました。でも、ここをクリアすると、その後の契約の話や借金の話が驚くほどスッと頭に入ってくるようになります。
今回は、宅建試験の民法（権利関係）における基本中の基本、「債権と債務」について、難しい言葉を使わずにイメージで理解できるように解説していきます。まずはここをしっかり押さえて、民法の学習をスムーズにスタートさせましょう。
まずは、言葉の定義から整理していきましょう。教科書的な難しい説明は置いておいて、試験対策として以下のイメージを持ってください。
「債」という漢字は「借金」などを連想させるので、なんとなくお金の貸し借りの話だけだと思ってしまいがちですが、宅建の試験ではもっと広く「何かをする・してもらう」関係すべてに使われます。
この「権利と義務」の関係を理解することは、「善意・悪意」などの法律用語と同じくらい、民法を攻略するための大切な土台になります。
ここからが、初学者が少し混乱しやすいポイントです。例として、AさんがBさんから土地を買う「売買契約」をイメージしてみましょう。
土地を買ったAさんは、お客さんだから「債権者」ですよね？
実は、AさんもBさんも、お互いに「債権者」であり「債務者」でもあるんです。ここが重要ですよ！
どういうことか、具体的に見ていきましょう。
まず、「土地」に注目してください。
次に、「代金（お金）」に注目してみましょう。
このように、一つの契約（売買契約）の中で、「何についての権利・義務か」によって、債権者と債務者の立場が入れ替わるのです。
宅建の本試験では、「AはBに建物を売却したが〜」というような事例問題がよく出題されます。このとき、「Aは債権者か、債務者か？」と丸暗記で考えようとすると失敗します。
問題文を読むときは、常に「今、土地の話をしているのか？ お金の話をしているのか？」を意識することが大切です。
例えば、「売主Bが土地を引き渡さない」というトラブルが起きたとき、これは「土地の引渡し債務」の話です。この場合、債務を履行していない（約束を守っていない）のは売主Bになります。
逆に、「買主Aがお金を払わない」という場合は、「代金支払いの債務」の話になり、債務者はAになります。
もし買った建物に欠陥があった場合などに問題となる「契約不適合責任」なども、元をたどれば「完全なものを引き渡すという債務」が果たされなかったことによるお話です。すべての基本はこの「債権・債務」の関係にあるんですね。
これから民法の勉強を進めるとき、テキストに「債務者」と出てきたら、条件反射で「義務がある人（やらなきゃいけない人）」と読み替える癖をつけてみてください。
そして、「債権者」と出てきたら「権利がある人（請求できる人）」と読み替えます。
最初のうちは、問題文の横にメモ書きしてもいいでしょう。「A（土地もらえる権利）」「B（土地渡す義務）」のように、矢印やメモを書いて状況を整理する練習をしておくと、複雑な問題になってもパニックにならずに済みますよ。
今回は、民法の入り口である「債権と債務」について解説しました。漢字に惑わされず、以下の3点だけは今日しっかり頭に入れておきましょう。
この「お互いが持ち合っている」という感覚がつかめれば、第一関門は突破です！
ここから先、詐欺や錯誤、時効などいろいろな論点が出てきますが、常に「誰が誰に対して、何の権利（義務）を持っているか？」という視点に戻ってくれば大丈夫です。焦らず一つずつ、言葉のイメージを定着させていきましょう。
